こんにちは。
「本シェルジュ」の廣瀬達也です。
ブランド、「俺はブランドについて知っているぜ」と言い切れる人は少ないかもしれませんが、ある程度の経験のあるビジネスパーソンであれば「ブランド」はなんとなく分かった気になっているのではないでしょうか。「差別化」とか「家畜に押した焼き印が語源だ」とかなんとか。
ただ、「ブランド」といえば、なんとなくクリエイティブな人がなんとなくカッコイイことをやっている感じで、いやなフワフワ感を感じます。
今回の紹介本はそんなフワフワ感はありません。著者はクリエイターでなく会社員です。しかもダイキン工業というちょっと骨太感のある会社で33年以上会社員をされています。広報の現場でクリエイターと接しながらもしっかり実務を切り回してきた方。そんな方の話しは、分かりやすくはあってもフワフワしていません。
1)本日紹介する書籍
「実務家ブランド論」
宣伝会議 (2021/9/14) 253ページ
片山義丈(かたやま・よしたけ)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4883355276
2)本書を選んだ理由 どんな人が読むべき?
・ 教科書的なブランド論にちょっと疲れている人
・ クリエイティブなブランド論はなんか違うよね。と思っている人
・ 企業としてきちんと成果につながるブランドづくりを実践したい人
・ 企業の広報セクションの実務家をしている人
・ 「ウチの会社がナイキみたいなカッコいい広告作れるわけないじゃん」と思っている人
3)付箋 ~本書からの内容抽出です
どんな企業、どのような商品でも、きちんとブランドをつくることができること。これこそが、私がこの本で目指していることです。
世の中にある「ブランド論の教科書」に書かれている本当の意味や、ブランドをつくる実務家としての方法論が分かったのは、今から5年前です。実に28年もかかってしまいました。
ブランドとは、差別化されていないといけない。これは大きな間違いです。
世の中で使われている「ブランド」という言葉のほとんどが、実際は単なる「企業・商品・サービス」という単語の代わりに使われているものです。
ブランドとは、生活者の頭の中に自然にできた勝手なイメージ(妄想)です。
一番重要なことは、約束なんかなくても、差別化されていなくても、とにかく知られているということ。シンプルに、「知られていれば、それはブランドである」ということです。生活者が知っている企業・商品、それはすべてブランドです。
あなたがブランドづくりに取り組もうとしている商品は、AppleやNikeのようなスーパースターではありません。もともと他社の商品と比較して、大きくは優れてなどいない、平凡な商品なのです。
私は、どんな時代においても、「ブランドづくりの(最終かつ究極の)目的」は「企業や商品が儲かる」ことであると確信しています。
実務家ブランド論のブランドづくりで目指すのは、あなたの企業・商品を、人々が「なんとなく好きなレベル」になることで「お金儲けを最大化」すること。
社外の人の説明を聞いてうれしいと思ったこと、ここだけはわかってほしいと思ったこと、なぜか熱量を持って語ってしまうこと、これがあなたの企業・商品のこだわり、すなわち「存在価値」です。
4)今日の気づき
「ブランド」関わるビジネス領域は華やかで憧れるのですが、なんとなく「特殊な(才能の)人たちの世界」というイメージがあります。なので、ついつい「ブランドで食えるのか」的な「あのブドウは酸っぱい」系態度をとってしまいがちです(私の場合ですが)。その結果、「嫌いじゃないけど、なんとなく距離を置きたくなる」。「必要とは思うけど、私はお呼び出ないかも」などな気持になっていました。
この本はそんな私に、「ブランドに関わることも業務の一環である」という会社員的に受け入れやすい空気でブランドを語ってくれました。それは、著者さんが、私と同世代で、しっかりと会社員をされていて、なんといっても、実務に関わるビジネスパーソンに「通じる言葉」で語ってくれているからです。
Apple、Nikeなどのスーパースターを目指す必要はない(そもそも無理である)。凡人企業・商品が目指すべきは「なんとなく好きレベル」
という著者さんの説明は、実務家として説得力を感じました。
5)本書の目次
第一章 教科書ブランド論でブランドは作れない理由
・なぜ、あなたの会社はブランドが作れないのか?あいまいな定義が引き起こす問題
・あなたの企業・商品・サービスは凡人です!教科書ブランド論が与える幻想
・ 気が付けば社内から総スカン!? ブランド実務家が“孤立する”理由
・ブランドの階級は5階層 凡人企業がブランドづくりで目指すべきものは?
第二章 実務家ブランド論における「ブランドの土台」とは
・ 「機能的価値」より「情緒的価値」が高い異常な時代
・凡人の「存在価値」を意味あるものに変換するのが、「約束」
・「人格・個性」を偽ると、ブランドづくりは失敗します
・SDGsで、ブランドなんかつくれません!
第三章 実務家ブランド論のブランドづくりの方法
・そもそもブランドはどうやってできる?
・「目指すブランド」は、生活者からどんな企業・商品と思って欲しいのか!
終章 日本におけるブランドづくりはいばらの道。だからこそ取り組む価値があります。
「実務家ブランド論」
宣伝会議 (2021/9/14) 253ページ
片山義丈(かたやま・よしたけ)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4883355276
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