こんにちは、本シェルジュの堀江賢一です。
外資系コンサルと聞くと、「なんだまたロジカルシンキングか」と思ってしまいがちですが、この書籍はひと味違います。
全てのビジネスパーソンに共通する知的生産物、たとえば、提案書、報告書、ひいては上司へのメールに至るまで、いかにしてそれらの品質をどのようにして効率良く高めるかについて詳細に記してあります。
以前、本メルマガで丸山さんが紹介した「読書を仕事につなげる技術」の著者でもある山口周氏の著書です。頭から雷に打たれたような気づきが満載でした。
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1)本日紹介する書籍
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「外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~」
光文社新書(2015/01)317ページ
山口周(著)
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2)本書を選んだ理由~どんな人が読むべき?~
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年齢関係なく、学生さんも含めて、なんらかの知的生産物を作成する方すべてに読んでいただきたい書籍です。
知的生産物を作成するときの心構え、他の人と違う味の付け方、知的生産物の受け手側のコントロールの仕方、品質の調整の仕方など、自分が作っている知的生産物にどのように価値を持たせていくかについての考え方が満載です。
記者やライターなど、常日頃から知的生産物を大量にアウトプットしている方でも新たな気づきがあると思います。
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3)付箋 本書からの内容抽出です
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◯どのような知的生産物を生み出せば、この局面で勝てるのか?という点についての見通しをつける。ここが、知的生産全体の成否を分ける前半での大事なポイントになってきます。
◯知的生産において差別化の対象になるのは、なんといっても「相手がすでに持っている知識」だということを、まずはしっかりと押さえましょう。知的成果の受け手が、何をどこまで知っているかを理解した上で、どうやって「新しい付加価値」を生み出すかを考える、ということです。この点を明らかにせずに知的生産活動に突入してしまうと、頑張ったけど全然評価されなかった、ということになりかねないので注意が必要です。
◯知的生産というのは結局のところ「行動の集積」にすぎません。その上で、さらにいえば、情報収集の成否は「腰の軽さ」で勝負が決まるという側面があります。「腰が軽い」というのは「まず行ってみる」「まず聞いてみる」といった態度で、取れる情報をどんどん取りに行くという行動様式のことです。情報収集をお願いすると、すぐにスジのよい情報が取れそうな人物や場所を社内外から見つけ出して話を聞いたり実際に行って観察したりということをやっている人がいる一方で、なかなか情報が取れないなあ、と悩みながら延々とウェブサイトや書籍や記事を引っ繰り返しては悶々と悩み続ける、ということをやっている人もいる。
◯例えば、「分析」ばかり多用して、「統合」や「創造」のモードを使わない人は、やたらと状況分析したり批評したりするばかりで、「ではどうするのか?」という問いに対して結論を出せない傾向があります。いわゆる「あの人は評論家ですよね」と批判される人にはこのタイプが少なくありません。あるいは、「創造」ばかり多用して「分析」や「論理」のモードを使いこなせない人は、面白いアイデアは沢山出せるものの、それを筋道立てて説明することができないという傾向が強くなります。筆者が知る限り、広告代理店のプランナーにはこのタイプが多いように思います。さらに、「論理」ばかり多用して「統合」や「創造」を使えない人は、いつもそれなりに的を射たことをいうものの、新味がなく、凡百で差別化の難しいプランしか作れない傾向があります。最後に、「統合」ばかり多用して「論理」「分析」を使えない人は、いつも短兵急に拙速な結論を出したがるという傾向が強くなります。刑事物のドラマなどですぐに犯人を決めたがるおっちょこちょいの刑事がよく出てきますが、これは「統合」モードだけに頼っている人の典型例といえるでしょう。ここ十年ほどは、ロジカルシンキングがブームになっているせいもあって、過剰に「論理」力が重要視される傾向が顕著ですが、先述した通り、クオリティの高い知的生産を行うためには、「論理」だけでなく、四つのモードをバランスよく高め、うまく使い分けることが必要です
◯いつもは六十点でやりすごしながら、ココゾというときに百五十点を取りにいく、というのが知的生産における勝ち方になります。自分が付加価値を出せないような知的戦場はそもそも避けるべきで、本当にやらなければいけないのは自分の知的ストックの「尖った部分」が思いっきり武器になる戦場を選んで、そこで敵を薙ぎ払うということなのです。まとめましょう。知的ストックの欠損を過剰に意識して、それを埋め合わせるために戦略資源の逐次分散投入を招くよりも、強みをどう作るか、どこを尖らせるかということをより重要視した方が筆者は合理的だと思います。
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4)今日の気づき
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知的生産物をアウトプットする際に、相手の持っている知識と同等のものを提供しても価値はないこと、くわえて、他の人が作るのと同じような論点で論理的に知的生産物を作っても全く他と差がつかず、これも価値を持たなくなってしまうということが新しい気づきでした。相手の期待値を超えるものを提供しようとは日々思っていますが、他の人と全く違う観点で知的生産物をアウトプットするという観点は今までの自分は持てていなかったので頭をハンマーで殴られたような思いです。
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5)本書の目次
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第1章 知的生産の戦略
第2章 インプット
第3章 プロセッシング
第4章 アウトプット
第5章 知的ストックを作る
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「外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~」
光文社新書(2015/01)317ページ
山口周(著)
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