こんにちは! 本シェルジュの松林です。
先週末、所用で上野公園の近くを通りました。満開の桜目当ての人々でごったがえし、歩くのも容易ではないほどでした。皆さんはお花見をされましたか?
松林は40歳代ですが、ここ数年は桜の花を前にして、「あと何回これを観られるのか」と思うようになりました。
限りある人生。よい本をたくさん読んで、より深めていきたいものです。
さて、読書の法則として、「1年を経過していない本は読まない」を挙げたのは、ラルフ・ワルド・エマーソン(米国の思想家)ですが、今回ご紹介する本は発刊から10年以上経ち、半ば「経営学の古典」といえる本です。
本書には「技術」という言葉がよく登場しますが、ここでの「技術」は「資源を価値の高い製品やサービスに変えるプロセス全て」を意味し、業界を問わず使える内容になっています。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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イノベーションのジレンマ 増補改訂版
クレイトン・クリステンセン 著
(玉田 俊平太 監修、伊豆原 弓 訳)
翔泳社 (2001/7/3) 327ページ
amazonURL http://amzn.to/hw9ClX
今回の登場人物紹介
■松林:昔から新しいものに飛びついては痛い目に遭ってきた、2児の父。
■りか:小3の女の子。最近、なぜか伝記に夢中。好きなテレビ番組は
「がっちりマンデー」。
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松林:(押し入れに眠る古いパソコンたちを、引っ張り出して整理中)
りか:(コンパクトマックを見て)それってもしかして、アップルの
「マッキントッシュ」?
パパが買ってくれた「スティーブ・ジョブズの生き方」っていう
伝記に、ジョブズさんが抱いている写真が載ってたよ。
松林:そう、これだよ。今では普通だけど、パパが若い頃は、こういう
マウスで操作できるパソコンは珍しかったんだよ。
りか:アップルって、今でもiPhoneやiPadがたくさん売れていて、
”がっちり”なんでしょ?
松林:そうだね。ただ、途中では潰れそうになったこともあるよ。
会社も生き物だから、体が大きくなりすぎると小回りが効かなく
なって、変なものを売り出したりするんだ。
りか:ふ~ん、そうなんだ。
松林:例えばほら、この「ニュートン」。iPhoneやiPadの「ご先祖様」
みたいなものだよ。
手書きで文字を認識できるはずなんだけど、うまくいかないし、
当時はまだ携帯電話がなかったから、いちいち公衆電話に行って
繋がないと、メールも送れなかったし。
りか:なんだか困った子ね。そんなダメなものでも買っちゃうパパは、
アップルが大好きなんだね!
松林:・・・・・・
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です 〓
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■序章より
本書の目的は、先端技術分野かどうかを問わず(中略)様々な製造業やサービス業のマネージャー、コンサルタント、研究者を支援することにある。(P6)
■第一章より
簡単にいうと、優良企業が成功するのは、顧客の声に耳を傾け、顧客の次世代の要望に応えるよう、積極的に技術、製品、生産設備に投資するためだ。しかし、逆説的だが、その後優良企業が失敗するのも同じ理由からだ。(中略)すぐれたマネージャーは顧客と緊密な関係を保つという原則に盲目的に従っていると、致命的な誤りをおかすことがある。(P27)
■第二章より
企業は、あるバリュー・ネットワークの中で経験を積むと、そのネットワークに際立ってみられる需要に合わせて能力、組織構造、企業文化を形成することが多い。(P68)
(前略)顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。(P84)
■第四章より
上位市場の利益率が魅力的である、顧客の多くが同時に上位市場へ移行する、下位市場で利益をあげるためにコストを削減するのが難しい、この三つの要因が絡んで下位への移動に対する強力な障壁となっている。したがって、社内で新製品開発のための資源配分について議論するとき、破壊的技術を追求する案は、上位市場に移行する案に負けるのが通常である。(P131)
■第六章より
成長企業は、期待する成長率を維持するだけでも、毎年、収入を大幅に増やす必要があるため、小規模な市場が、このような収入を増やす有効な手段となる可能性は、しだいに低くなっていく。この問題に対処する最も簡単な方法は、破壊的技術の商品化を目的とするプロジェクトを、小規模な市場の機会にも十分関心を持てるほど小規模な組織に組み込み、主流企業が成長しても、このような慣行を繰り返すことである。(P171)
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〓 3)今日の気づき 〓
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経営学者のドラッカーは、「イノベーションの第一歩は陳腐化したものを計画的に捨てることである」と説きましたが、それだけでは、なぜそれが必要で、どうすればそれができるのかはピンと来ません。
本書を帯で推薦していた、出井氏のソニーでさえ、最近は何期も連続して赤字を続けているあたり、イノベーションの仕組み作りは簡単ではないのでしょう。
しかし、著者が説くように、技術革新の速度に差はあれど、様々な業界で「下克上」が起きる理由には共通の要素があり、それを避けるための工夫は可能だということは納得できます。
この本を一読した後、イノベーションを起こした経営者の行動パターンを分析し、そのために必要な能力とそれを身につける方法について解説した「イノベーションのDNA~破壊的イノベータの5つのスキル~」(翔泳社、日本語版 2012年1月発売)を読むと、さらに理解が深まると思います。
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〓 4)本書の目次 〓
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序章
第一部 優良企業が失敗する理由
第一章 なぜ優良企業が失敗するのか-ハードディスク業界に見るその理由
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
第四章 登れるが、降りられない
第二部 破壊的イノベーションへの対応
第五章 破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
第七章 新しい成長市場を見いだす
第八章 組織のできること、できないことを評価する方法
第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント-事例研究
第十一章 イノベーションのジレンマ-まとめ
『イノベーションのジレンマ』グループ討論の手引き
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イノベーションのジレンマ 増補改訂版
クレイトン・クリステンセン 著
(玉田 俊平太 監修、伊豆原 弓 訳)
翔泳社 (2001/7/3) 327ページ
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