皆さんこんにちは。本シェルジュの吉田です。
ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?
突然ですが、去る5月1日はメーデー。もう最近は、存在が薄くなりつつありますが、
労働者の日ですね。ということで、今回は最近話題になったこんな本を取り上げてみ
ました。リストラは、企業である以上、一定は避けては通れない道なのかもしれませ
ん。しかし、その中で、退職していった人々は、想像以上に力強く、より充実した日
々を送っているなと(当然、全員ではないでしょうが・・)感じた一冊です。もっと
も、この人たちをうまく活用できたら、業績回復に貢献すると思いますけどね。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか
講談社  (2015/4/10)
清武 英利 著
270ページ
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今回の登場人物紹介
 サラリーマン のび太 (の)
 例の猫型ロボット   (ど)
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ど:のび太君、会社行かないと遅刻するよ。
の:んー、今日は風邪ってことで休む
ど:そんなことじゃ、会社にリストラされちゃうよ。
の:だいじょうぶ、大丈夫。
ど:のんきなんだからぁ。この本でも読んでみたら?SONYのことだけどリアルに描か
れてるよ。
の:まあ、まあ。んーー。社会て厳しいんだな。僕なんか、会社に放り出されたらな
にも取り柄がないからその先はないよ。
ど:だったら、ちょっとは会社に行く気になったかい?
の:いや。社会で生き残るため何をすべきか、布団の中で考えるよ。
ど:もう!!

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〓 2)付箋              〓
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■P69
99年の経営機構改革は、後に第1次構造改革と呼ばれた。リストラはその前のセカンド
キャリア支援から数えて、本書の冒頭で示したよう図表のように第2次、第3次と17年
以上、つづき、2015年までに、ソニーでは6度も大規模な人員削減が行われている。
そして数千人の社員がリストラ部屋に追い込まれていく。それと知らずに泥沼に踏み
出した一歩目にすぎなかった。
■P81
出井、ストリンガー、そして現在のトップである平井一夫の系譜で語られる「ソニー
構造改革」その特徴は、短期的な決算対策を重視し、膨大な資産と人材、そしてリス
トラ資金を失ったことだ。
■P211
多くの社員は、「トップは赤字でも多額の役員報酬をもらってるし、カネはもらわな
ければ損だ」と考える。そうした空気の中で、吉松は「お金を積まれてやめるわけで
はないから」と考えた。辞めたのは自分の選択だったから、~どちらにしろソニーは
骨のある二人の人事部幹部を一挙に失ったことになる。
■P263
井深大や盛田昭夫が建設したソニーという理想企業の夢は崩れ去ろうとしている。い
まはそのDNAを抱えて飛び立ったエンジニアの心の中に、それぞれの理想工場がある。

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〓 3)今日の気づき                       〓
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盛田昭夫、井深大。二人のカリスマにより、創設された東京通信工業は、SONYへと急
成長を遂げました。社員は家族として、リストラしないことを社是としてきていたも
のの経営者の交代、ヒット商品の枯渇。様々な要因により、報道でも大きく取り上げ
られたキャリア開発室に代表されるリストラを積極的に行う会社というイメージが定
着しました。
ただ、本書を通じて、退職していった人々は、次のステージへ転職したり、独立した
りして充実した日々を力強く送っており、考え方によっては、本当のSONYの遺伝子を
持った人材が、外に飛び出してくことが、企業の新陳代謝、経済全体を考えればいい
ことなのかなとも思いました。
ただ、経営者の変遷により、企業風土が180度変わってしまい、それに翻弄される社員
やその家族の苦悩はとても大変なのだと感じました。
日本企業は、現在、アベノミクスの元、好業績が続いていますが、いつかは、不景気局
面になることもあるでしょう。私も含め、働く一人一人が企業に寄らない力をつけるこ
とが、本当の生き抜く力になるのだと改めて痛感した次第です。

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〓 4)本書の目次                        〓
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【目次】
第1章 凋落の予兆―2006‐2007
第2章 ターニング・ポイント―1946‐2007
第3章 技術者の矜持―2008‐2009
第4章 リストラ志願―2012
第5章 マイレージ、マイライフ―2012‐2013
第6章 切り捨てSONY―2012‐2013
第7章 終わらない苦しみ―1954‐2014
終章 リストラでも奪えないもの―2013‐2015