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ビジネス書書評の本シェルジュ

町工場の娘~主婦から社長になった2代目の10年戦争~

おはようございます。
本シェルジュの堀江賢一です。

『町工場』
この言葉にみなさんはどんなイメージを持ちますか?
中小零細企業、資金繰り難、経営不振、あるいは、日本の礎、モノづくりのDNA・・・読む人によって抱くイメージはさまざまでしょう。製造業の海外進出の波は町工場にも押し寄せ、海外に工場を持ったり、海外への輸出を事業の柱としている中小企業も実は多いのです。

しかしながら、中小企業であるがゆえに、先のイギリスのEU離脱のみならず、海外の市場環境や為替の値動きに大きく業績を左右されてしまいます。
その結果として、残念なことに廃業に追い込まれてしまう町工場も後を絶ちません。

そのような厳しい事業環境の中で、すべての中小企業が直面しているのが後継者問題です。

本日紹介するのは、社長である父親の急逝によって意図せず2代目社長となった女性が、どうやって会社を立て直し、数々の表彰を得るまでに育て上げたかを描いた物語です。

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 1)本日紹介する書籍
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「町工場の娘-主婦から社長になった2代目の10年戦争」
日経BP社 (2014/11/14) 248ページ
諏訪 貴子(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822250563

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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会社組織に属している人、そして企業支援をしているコンサルタントの人含め、すべてのビジネスパーソンに読んでいただきたい一冊です。それぞれの立場で様々な解釈をすることができ、多くのことを学ぶことができます。

たとえば、
入社3年目~5年目ぐらいまでの若手であれば、経営層が会社をどんな気持ちで回しているのかを知ることができますし、管理職手前の中堅社員であれば、会社経営を自分事と捉え、自分だったらどんな意思決定と行動をするかのケーススタディとして読むことができます。
また、経営層の人であれば、自分の会社に必要な志や、社内を活性化して元気のある会社をつくるための方法論を学ぶことができます。

また、コンサルタントの人であれば、人事面・財務面・生産面・販売面それぞれで中小企業が直面している課題をどのように解決できるかを包括的に学び、実践するための指南書とすることができます。

私自身は企業に勤めながら中小企業診断士としてコンサルティング・執筆などを行っている身ですが、本書は何度でも読み返す価値があると感じ、常に手元に置いてことあるごとに見直すようにしています。

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 3)付箋  本書からの内容抽出です
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「貴子さん、社長をやってください」「全力で支えるからお願いします」「本当に頼む、この通り」
幹部社員たちは私の前で頭を下げた。
「えっ?私が社長?」
全く想定していない事態に言葉を失ってしまった。創業社長の娘で、2度会社に入った経験があるとはいえ、その時の私はごく普通の主婦。経営はズブの素人だ。一方で家族での渡米の準備はすっかり整っていた。あまりにもかけ離れた2つの選択肢-
「まさに人生の岐路だ」(P.66)

1年目の意識改革では、工場での改善活動も展開した。初めは全体会議を開き、社員からより作業がしやすく、生産効率が上がるような提案を募った。だが、22人の社員が一堂に集まると、緊張し、委縮してしまう者もいて、なかなか活発に意見が出ない。そこで、発言しやすい雰囲気を作ろうと、職場ごとに少人数の「QC(品質管理)サークル」を設けた。
ふだん作業をしている中で思いついたアイデアを気軽に話し合えるようにという狙いである。
さらに、若手社員も遠慮せずに発言できるよう、部署を超えて同じ年代の社員を集めたクロスファンクショナルチームも立ち上げた。(P.92)

こうして社長就任後の1年を振り返ると、トントン拍子で改革が進んだように見えるかもしれない。だが、決して順風満帆だったわけではない。社長就任直後にリストラを断行した時には、私に対する社員の反発が大きくなった。その後も、研修や改善運動など、私が取り組んだことすべてに対して、最初は「どうして、そんなことが必要なのか」「なぜ、やらなくてはいけないのか」という抵抗があり、文句が出た。幹部社員から「てめえ、何考えてるんだ」と罵られ、ケンカになったこともたびたびある。
今、振り返れば、最初の1年は新しいダイヤ精機の経営を模索していた私と、突然それを押し付けられた社員とが、ぶつかり合い、お互いを理解し、歩み寄るまでの格闘の時間だった。(P.102)

経営方針は社員と私とのベクトル合わせだ。この会社の強みは何か。この会社が存在する意義は何か。社員に理解してもらえるわかりやすい言葉で示さなくてはならない。創業者は地震が示す方針や理念が先にあり、それに共感して後から入ってきた人たちと一緒に仕事を進めていけばいい。それに対し、2代目は創業者の下で働いていた人が納得し、ついてきてくれるような方針を新たに掲げなくてはならない。(P.108)

私が実践してきたのは、「物事には原理に基づいた原則があり、そして基本がある。基本があるからこそ応用ができる」という考え方だ。起きている問題に対して、「なぜ」を繰り返して原因を突き詰める。紙いっぱいに原因を書き出し、関係するものをつなぎながら、問題の根本をつかみ、原理原則に当てはめて対策を講じていく。(P.130)

予想もしていなかったことだが、2012年12月、雑誌「日経ウーマン」が各界で最も活躍した女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」に私が選ばれたのだ。(中略)父の急逝から8年。幹部社員はズブの素人から経営者に転じた私を支えながら、社員を守り、技術を磨き、会社を切り盛りしてくれた。人には言えない辛いこともたくさんあったに違いない。厳しいリストラを経験し、リーマンショック後の経営危機を乗り越え、人も会社も成長した。幹部社員が涙を流している姿を見て、私もこみあげてくるものを抑えることができなかった。思わず声が詰まった。(P188)
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 4)今日の気づき
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企業を経営するときに最も大事なのは、経営者が何を実現したいのかの想いであること。そして、その想いを従業員や、未来の後継者にしっかりと伝えていくこと。そしてそれにはとても時間がかかるということです。
筆者であるダイヤ精機2代目社長の諏訪貴子さんは、幸いにして幼少のころから父親について会社に出入りし、会社やそこで働く従業員が身近な存在となっていました。そのために、経営者であった父の想いを受け継ぎ、そして2代目としての新しい想いを積み重ねて従業員の皆さんに伝えていくことができたのだと思います(それでも大変な苦労があったことでしょう)。
跡継ぎをどうするかで悩んでいる中小企業のみならず、大企業であっても想いを伝えることには大変な労力と時間がかかるのです。だからこそ、企業経営の最も重要な部分と捉えて取り組む必要があるのでしょうね。
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 5)本書の目次
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第1章 突然、渡されたバトン
第2章 手探りの会社再生
第3章 私の仕事論
おわりに

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「町工場の娘-主婦から社長になった2代目の10年戦争」
日経BP社 (2014/11/14) 248ページ
諏訪 貴子(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822250563

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