皆さま、こんにちは。本シェルジュの赤塚です。

最近、肌寒くなってきました。
また、街を歩いていると金木犀の香りがします。
「読書の秋」がやってきましたね。
さて、今回ご紹介するのは、人と組織の「行動原理」に関する本です。

皆さまは、研修やセミナーに参加したとき、
終わった直後は「よし!明日から仕事で活用するぞ!!」と思っていても、
いざ職場に戻るとすっかりその勢いをなくしてしまい、
結局今までと変わらない生活を送る・・・という経験はありませんか?

他にも、部下の教育をしていてもなかなか成果がでない・・・
業務改善のプロジェクトを動かしているが、改善内容が浸透しない・・・
といった光景を目にすることはないでしょうか?

こういったことが起こる理由は、人や組織の「慣性」にあります。

「人や組織はどうすれば動くのか?」「どうすれば変革を継続できるのか?」
コーチングのプロで、企業変革に長年携わってきた著者が、
応用行動科学をベースに研究し、実践して得たノウハウを教えてくれます。
その内容も、人の行動原理や継続の方法、組織の「慣性」と網羅的であり、
また事例が多く紹介されていて具体的かつ実践的です。

「変革」を起こそうとしている方はもちろん、
変革とまではいかなくても、自ら成長し続ける社員や組織をつくっていきたいという方にも
ぜひ参考にして頂きたい一冊です。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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変革を定着させる行動原理のマネジメント―人と組織の慣性をいかに打破するか
中島 克也 (著)
ダイヤモンド社 (2008/10/18) 261ページ
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今回の登場人物紹介
◆赤塚:本シェルジュ。現在会社で業務改善に取り組んでいる。
◆N子:赤塚が勤める会社の同期
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N子:いまプロジェクト業務の改善活動してるんだよね?
   順調?

赤塚:いやー、まだまだ・・・。
   業務改善のミッションやビジョンは掲げてて、
   具体的な改善内容を記したガイドラインも作ったんだけど・・・。
   組織のメンバーにはまだ全然浸透してないよ。

N子:ガイドラインはどう使おうとしてるの?

赤塚:まだ明確ではないけど・・・
   とりあえず「プロジェクト業務の際にはこれに従ってね」という
   ルールにしようかなと。

N子:ガイドラインに従ってプロジェクト進めてくれるメンバーに対しては、
   それに対して何かフィードバックするの?

赤塚:・・・・・考えてない。

N子:そっか。
   人が行動するときってね、行動した結果がどうだったか?が
   その後の行動を左右するんだって。
   業務改善ってそういうところがポイントになると思うから、
   この本読んで、行動原理を勉強してみるといいよ。

赤塚:なるほど~。さっそく読んでみるよ!

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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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■P.48より
人間の行動はすべて、このように「誘発要因→行動→行動結果」というサイクルに沿って
起こるのです。
(中略)「将来の行動の頻度は、行動の前に存在する条件(誘発要因)ではなく、
その行動の直後に何が起こったのかにより決定される」ということです。
(中略)望ましい行動を繰り返してもらおうと思ったら「行動を起こさせるために
何をするか(誘発要因)」ではなく、「その人が行動したのに対して、何をするか(行動結果)」
をマネジメントすることが重要なのです。

■P.66より
「承認による行動強化」は、「行動をしている最中」、次に「行動が終わった直後」に行うのが
もっとも効果的です。それは、行動者が「どの行動に対して、『承認による行動強化』が行われたか」
をはっきりつかむことができるからです。

■P.119より
企業変革のプロジェクトが頓挫する原因のひとつに、「企業変革をしたところで、
自分に何のメリットがあるのだろうか」と社員が考えてしまうことにあります。
変革と言うからには、従来とは異なる行動様式が求められ、負担感があり、しばしば、
即座に確実にネガティブな行動結果を受けます。そのため、意識してポジティブな行動結果を
できるだけたくさん用意する必要があるのです。それが即座で、確実な行動結果ならベストです。
例えば、次のような方法があります。
・プロジェクトの進捗を目に見える形にする。
・サブゴールをいくつか設定して、それを達成するたびに祝う
・企業変革のプロジェクトに協力的なチームを表彰する
・プロジェクトメンバーの行動を頻繁に認める

■P151より
あなたの組織で活用しているシステムのフィードバックの部分について、
満足のいく項目はいくつありますか?
1 フィードバックがわかりやすい
2 ゴールに対して、フィードバックが行われている
3 当事者がコントロールできる業績をフィードバックしている
4 即座にフィードバックされている
5 フィードバックは個別に行っている
6 フィードバックが動機付けとなっている

■P.192より
承認の種類はできるかぎり用意しておくこと、承認があらゆる方面(会社、上司、業務、
同僚、顧客)から受けられる環境にしておくことが望ましいと言えます。
これらに偏りがあったり、種類が限られていたりすると、「飽き」が訪れる時期が早まります。
そもそも、脳は常に異質な刺激を求めているものなので、同じ刺激を与え続けていたら
緩慢なモチベーションダウンが起きるのは当然なのです。

■P.212より
ふだん、私たちは心の中で自分に対して「問い」を投げかけています。
これをセルフクエスチョンといいます。
「今日は何時にミーティングだっけ?」
「いつまでだっけ、あの仕事は?」
「このレポートでお客様は満足してくれるかな?」
人の行動は、こういったセルフクエスチョンをきっかけにつくられていきます。
したがって、セルフクエスチョンが後ろ向きだったり、マンネリなものだったりすると、
自己成長のスピードが鈍ります。
自己成長のスピードを高めるためには、質の高いセルフクエスチョンが必要なのです。

■P.214より
あなたが自分によくするセルフクエスチョンの中には、今まで出会った人たちから
投げかけられた「問い」があると思います。両親、先生、師匠、上司、先輩、同僚などから
投げかけられてはっとしたり、どきっとしたりした「問い」を今でも折々に思い出すという経験は
誰しもあるものです。
こうした「問い」は、あなたにとって宝物です。なぜ、その「問い」に刺激を受けたのかを
整理してみると、自分が陥りがちな傾向が見えてくるはずです。

■P.225より
部下の行動は、上司がよく使う「問い」の方向に流れていきます。
リスク回避に関する質問ばかりすれば、失敗を恐れる社員をつくります。
過去の質問ばかりすれば、過去に生きる社員をつくります。
否定の質問ばかりしていれば、自信をなくした社員をつくります。
その引き起こされた一つひとつの行動の積み重ねが、その職場の風土、その企業の文化と言っても
過言ではありません。つまり、あなたがふだん部下にしている「問い」が、
今の職場の風土をつくっているひとつの要因でもあるのです。

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〓 3)今日の気づき                       〓
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「変革」や「業務改善」は、パワーがいるとても大変なことではある。
しかし、ポイントとなるのは、承認であったり、フィードバックであったり、
問いかけであったりと日常での些細なひとつひとつの行動にある。

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〓 4)本書の目次                        〓
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第1章 なぜ変革は続かないのか?
第2章 人の行動原理をマネジメントする
第3章 変革行動を継続させる5つのヒント
第4章 人と組織の「慣性」をマネジメントする
第5章 自走する組織・チームのつくり方
変革を定着させる行動原理のマネジメント―人と組織の慣性をいかに打破するか
中島 克也 (著)
ダイヤモンド社 (2008/10/18) 261ページ
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