こんにちは。本シェルジュの村上知也です。

7月に入り、梅雨に台風と晴れない日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?

ヒトは不合理な動物

ヒトは不合理な動物と言われます。行動経済学の分野ですね。 5000円拾ったうれしさと5000円を落としたショックはどちらが大きいかというと、後者の方にショックを感じる人が多いと言われます。同じ5000円なのに。これは、保有効果ととよばれます。不合理ですよね? http://emotiva.london3.jp/emotion/theory/retention/

 

保有効果とは、自分が所有するものに高い価値を感じ、手放すことに抵抗を感じさせる効果のことです。人は保守的なもので、新しいものにしたときに得られるメリットよりも、今のものを失うことによるデメリットを多く見積もってしまうためにこのようなことが起こると言われています。

私もついつい不合理な行動をとってしまいます。締切が迫っているのに、ビールを飲んで寝てしまったり・・・それは単なるサボり?

それはさておき、本当に人は不合理なのでしょうか?

経済学が体系的に論理だった学問であるのに対して、行動経済学は心理学に近く、実験の積み重ねで理論が本当に成り立っているのか疑問に感じるものによく直面します。

基本的には自分自身は合理的な意思決定をできる経済人だと思っていますが、たまには経済人を踏み外した意思決定をしてしまいます。

うーん、やっぱり、不合理なのか。 と思っていたら、本書では、<意思決定には進化論>があると主張されています。すべての事象を経済人として合理的に意思決定しているわけではありませんが、場合場合によって、進化の過程にある<下位自己>にとって都合の良い合理的な意思決定はされているという内容です。ちょっとややこしいですね。

人が進化上の成功を考えるときには生存と繁殖の視点が中心になりますがそれが全てだときめてかかるのは簡略化し過ぎではないでしょうか?衣食住みちたりて、人間は社会性を持った動物へと進化しました。 本書によると 進化上の課題として、以下の7つが挙げられています。

(1)身体への危害を逃れる
(2)病気を避ける
(3)友人をつくる
(4)地位を得る
(5)異性の気を惹きつける
(6)その異性を手放さい
(7)家族の世話をする

どの課題を優先しているかによって人の選択行動は変わってくるのではないでしょうか? (1)危険なときはなりふりかわまず逃げるのが正しい行動でしょう。しかし、(5)異性の気を惹きつけるために、異性を守り、自分が傷をおっても闘うということはあるでしょう。 つまり(5)の人間にとっては自分を犠牲にすることは合理的だけれども、(1)のような1個の動物としてみたら不合理ということになるでしょう。

人間の選択の秘密・・・本書を読むとちょっぴり理解できるかもしれませんね。

<目次>

1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか 意思決定の進化論
ダグラス・ T・ケンリック (著), ヴラダス・グリスケヴィシウス (著),
講談社 (2015/1/23)352ページ
AmazonURL: http://goo.gl/zEsmck

今回の登場人物紹介
S子:ちょっとSな不合理人間
村上
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S子: お腹すいた
村上: 今何時だと思っているんですか、もう夜中ですよ。
S子: わたしがお腹すいたと言ったらすいたのよ!
村上: それで何が食べたいんですか?
S子: 肉ね。肉汁がほとばしる肉が食べたい。
村上: 夜中に食べると太りますよ。
S子: 太ったって食べたいものは食べたいのよ!
村上: 深夜だと深夜料金がかかって値段も高くなりますよ!
S子: それはあんたが出しときなさい!
村上: そんな不合理な・・・
S子: 人間は不合理な生き物なのよ

進化の段階によって意思決定の内容は変わるようです。
原始的欲求に則って生きるS子さんは、原始的だけど合理的なのかもしれませんね。
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です 〓
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■:P.12より
哲学者が何世紀にもわたって熟慮してきた問いであり、経済学や心理学、そしてわれわれの日々の生活の中心をなす問いでもある。その問いとは、「人の選択の背景にどんな理由があるか」だ。

■:P.15より
自分の頭のなかには、たったひとりの自己しかいないように感じるが、ほんとうは脳のなかには複数の異なる<下位自己>がいて、それぞれが固有の進化上の目標を狙い、優先することがらも全く異なっている。 魅力的な異性を口説き落とすのが目標の時と、悪党を撃退するのが目標のときと、地域での自分の地位を高めるのが目標の時では、それぞれ違う決定をくだすことになる。

■:P.27より
心の錯誤を裏付けるすべての証拠をもとに、行動経済学者は、従来のように人をコンピュータに似た非合理的な経済人として描くことに強く反論している。

■:P.28より
しかし、ほんとうに人はまぬけな愚か者で、自己の利益に反するばかな決定ばかりしているのだろうか。

■:P.45より 究極の問い
人は合理的なのか、不合理なのか? うわべだけをみると、われわれの多くの選択はバカげているように思える。 映画のチケット売り場に並んて、100ドルの賞金をたまたま当てる人になる方が、 150ドルの賞金を獲得するけれど、1000ドルをもらい損ねる人になるよりマシだと考える。 経済的には、「いいえ、けっこう、50ドル余計に貰いたくはありません」と断るのは不合理だ。人間はほんとうに合理的な経済人だろうかと真剣に危ぶむ人もいれば、人間はみんなマヌケな愚か者だと考える人もいる。
失礼だが、これには同意できない。われわれは経済人や愚か者ではなく、合理的な動物だ。たしかに意思決定にはバイアスがかかっているし、個々の決定は愚かしい場合もある。 しかし、そうしたすべてのバイアスや判断ミスの根底には、祖先譲りのきわめて賢明な意思決定の仕組みがある。 人がどのように意思決定するか理解するには、まず、脳がしかるべき選択をするように進化した理由を問わねばならない。
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〓 3)今日の気づき 〓
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経済人という経済的合理性にもとづく人間だと考えると、不合理な選択をしょっちゅうしてしまっているが、意思決定の進化論を学ぶと、段階段階での合理的意思決定をしていることがわかる。 つまり、他の人の選択を予想するには、その人の段階・状態を認識することが大事なんだと思う。

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〓 4)本書の目次 〓
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はじめに キャデラック、共産主義者、ピンクのフーセンガム
第1章 合理性、不合理性、死んだケネディたち
第2章 七人の下位自己
第3章 家庭の経済学とウォール街の経済学の違い
第4章 心のけむり感知器
第5章 現代の原始人
第6章 生き急いで若くして死ぬ
第7章 金色のポルシェ、緑の孔雀
第8章 性の経済学
第9章 深い合理性に寄生するもの おわりに 旅の記念品~おれにどんな得がある? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか 意思決定の進化論
ダグラス・ T・ケンリック (著), ヴラダス・グリスケヴィシウス (著),
講談社 (2015/1/23)352ページ
AmazonURL: http://goo.gl/zEsmck ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━