こんにちは。
本シェルジュの三上友美恵です。
今回は震災より5年目の節目なので、想いを込めてこの本を紹介します。
2011年3月11日(金)14時46分、あなたはどこにいましたか?
私は数日後に新規開店する書店に到着した直後でした。
恐怖を感じるほどの激しい揺れ。
電車の手すりのように書棚が振り子運動をし、金属のこすれあう音の中、
棚から本が一斉に落下し始め、店内のあちこちで女性店員の悲鳴。
死ぬかも知れないと本気で思いました。
今回、ご紹介する本は被災した東北3県の書店復興ノンフィクションです。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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復興の書店
本の力を借りて 言葉の力を借りて そして私たち自身が元気でいれば
誰かの涙を乾かすことぐらいできるんじゃないかな。
東北3県で被災しながらも、熱い思いで人々に言葉の灯を届けようとした
12店舗の復興ノンフィクション。
稲泉 連
小学館 (2012/8/11 初版) 199頁
AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/4093798346
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〓2)付箋 ~本書からの内容抽出です〓
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3月22日、仙台市の大型書店で最も早く開店した丸善さんで見た光景でした。
あのときはまだ市内に食べるものがなく、多くの人たちが街中をひたすら
歩いて、スーパーの列に並んでいたんです。
そんな時でも丸善さんの店内を見ると、リュックサックを背負った人たちが
ぎっしりと入っていました。生活に必要な食料や水を買い求めるために
スーパーに並んだ人たちが、同じようにその足で書店にも並んでいるんですよ。
活字にかかわる商売をしている者の一人としてそれは胸打たれる光景でした。テレビや新聞では、ずっと津波の映像や不安になる情報が流れていました。
もちろんそれは必要な情報だけれど、そうではないものも欲しかったんですよね。
きっと。あのとき、世の中は自粛、自粛と言われていて、自分一人のために
何かをしたり楽しんだりしてはいけない雰囲気でした。
でも、大変な現状に耐えたり抗ったりするためには、やっぱり力が必要なんです。
その力を養うために本が必要とされたんじゃないかと、と感じるんです。本屋というのは神社の大木みたいなものでね。
刈られてしまって初めて、そこにどれだけ大事なものがあったかが分かる。
いつも当たり前のようにあって、みんなが見ていて、遊んだ思い出がある場所。
震災が浮かび上がらせたのは本屋はなんとなくあるようでいて、街の何かを
支えている存在なのだということではないか
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〓 3)今日の気づき 〓
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今、取次・書店の倒産が相次いでいる。
ネットの台頭・流通形態や生活スタイルの変化など様々に語られるけれど、
本が持つ魅力・言葉の力は決して失われていないと思う。
震災直後、戦後初めて業界が「発売日中止」の決定をした。
けれどあの時、何とかして届けて欲しいと声が上がったのは東北だった。
私たちはもう悲惨な映像は見たくない。辛い話も聞きたくない。
私たちに楽しい小説を、子どもが笑うマンガを届けてくれないか。
それを蝋燭の光の中で読み、明日に繋げるからと・・。
書店は街の光。
無くなってから初めて、失われたものに気が付く。
お年寄りや子どもが自分の手で本を選ぶ喜びが無くならないように、
本の魅力を伝えていきたい。
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〓 4)本書の目次 〓
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第1章 本は「生活必需品」だった
地元出版社の使命
第2章 福島に灯りをともす
未来に繋げる写真証言集
第3章 移動書店の人々
日本製紙石巻工場の「復旧」
第4章 ジュンク堂の「阪神」と「東北」
佐藤純子さんからのお便り
第5章 飯舘村に「本のある風景」を
印刷インキは文化を支える
第6章 復興の書店
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復興の書店
稲泉 連
小学館 (2012/8/11 初版) 199頁
AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/4093798346
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