こんにちは、本シェルジュの松林です。
めっきり冷え込んできたこの時期にふさわしく?、今週は「真冬でも行列ができるかき氷屋さん」に関する本をご紹介します。
この本に登場する「埜庵」(のあん)は、藤沢市鵠沼海岸にあるかき氷屋で、本のタイトルのとおり冬でも行列ができる人気店です。
私も大好きなお店で、今までに何度も行ったことがあり、たしかに冬場でもよく賑わっています。
一杯800円するそのかき氷は抜群に旨いのですが、それだけで繁盛店になれるわけではなく、紆余曲折と多くの試行錯誤があったようです。
この本には従来の常識にとらわれずに新しい市場を生み出す過程が表されています。
創業希望者はもとより、企業で商品やサービスの開発をなさる方、マーケティング担当の方など、幅広い読者の皆様の参考になる一冊だと思います。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?
川上 徹也・石附 浩太郎 著
日本実業出版社 (2013/5/23) 253ページ
今回の登場人物紹介
■松林:本シェルジュ。飲食業やサービス業の経営者の相談をよく受ける。
■A氏:街の飲食店経営。器用なタイプで顧客の要望に柔軟に応える。
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A氏:実はちょっと悩んでいることがありまして。
松林:どんなお悩みでしょう?
A氏:うちはもともと、懐石料理などの和食から出発しました。その後、お客様の要望に応えてオムライスやシチュー等も出すようになり、今ではチゲ鍋など韓国料理も出すようになりました。そのうち、和食を楽しみに来てくださる趣味の良いお客様が減って、今では手頃な値段で宴会ができる何でも屋になっているんです。
松林:Aさんご自身はどうお考えなのですか?
A氏:う~ん。できれば、和の食材や調理方法を活かした料理中心に戻していきたいのですが、そうなれば少なくとも短期的には売上が下がることを覚悟しないといけませんし…
松林:小さなお店は、店主の考え方が色濃く出ます。Aさんのポリシーを貫き、それでもいいというお客様を増やしてファンにしていくことが大切ではありませんか? とはいえ、それにはリスクを伴いますので、よく考え、じっくり準備しなくてはなりませんね。
A氏:なるほど。その点で何か参考になる本などはありますか?
松林:この「真冬でも行列ができるかき氷やさん」の本、いいですよ。しばらくお貸ししますので読んでみてください。
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です 〓
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■P21より
今、流行っているものの10年前を考えると、「なぜ、そんなことをやるの?」といわれていたものがけっこうあると思います。今、常識的なことも10年後は、どうなっているかわからない。「今、冒険をしない、リスクをとらないということが将来にとっていちばんのリスクになる」という可能性もあるのです。
■P52より
近くの公民館のお客様を考えて、ハヤシライスやビーフシチューなどのランチにも力を入れていました。そうなると、腰の座ったお客さまでいっぱいになってしまい、かき氷を食べに来てくださるお客さまが入れなくなってしまう、というジレンマもでてきました。
(中略)
でも、やり方が間違っているとしたら「変える」しかありません。「かき氷以外の食事はやめていき、かき氷だけで勝負をかけよう!」そう決断したのです。
■P82より
氷づくりからシロップの原材料、つくり方の工夫などのストーリーをできるだけお客さまに伝えていくようにしてきました。やはり、同じかき氷を食べても、そのまま食べるのと、僕らが真剣にかき氷に向き合っているストーリーを聞いて共感して食べていただくのとでは、味の感じ方が大きく違ってくると思うのです。
■P89より
僕のような個人でやっている店は、すべての人たちの満足をめざすというより、「その店を必要としてくださるお客さまをつくっていく」ということが重要です。月並みですが、やっぱり「ナンバーワン」ではなくて「オンリーワン」をめざしていかなかればいけないということになります。
■P174より
みなに口を酸っぱくしていう言葉が、「だれにでもできる仕事が、実はやる人によっていちばん差が出る」ということ。「考えるクセ」をつけるというのは、やはり今の人にいちばん教えるべきことと思います。
■P190より
10年間やってわかったのは、時間軸をどう取るかによって、正解、不正解が変わるということです。「短期間で儲けたいのか」「たとえ、時間がかかっても、本当においしいかき氷をひとりでも多くの方に知っていただきたいのか」と。最終的には、自分がどういう商売をしたいかです。
飲食ビジネスについて集客のことしか書いていない本は、僕は間違っていると思います。
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〓 3)今日の気づき 〓
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ドラッカーは、「事業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である」という有名な言葉を遺しました。また、将棋の羽生善治さんは、「積極的にリスクを背負うことは未来のリスクを最小限にする」と述べています。
「埜庵」の石附浩太郎さんの事業への取り組みは、これらの名言を地で行くものだと思います。
飲食店に限らず、お客さまに接する全てのビジネスにおける成功のヒントを含んでおり、ぜひ参考にしたいと感じました。
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〓 4)本書の目次 〓
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第1章 リスクが大きいからこそ、先行者利益が生まれる-繁盛法則・その1
第2章 「おいしいものをつくれば、人は来る」という考えがドツボのはじまり-繁盛法則・その2
第3章 お客さんの要望に応えるだけがニーズではない-繁盛法則・その3
第4章 集客よりも、もっともっと大切なこと-繁盛法則・その4
第5章 TwitterやFacebookは商売繁盛には役立たない-繁盛法則・その5
第6章 効率的な商売に「伸びしろ」はない-繁盛法則・その6
第7章 行列はゴールではなく、スタート-繁盛法則・その7
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なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?
川上 徹也・石附 浩太郎 著
日本実業出版社 (2013/5/23) 253ページ
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