こんにちは。本シェルジュの吉田です。
3月になり、もうすぐ春と心緩む季節になってきましたね。
と、こころといえば(無理やりな流れですが・・)、2017年のノーベル経済学賞
はリチャード・セイラー氏。授賞理由は心理学を経済学に反映させたこと。すな
わち「こころ」を組み込んだ経済学「行動経済学」の発展に寄与したことです。
経済学とこころは最も縁遠いイメージもあるかもしれません。ただし、「経済主
体は人間、経済モデルはそれを取り入れなければならない。」受賞決定後の会見
で語ったように、こころと経済学の関係は実は密接なものとして2010年の英国
キャメロン政権は、税収増の政策にもセイラー氏に協力を求めて、政策として生
かしているのです。
これを機会にみなさんもこころと経済学について触れてみてはどうでしょうか?
人は合理的には動かないてことに少し納得できるかも。
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1)本日紹介する書籍
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やさしい行動経済学
日経ビジネス文庫(2017/12/1 ) 260ページ
日本経済新聞社編
AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/453219847X
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2)本書を選んだ理由 どんな人が読むべき?
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昨年のノーベル経済学賞を発端にちょっとしたブームである行動経済学。人はち
ょっとしたきっかけで、不合理な経済行動をとることもあるかなと感覚的にはわ
かっていても、学問的に証明することは、難しい。しかし、その思考は、ビジネ
スパーソンとしても取り入れるべきとして、そ
の導入であり、幅広い著者の幅広いテーマ・・例えば、国民性の違い、倫理観・
価値観、差別と偏見、メンタルヘルス、約束、男女の行動の違い、幸福、希望の
役割、おもてなし、等々について、取り上げられている本書を紹介するものです。
正直、経済学だけに難しい文章もありますが、幅広い層の方に、手に取ってみて
はと思いました。本書は、過去、日経新聞に連載されたものに一部加筆し編集さ
れたものですので、短編集感覚でも楽しめるでしょう。
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3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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■P.48より
2011年6月に実施した東日本大震災に関する特別調査です。・・・満足度は自分の
消費に依存する効用に対応しており、幸福感は効用だけではなく、利他性が上昇し
てきずなが深まると充実感も上昇すると考えられます。節電などで、生活満足度が
低くなる中、全国で70%以上もの人が被災者のために寄付しました、このことが、
予想外の幸福感の上昇につながったものだと思います。
■P.228より
企業の異質性を考慮しながら、個別のメンタルヘルス施策の効果測定を行った・・
・企業のメンタルヘルス対策には、悪化防止を目的とする1次予防、早期発見を担
う2次予防、不調者の職場復帰を支援する3次予防といった段階があるといわれます。
検証結果を踏まえると、特に働き方に関わる職場レベルでの1次予防の重要性が高
いといえます。
■P.260より
人はコスト増の値上げは受け入れるが、便乗値上げは許さないことをセイラー氏は
理論と実験で示しました。・・・経済学はこころを無視できない。それが時代の大
きな流れとなっているのです。
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4)今日の気づき
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人は合理的に行動するから成り立つ経済学。人は不合理を前提とする行動経済学。
本書は、学問という難しいテーマを、身近なテーマで身近な研究(証明)を通して、
説明されており、しかもメンタルヘルスの研究など現在の我々になるほどと思わせ
るものもあり、ちいさな工夫=ナッジを毎日の生活や仕事のなかで少しでも活用で
きたらちょっと楽しくなるかなと思ったり、発想力は養われますね。
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5)本書の目次
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第1章 日本人は競争が嫌い?――精神性の特徴(坂本達哉)
第2章 倫理観・価値観と絆(大垣昌夫)
第3章 男女の行動の違い(竹内幹)
第4章 差別と偏見のメカニズム(松井彰彦)
第5章 希望の役割を科学する(玄田有史)
第6章 幸福とは何か(山田昌弘)
第7章 幸福度を測るポイント(白石小百合)
第8章 「おもてなし」――心情をくむサービス(近藤隆雄)
第9章 日本の組織と心理的契約(服部泰宏)
第10章 やる気を引き出す仕組み(小野善生)
第11章 メンタルヘルスをどう守る(黒田祥子、山本勲)
終 章 経済学とこころはどう付き合ってきたか(依田高典)
【解説】人の「こころ」を組み込むモデルを提唱
――2017年ノーベル経済学賞を読み解く
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