みなさん、こんにちは。本シェルジュの園田泰造です。

本日ご紹介する『悪魔の傾聴』は、ライターである著者の豊富なインタビュー経験に基づく実践的な傾聴テクニックが豊富に開帳されています。事例自体は、プライベート的なインタビューがほとんどですが、相手から本音を引き出す技術として、ビジネスでも十分効果があるのではないかと思っています。

非常に読みやすいので、一日で読めてしまうかもしれませんが、明日からの私的、公的な対人関係が変わって、あらたな人の一面に気づくことにより、困難な局面も打破するきっかけになるかもしれません。人の心の動きのカラクリが見えてくる一冊です。

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 1)本日紹介する書籍
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悪魔の傾聴~会話も人間関係も思いのままに操る
飛鳥新社 (2022/9/22) 264ページ
中村 淳彦 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4864109206/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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企業のマーケティング担当者はもちろん、製品開発や営業、そして経営者やコンサルタントだけでなく、対人関係に悩む、世の中の人の心の動きに興味のあるすべての方へ。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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P005 悪魔の傾聴とは、「相手から本音を聞き切ること」、または「本音を引きだすことで、相手の問題や疑問、現状の答えを相手から導きだすこと」になります。

P008 ここで断言しておきます。相手に好かれる会話をすることや、相手から本音を引きだすことは、コミュニケーション能力や、ネアカ・ネクラなど性格はまったく関係ありません。必要なのは簡単な技術と、日々の意識の心がけです。

P021 人と会話するあらゆる場面で絶対にやってはいけないことがあります。
・否定する
・比較する
・自分の話をする
この3つです。(中略)筆者はこれらの行為を「HHJの三大悪」と呼んでいます。三大悪を絶対にしないと心がけ、日々意識して実践するだけで会話の成功率は飛躍的にアップします。

P028 ピックアップ・クエスチョンとは、すでに相手が発言した単語や主旨を拾い、即時に短い質問を投げかけるテクニックです。自分が聞きたい・知りたい質問ではなく、相手の語りをもっと進めるための質問を投げるのです。

P032 誰でも、話したいことを聞いてくれた相手、希望を叶えてくれた相手には好印象を持ちます。(中略)自分が年上からされてきたように、年下にはついつい上から目線で語ってしまいがちです。その結果、時代遅れでニーズのない自分語りをして、若者の話をちゃんと聞くことができていません。多くの場面で、せっかくの会話を自分の話で壊しているのです。

P043 悪魔の傾聴では、常に聞き手が主導権を握っています。相手の言葉を注意深く聞きながら、欲望や感情を引きだすことに注力しましょう。そうすると、どんどん相手の人物像や生活が浮き彫りになってきます。「質問→返答→質問→返答」によって相手の物語を膨らませていくのは創造的な作業であり、その話を転がしていく手法を「(欲望と感情の)雪だるま術」と名づけることにします。

P074 日常生活の会話は突発的に起こることがほとんどであり、聞き手が位置を選べる状況にありません。そのような場合には、「90センチ程度離れる」「正面で向き合わない」ことを意識しましょう。

P087 始動でクローズド・クエスチョンを投げてしまうと、相手に高圧的な印象を与えてしまったり、聞き手に対して疑問符が浮かんでモチベーションが下がってきます。

P103 自分の意見はすべて封印すべきですが、特にやってはいけないのは、相手の語りを否定して、アドバイスすることです。これはリアルな対面コミュニケーションで多くの人に見受けられる最悪な行為です。

P155 信頼とは相手からされることであって、自分から働きかけることではありません。即、断捨離するべき危険な意識です。(中略)相手に、いかに自分が信頼できるかを語っても、相手にとってはどうでもいいわけです。

P159 心のセンタリングとは、あらゆる嗜好や趣向、ポジションが偏ることなく、心を常に中間に保ち続けることをいいます。(中略)このように様々な利害、対立が入り混じる人間関係のなかで、聞き手でいることを最優先事項と考えると、言うまでもなく「中間」「中立」「真ん中」が正解となります。
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 4)今日の気づき
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本書で提唱されている独自の手法や理論は、最初は抵抗があるものもありますが、よくよく考えてみると、なるほど自分がされたら確かに話しが続かないなとか、確かにそうかもしれないと思えるような実践的な内容が詰まっています。ついつい、相手の話の腰を折って、自分語りをしてしまったり、不必要なアドバイスをしてしまったり。今までの自分に反省です。

仕事でもプライベートでも、対人関係の改善のために、悪魔になって傾聴できるように、実際に今日から試してみたいと思います。
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 5)本書の目次
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P004 :はじめに
P019 :第1部基礎編 ピックアップ・クエスチョンと雪だるま術
P059 :第2部実践編 悪魔の傾聴を使いこなす
P141 :第3部    悪魔になるための心の調整
P205 :第4部上級編 人の本音を最後まで聞き切る11のテクニック
P256 :おわりに

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悪魔の傾聴~会話も人間関係も思いのままに操る
飛鳥新社 (2022/9/22) 264ページ
中村 淳彦 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4864109206/