皆さま、おはようございます。本シェルジュの赤塚です。
本日ご紹介するのは、オムロンの創業者である立石一真氏の生涯を描いた本です。
オムロン(旧・立石電機)創業者の立石一真氏といえば、
マイクロスイッチや自動券売機、銀行を週休二日制に導くこととなったオンラインCD、
駅の自動改札の開発など世界初の快挙を数多く成し遂げた技術者です。
また、技術面だけではなく、社内ベンチャー制度やコーポレートガバナンスの考え方を早期に取り入れたり、
日本で初めての身障者福祉工場を設立するなどしており、
その経営者としての才能は、かのピーター・F・ドラッカーも絶賛しています。
このような、前人未到の大偉業を成し遂げるにあたり、
どのように考え、どう判断し行動していったのか。
立石氏の生き様に迫りながら、そのポイントをリアルに描いたのが本書。
なんのために仕事をするのか。
どうしたら人は動くのか。
世の中のニーズを掴むにはどうしたらよいか。
それらのヒントに触れることができます。
起業家の方はもちろん、「仕事をする」ということについて原点を見つめなおしたいビジネスマンに、
ぜひ手にとって頂きたい一冊です。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真
湯谷 昇羊 (著)
ダイヤモンド社 (2008/11/8) 323ページ
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今回の登場人物紹介
◆赤塚:本シェルジュ
◆N子:赤塚が勤める会社の同期
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N子:オムロンってさ、体温計とか体重計とかの
ヘルスケア関連の製品を扱うイメージが強かったけど、
自動改札つくったなんてスゴイね~。
これ読むまで知らなかった。
赤塚:ね!
しかも、技術だけじゃなくて経営論においても先駆者だよね。
N子:これ読んで思ったんだけどさ、仕事を楽しむとか、技術への追求とか
偉業を成し遂げた経営者の人たちには共通するものがあるよね。
松下幸之助氏とか稲盛和夫氏とか。
赤塚:私もそう思った。
成し遂げたことはそれぞれ違っていても、ベースにある考え方とか原理原則は
やっぱり同じところに行きつくのかもしれないね。
N子:これを機に、他の創業者たちの本も読んでみようっと。
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です 〓
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■P.27より
この時の経験から一真は、会社を創業した後、若い社員にはヒントを与えて
発明は考案の手助けをしてやり、成功したらその発明・考案者として花を持たせることにした。
そうすれば、その人間は創造・開発の醍醐味を知り、働きがいを感じて、
また次々と発明・考案を生んでくれる。
■P.53より
「一日はだれしも二四時間しかない。そのうち約八時間が睡眠、約八時間が仕事、
残りの約八時間が食事をしたり余暇を楽しんだりする時間だ。ちょうど三分の一ずつに分けられる。
この場合、仕事の八時間を楽しい八時間とするか、苦痛の八時間とするかで長い人生では大きな差ができる。
だったら、楽しい研究開発を一生の仕事にしよう」
■P.59より
創業からの10年ほどで、一真の経営に対するスタンスが少しずつ固まっていることがわかる。
まず「為せば成る」ということ。何もないところから立石電機製作所を始めたのだが、それでもできたという自信。
初めて機械を入れたのは半年後のボール盤だった。同様に、もったいないという精神。
どんなものでも活用する、注文は断らないという精神だ。
さらに買収話を断ったように、大企業の傘下に入らず自主独立を貫くという方針。
また、どんなに難しいと思われる技術開発でも執念と努力、それに技術があれば可能にできるというものである。
■P.94より
そこには、新しいマーケットをめぐって苦悶するなかで研ぎ澄まされた一真の感度の鋭さがあった。
大きなアンテナがあったのだ。それにより他人は気づかない電波でも一真はキャッチできた。
リンゴが落下するのはだれしも見ている。しかしそれを見て、万有引力を見出したのはニュートンだけだった。
それと同じだ。だれにもチャンスは訪れる。が、チャンスをものにするのは、
研ぎ澄まされた感度のよさを持った者だけである。
■P.105より
何しろ、相手の多様なニーズに合わせて創意工夫して製品を試作していくのだから、当然クレームも来る。
一真は「クレームは信用を得る第一歩」と意に介さない。
クレームに即座に対応すれば、技術力も信用も高まると考えていた。
■P.112より
開発するにしても、顧客がどんなものをほしがっているのか―それを一真は「ソーシャル・ニーズ」と言った―
顕在化しているニーズはまだしも、潜在ニーズをとらえてこなくては、オートメーションは進まないのだ。
いち早くそのソーシャル・ニーズをキャッチするために、一真は営業マンを使った。
営業マンは自分のところの商品を売るだけでなく、情報収集も重要な仕事だと徹底させたのだ。
このような方法を、アメリカでは「グラス・ルート(草の根)・マーケティング」と呼んでいた。
営業マンには会社に帰ってから報告書を書かせるのではなく、連絡票を持ち歩かせ、その場で書かせるようにした。
一真が画期的だったのは、営業マンに理工系の大卒を使ったことだ。セールス・エンジニアの草分けといえる。
■P.161より
「人にほめられては有頂天になり、人にくさされては憂鬱になるなんて、およそナンセンスなことだ。
人にほめられようが、くさされようが自分自身の絶対的な値打ちがそれで急に上がるものでもなければ、
下がるものでもないのだから」
■P.179より
「もっと商いの大切さを知らんとなぁ、商いいうもんは相手さんがあってこそできるもんや。
その相手さんが何を望んではるかわかってんのに、物理的にどうやからとか、いまの技術ではどうやとか、
努力も工夫もせずに『今回はこれで勘弁してください』などと断るなんぞは、もったいなくて罰が当たるで」
■P.323より
第一線の現場の声がトップに届かず、トップの決断・指示が間延びしている。
一真はこのような症状を「大企業病」と名づけた。
大企業病は、痛みの伴わない慢性病である。
ガンや腎臓病、肝臓病、糖尿病、脳出血などの怖い病気も、進行過程では痛みがないから、
気がついた時には手遅れになることが多い。
企業の場合も同じで、ぐずぐずしていると気がついた時には倒産の憂き目に遭いかねない。
■P.329より
改革は一九八三年六月、七年ぶりの大規模な組織改革の断行からだった。組織改革の狙いは二つ。
一つはトップと現場を近づけること、もう一つは適正規模の小事業部をつくり、徹底的な分権化を行い、
各事業部を企業内の中小企業として運営することだった。
(中略)一真は長年の経営経験のなかで、経営の要諦は「条件整備論」にあると考えていた。
条件整備論とは、「こうしたいと思ったら、必ずそうならざるをえないような条件を先につくってしまうこと」である。
このような社内ベンチャーの仕組みをつくられると、それぞれの事業部長は、
中小企業の社長と同じ行動に出るしかなくなるのである。
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〓 3)今日の気づき 〓
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オムロン創業者が成し遂げた、数々の偉業。
その根底にあるのは、目の前にある仕事に対する情熱とか、
人を幸せにするとった、シンプルで原理原則に従った考え方である。
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〓 4)本書の目次 〓
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第1章 青雲の志
第2章 立石電機創業
第3章 倒産の危機、オートメーションとの出会い
第4章 プロデューサー・システム
第5章 夢のスイッチ
第6章 生い立ちと社憲
第7章 自動券売機、再婚
第8章 交通管制システム
第9章 CDと無人駅システム
第10章 健康工学、オムロン太陽電機
第11章 電卓の誤算
第12章 大企業病退治
第13章 人を幸せにする人が幸せになる
「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真
湯谷 昇羊 (著)
ダイヤモンド社 (2008/11/8) 323ページ
amazonURL http://amzn.to/10yzvC6
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