皆さまこんにちは。「本シェルジュ」の設楽英彦です。
働き方改革関連法案が施行されて早2ヶ月近くが経過しました。
今年はGWが10連休と大型だったため、まだ実感がないというのが正直なところではありますが、これから年次休暇取得、残業制限などを身の回りの変化として感じられる方も増えてくるのではないでしょうか。
さて、本日紹介する本は「働き方2.0vs4.0」です。
「XX4.0」という言葉ははいろんなところで聞かれるようになりました。 「インダストリー4.0」「マーケティング4.0」など。
ここで出てくる「働き方4.0」が具体的に何を指すかは後述しますが、まず前提として 今日本で行われている働き方改革が2.0で、世界最先端の働き方が4.0ということです。 (端的に言うと日本は2周遅れ(!))
それだけ日本社会(戦後からの終身雇用と年功序列)の働き方が遅れているよ、 ということがいいたいのでしょう。
その背景は経済のグローバル化とテクノロジーの飛躍的向上にあります。
そんな変化の激しい時代に、この本で問いかけられている「10年後、幸福をつかむ人」になれるのかどうかは別にして、ご自身の働き方に疑問を感じている方にぜひ手に取ってみてほしい1冊です。(今回私が紹介する部分は本当にごく一部です!)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)本日紹介する書籍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる
PHP研究所 (2019/3/21) 272ページ
橘 玲(たちばな あきら)(著)
AmazonURL:https://amzn.to/2JrwN08
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)本書を選んだ理由 どんな人が読むべき?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・今の働き方に疑問を抱いている方やなんとなく将来に不安を感じている方
・これからの世の中を「働き方」というフィルターを通じて感じたい方
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)付箋 ~本書からの内容抽出です
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■Reader P.4 はじめに
働き方1.0 年功序列・終身雇用型の日本的雇用慣行
働き方2.0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリスト
働き方4.0 フリーエージェント(ギグエコノミー)
働き方5.0 機会がすべての仕事を行うユートピア/ディストピア
■Reader P.5 はじめに
(日本が)働き方2.0を実現したとしても、ぜんぜん世界の潮流に追いつけないこと。
最先端の働き方は3.0から4.0に向けて大きく変わりつつあるからで、その背景は新興国を中心とした経済発展(グローバル化)とテクノロジーの驚異的な性能向上
■Reader P.30 カルチャーデックの衝撃
「カルチャーデック」はネットフリックスの人事方針を説明した社内資料で若い起業家向けに公開したもの。「すべてのポストにもっとも優秀な人材をあてる」「業界最高水準の報酬を払う」「将来の業務に適さない人にはお金を払って辞めてもらう」「有給休暇を廃止する(労働者の裁量で休む)」「人事考課制度は時間と労力のムダ」などシリコンバレーの企業ですら腰が引けてしまう言葉が並んでいる。
■Reader P.48 自分より優秀な人だけを雇う
グーグル式採用術のもっとも重要な原則は、「自分より優秀なひとだけを雇う」ことです。最高の人材を求めている以上、候補者の能力が自分より劣っているようでは意味がない。
■Reader P.154 置かれた場所で枯れていく
(日本型の年功序列・終身雇用を述べた上で)日本企業は上から下まで不満を抱えた社員だらけになってしまいました。シニア社員は、会社を辞めてしまえば生きていく術がありませんから、どんなことをしてでもしがみつこうとします。若い社員は安い給料で長時間労働を強いられ、上の世代に比べて圧倒的に割を食っていることに不満を募らせています。女性社員は、出産によってキャリアを閉ざされることに不安を感じ、専業主婦になろうかどうか悩んでいます。
■Reader P.168 日本には低スキルの移民がやってくる
空前の人手不足を受けて、安倍政権は外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切りました。「優秀な人に日本に来てもらう」そうですが、外国人だというだけで社会の最底辺に押し込められ、そこから上昇する望みがないのなら、そんな国に人生を賭けようなどどは誰も思わないでしょう。
■Reader P.246 「好きなことで生きていく」しかない残酷な世界
「好きなことで生きていく」というと、「そんな甘いことが通用するはずがない」という批判が必ず出てきます。そのようにいうひとは、労働とは生活のための社会悪であり、「苦役」であると考えています。しかしそうなると人生100年時代には20歳から80歳代までのすくなくとも60年間、労働という苦役をやり続けなければなりません。私には、こんなことが出来る人がいると考える方が荒唐無稽としか思えません。
■Reader P.258 不安感が大きいという日本の病理
不安感が大きいというのは日本社会に深く根付いた「病理」でその結果、会社に「安心」 を求めて終身雇用にこだわり、自分たちでタコツボを作って苦しんでいるわけです。
■Reader P.285 不愉快なことは世界からどんどんなくなっている
アメリカでは高収入のスペシャリストのあいだでフリーエージェント化が進んでいます。私はこれを時代の必然だと思いますが、その理由は人間関係を選択したほうが人生がずっと楽しくなるからです。
■Reader P.316 不愉快なことは世界からどんどんなくなっている
「未来世界」で生き延びるのは、会社に所属しているときでも常に「フリーエージェント」として仕事していると考え、会社のブランドに依存するのではなく、自分自身のよい評判を増やしていけるひとです。
※ 「Reader」はソニーの電子書籍リーダーです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)今日の気づき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本著の結論としては「好きなことを仕事にして働くこと」ということになります。
「ライフシフト」とも深く関わってくるのでしょうが、主テーマが「働き方」なのでどちらかというと「ワークシフト」の方が近いのでしょう。 実際ワークシフトにおいても、長男が「ぼくはジャーナリストになりたい」、 次男が「ぼくは医者になりたい」という話が本を書くこととなったきっかけになっています。つまり、社会の変化を受け入れることは必要だが、それでも自分の好きなことをやるべきという点が主張されています。
また、今回は書き切れないのでカットさせていただきましたが、ネットフリックスやグーグルといった米国企業だけでなく世界中の働き方が第2章で描かれています。働き方と法との結びつきが強いのはどの国も同じで、例としてオランダやデンマークの働き方が紹介されています。そしてどの国も試行錯誤しながら自国にあった制度を採用しています。非常に興味深いのでぜひご一読ください。
それと内容とは直接関係ないですがこの本の「おわりに」の最後の1文は衝撃的でした。「本書はライター山路達也さんにインタビューしてもらい、それに加筆しました。」というものです。山路達也さんが有名なライターであることは承知のこととして、またご本人が加筆をされたとはいえ、橘さんがここまで理路整然とご自身の考え方を「インタビュー」 という形で伝えられることの凄さに驚きました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5)本書の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
はじめに 「未来世界」と「前近代的世界」に引き裂かれて
第1章 生き方・働き方が衝撃的に変わる未来
第2章 前近代的な身分制社会・日本
第3章 会社や管理職はなくなるのか?
第4章 「未来世界」で生き延びる方法
おわりに 日本の未来は明るい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる
PHP研究所 (2019/3/21) 272ページ
橘 玲(たちばな あきら)(著)
AmazonURL:https://amzn.to/2JrwN08
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コメントを残す