おはようございます。本シェルジュの平川雄二です。

私たちが過ごす毎日は、情報に振り回されているといっても過言ではありません。
だからこそ、物事の本質を見極める力が今こそ求められているのかもしれません。

この本では、人が文章を読んだ際の状態を「わからない」「わかった」「よりわかった」という3つの段階に分けています。
この「わかった」という状態が本書では「わかったつもり」と称されています。

そんなものかな?

と半信半疑で読み進めていったところ、まさに身に染みて「わかったつもりだった」と実感ができた一冊です。

読解力を深めていきたい方は、是非お読みください。

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1)本日紹介する書籍
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「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 」(光文社新書)
(2005/9/20) 213ページ
西林克彦(著)
http://amzn.to/2BF5prv

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2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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物事を深く考えたい、考えられるようになりたい、そもそも自分は読解力があるのかを知りたい、そんなビジネスパーソンにお勧めできる書籍です。

具体的な問題も数多く掲載されており、読むだけでなくまさに「わかったつもり」が実感できる一冊です。

「そんなことはわかっている」と安心しきっている方、必読です。

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3)付箋  本書からの内容抽出です
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■後から考えて不充分だというわかり方を、「わかったつもり」とこれから呼ぶことにします。この「わかったつもり」の状態は、ひとつの「わかった」状態ですから、「わからない部分が見つからない」という意味で安定しているのです。

■わからない場合には、すぐ探索にかかるのでしょうが、「わからない部分が見つからない」ので、その先を探索しようとしない場合がほとんどです。

■「わかる」から「よりわかる」に到る過程における「読む」という行為の主たる障害は、「わかったつもり」です。「わかったつもり」が、そこから先の探索活動を妨害するからです。

■『文章を読んで概略や解釈を述べるときに、「当たり障りのないきれいごと」が出てきたら要注意なのです。そのときは、その「当たり障りのないスキーマ」を意識しながら、それが本当に文章の当該部分に適用できるのかと疑い、記述にあたってみてください。記述の「まとめ」と「例示」は対応しているでしょうか。文中のことがらは、本当に「事例」になっているでしょうか。「当たり障りのないスキーマ」を使って、論の運びを大雑把に捉えていないでしょうか。論の運びの上で大きな隙間のあるところを、「当たり障りのないスキーマ」を使って、自分で勝手に埋めていないでしょうか。』

■整合的である限りにおいて、複数の想像・仮定、すなわち「解釈」を認めることになります。間違っていない限り、また間違いが露わになるまで、その解釈は保持されてよいのです。

■ある解釈が、整合性を示しているからといって、それが唯一正しい解釈と考えることはできないのです。

■しかし、ある解釈がどこかの記述と不整合である場合には、その解釈は破棄されなければならないのです。

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4)今日の気づき
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本を読む時に気になるキーワードなどを含め注意して読んできたつもりだったが、それが不十分だった。

“わかったつもり”を抜け出すのが難しいのは、「ある程度わかっている」から。

問題点を挙げるだけでなく、もう一歩深読みする癖をつけることができそう。

文章を読む際に新たな視点が加わった、そんな気づきを得た一冊。

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5)本書の目次
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はじめに

第1章 「読み」が深まらないのはなぜか?

1.短い物語を読む
2.「わからない」と「わかる」と「よりわかる」
3.「わかったつもり」という困った状態

第2章 「読み」における文脈のはたらき

1.文脈がわからないと「わからない」
2.文脈による意味の引き出し
3.文脈の積極的活用

第3章 これが「わかったつもり」だ

1.「全体の雰囲気」という魔物(その1)
2.「全体の雰囲気」という魔物(その2)
3.「わかったつもり」の手強さ

第4章 さまざまな「わかったつもり」

1.「わかったつもり」を作り出す“犯人”たち
2.文脈の魔力
3.ステレオタイプのスキーマ

第5章 「わかったつもり」の壊し方

1.「わかったつもり」からの脱出
2.解釈の自由と制約
3.試験問題を解いてみる
4.まとめ

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「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 」(光文社新書)
(2005/9/20) 213ページ
西林克彦(著)
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