こんにちは、本シェルジュの中島です。
ゴールデンウィークも後半、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は近場で
ぶらぶらしつつゆったり過ごしてます。こういう時間も良いですね。

そんな時間には似合いませんが、今回ご紹介するのは組織を動かすための権力構造を
実例を交えて解説した「独裁力 ビジネスパーソンのための権力学入門」です。
このメルマガでご紹介する本は、ちょっと変わったものを選ぶようにしているのですが、
今回は冒険でしょうか。

「独裁」という言葉を聞くと、避けるべきものというイメージが強い気がしますが、
著者は「リーダー力」を「コンセプト力(構想力)+独裁力(組織を動かす力)」と
分解します。

そして「組織を通じてコンセプトを現実化することができるのは権力者だけ」であり、
目的を実現したいのであれば、「権力を、乾いた視点で合目的的に活用し、何かを
実現するための道具として使いこなすことが必要」と説いています。

権力を「道具として使いこなす」ことにより、組織として大きく意見が分かれる場面で、
多数派工作などの社内政治を仕掛けてくる相手に対抗し、対立する意見をまとめ、
自分の意志を貫徹していくことができるのではないでしょうか。

企業のリーダーや各国の政治家が、どのようにして権力を固めていったのか。
いくつも事例が挙げられており、人事発表から権力構造の裏を考えみるのもおも
しろいかもしれません。

「独裁力」は上手に使うことができれば、組織がスムーズに動き、大きな成功に繋がる
可能性を秘めています。自らがその力を必要とする時のために、また自らがパワー
ゲームに巻き込まれた時に、冷静に事態を見るために参考になる一冊です。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〓 1)今日のオススメの一冊 〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
独裁力 ビジネスパーソンのための権力学入門
木谷哲夫
ディスカヴァー・レボリューションズ (2014/4/18) 182 ページ
AmazonURL:http://goo.gl/FoUio1

今回の登場人物
◆総務部:田中さん
◆第一事業部:清水さん

-------------------------------
田中:最近、役員がよくミーティングやってるよな。
清水:うちの上も連れ立ってお昼に行ったりですね。また、社長と役員の間で
揉めてるらしいですよ。
田中:そうか~、うちの社長、根回しとか苦手だもんな。特に合併してから
うまくいかなくなったんじゃない?
清水:合併して役員が倍に増えたじゃないですか。このままじゃ、何も決められ
なくなっちゃいそうですね。この本読んでもらいたいな・・・。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です 〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Kindleの番号になります。
●No.77
あるべき姿を頭の中に構築できるだけではなく、組織を使って実現する能力、という
ことです。次のように考えると簡単です。
リーダー力=コンセプト力(構想力)+独裁力(組織を動かす力)

●No.79
構想は借り物でも問題ありません。将来像はシンクタンクや参謀でも描けます。
しかし、組織を通じてコンセプトを現実化することができるのは権力者だけです。

●No.264
(間接部門が大きくなっている)手続きを過剰に重視する組織では、権力は、部下で
あるはずの事業部門や間接部門に移ってしまっているのです。

●No.381
組織文化というのは確かにありますが、言われているほどに固定的なものではあり
ません。ベンチャーから大企業になって、まったく別の社風の会社に変身するように、
簡単に変わるものです。

●No.641
権力=悪ではありません。
権力は、何かをしたい人にとってパワフルな道具なのです。
道具の生かし方を学び、使い方を間違わないようにすることが重要です。

●No.681
自分で選んだ支持勢力を新たに立ち上げ、古くからの勢力の権力を削ぎ、自分の権力
基盤を確実なものとしたわけです。

●No.699
(パナソニックの)こういう多角化し社内完了が肥大化した大企業では、社内の抵抗
勢力が極めて大きなものとなっているものです。
つまり、改革できるかどうかは、津賀社長が確固とした権力基盤を構築し、自分の
考えるベストな戦略を、独裁的パワーを行使して貫徹できるかどうかにかかっています。

●権力の法則
権力の法則1 コア支持層の数をできるだけ小さくする
権力の法則2 第一層を常に不安定な状態に置く
権力の法則3 第二層の予備軍を増やし、代わりがいくらでもいる状況をつくり出す
権力の法則4 自分のコア支持層にはきちんと報いる

●No.1542
タテ、ヨコの壁を壊し、できるだけ社員をミクロな単位に分割してトップと社員を直結
させることにより成立します。
エリートと現場が区別された階級制でもなく、お互いに無関心な部門が割拠する封建制
でもありません。トップがいて、従業員がいるだけの、フラットでダイナミックな体制です。

●No.2395
(権力を設計する際に)悪い奴が権力を濫用するかもしれない、その可能性を踏まえつつ
も、基本的には指導者個人の可能性を最大限に生かすように、強い権力の行使を可能にする
という、一種の割り切りが必要です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〓 3)今日の気づき 〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私は多くの方々と同じように「独裁」に対して全く良いイメージを持っていませんでした。
それに対し、本書では組織の力をあるべき方向に生かすために、権力を「正しく使い」、
あるべき道を実現するために「独裁力」を活かすと説いています。
独裁力は適切に使わないと、自分も組織も悪い方向に向かう可能性が高いので、
自分の中で基準を持って適切な活かし方はどうあるべきか考えていきたいと思います。

著者の木谷哲夫さんの考え方からは「結果を出すリーダーはみな非情である」「会社は
頭から腐る」などの著者、冨山和彦さんの考え方に近いものを感じました。組織を動かす
実務に精通すると、最後は権力構造に辿りつくと言う事でしょうか。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〓 4)本書の目次 〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第一章 内なる敵を知る 独裁力を阻むイデオロギー
第二章 権力基盤を構築する
第三章 動員力を高める
第四章 権力ゲームで失敗しないための裏ワザ
第五章 日本企業の生き残り策