こんにちは!本シュルジュ・イレギュラーズの関義之です。
2回目の投稿です。
今回ご紹介するのは、著作権に関する本です。
家の近くの本屋で平積み(でも、なぜか1冊だけ…笑)されていたので、思わず購入。
これがなかなか面白かったので、ご紹介することにしました。
著作権のトレンドが分かります。
中身も第一人者が書いているだけあって、信頼性があって、かつ、奥深い。
文章もとても面白く、すらすら読めます。
文庫本ですので、通勤電車の中で読んでみてはいかがですか。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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著作権の世紀-変わる「情報の独占制度」
福井健策(著)
株式会社集英社(2010/1/20)236頁
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今回の登場人物紹介
■Aくん:ネットが大好きな大学3年生
■Bさん:著作権法のゼミに所属している大学4年生
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Aくん:もうすぐ就職活動を考えないといけないなあ。先輩は、就職先は決まったんですか。
Bさん:私は、就職せずに、ロースクールに行こうと思って勉強をしているわ。そういえば、最近は、facebookを就職活動に利用している企業や学生が増えてきているみたいね。
Aくん:そうなんですよ。僕も、どんどんfacebookで情報発信して、アピールしようと思っているんですよ。
Bさん:そうなんだ。情報発信はいいけど、著作権には気をつけてね。
Aくん:どういうことですか?
Bさん:ほかの人の記事とか画像を勝手にコピーして投稿すると、著作権侵害になるわよ。「引用」として許される範囲であればいいけどね。
Aくん:そういうのって難しいですね。
Bさん:ネットが好きなら、著作権のことを勉強しておいたほうがいいわよ。オススメの本があるから、後で貸してあげるわ。
Aくん:ありがとうございます。
Bさん:でも、あなたの場合は、著作権うんぬんの前に、facebookを就職活動に利用すること自体を考え直したほうがいいわね。くだらない私生活の話題が多すぎて、就職活動にはむしろマイナスよ。
Aくん:…。
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です          〓
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■(「464.JP」事件について)「著作権侵害の損害額としては、(しかもほとんど個人の行為だったことを考えると)日本では異例な額でした。このことは、権利侵害の『被害者』だけでなく、情報を流す『加害者』にとってのリスクも端的に表しています。」(45頁)
■(動画投稿サイトについて)「こうした『浸食か補完か』という状況は、ネット上の新ビジネスをめぐってはしばしば見られ、ある権利者や産業がそのビジネスといち早く提携する一方で、他の権利者や産業が危機感をもつ理由のひとつとなります。」(53頁)…「ネットビジネスは創作者側の正当なビジネスを補完し、コストを適正に負担しているか。既存ビジネスとの共存の鍵は、その辺りにあるかもしれません。」(54頁)
■(カヴァーについて)「カヴァーは、いわば著作権の『グレー領域』です。法律的には別途の権利処理が必要な場合もあり、『JASRACの手続きだけで十分だ!』と正面きって断言はしづらいけれど、現場ではあまり厳格にせずスムーズに回っている。しかしグレー領域には違いないから、事前に挨拶を入れるような適度な潤滑油が求められる-そんなメカニズムが働いているようにも思えます。」(87頁)
■(保護期間の延長問題について)「こうした多次的創作は、私たちの文化にとって切り離すことのできない豊かな部分を形成しています。仮に保護期間がどんどん延ばされたら、そうした創作の源泉が細ってしまうのではないか。それは私たちの文化に、目立たずゆっくりと、しかし決定的な影響を与えるのではないか。延長論に対する危惧の奥深いところには、こうした懸念が横たわっているようです。」(121頁)
■(グーグルブック検索について)「これに黙っていられなかったのは米国作家協会と全米出版社協会で、グーグルのスキャン行為自体が(ビジネス目的での複製なので)著作権侵害だと主張して、「クラスアクション」と呼ばれる集団訴訟を米国で起こしました。グーグルは、スキャン行為は、本書でも後に紹介するフェアユース(公正使用)だと反論。法廷闘争の末、二〇〇八年十月、両者の和解案が公表されました。そして世界は、この和解案の内容に驚愕することになります。」(144頁)
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〓 3)今日の気づき                       〓
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デジタル化とネット化によって、あらゆる情報が瞬時に手に入る時代になった。
それと裏腹に、著作権侵害のリスクも飛躍的に高まっている。
著作権の保護と、利用する者の利便性、どちらにどれだけ配慮し、どこで線引きするか、バランス感覚だけではなく、ビジネス感覚も問われている。
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〓 4)本書の目次                        〓
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第一章 情報の独占制度
第二章 対立するテクノロジーと著作権
第三章 多次的創作の時代-カヴァー、アレンジと二十世紀芸術
第四章 PD、オア・ノットPD、それが問題だ-著作権は何年間守られるべきか
第五章 アーカイヴィングの現在-電子図書館、番組ライブラリー、フィルムセンター
第六章 変容する著作権-リフォーム論、DRM、パブリック・ライセンス
第七章 疑似著作権と情報の「囲い込み」
終章 情報の「世界分割」
著作権の世紀-変わる「情報の独占制度」
福井健策(著)
株式会社集英社(2010/1/20)236頁

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