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シャイロックの子供たち (文春文庫)  池井戸 潤 (著)

ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。


銀行に対する嫌悪の念と、行員に対する哀愁というか、
ほんとに頑張っているよなあというあったかい気持ちと。

全10話の各行員のショートストーリーが絡み合ってく。

銀行のノルマに押しつぶされて
パワハラに走る上司
つぶれて、精神を病んでしまう部下
お金に手を出してしまう
出世をあきらめて楽しく生活する

ほとんどの人が損をしてしまっている状態の
投資信託をノルマだから売れと言われて
淡々と販売していくべきなのか否か。

商品を変えて、いつまでも同じような世の中ですね。
銀行のモラルも問われるし、
買う方の情報力も問われるのか。。

とはいえ、現場の銀行マンからしたら仕方ないし
買う方の情報力と言われても限界がある。
そうすると、上部で商品を企画している段階から見直さないといけないのかなあ。

なんて、色々考えさせられます。

そしてまさかの最後の展開。えーーー!?
さすが池井戸さんです。

楽しませる魅せる、素晴らしい小説ですね。

シャイロックの子供たち (文春文庫)  池井戸 潤 (著)