こんにちは、本シェルジュの酒巻秀宜です。
よろしくお願いいたします。


今回は、みなさんご存じのジャーナリスト・池上彰氏と、知る人ぞ知る、元外務省主任分析官でインテリジェンスのプロ・佐藤優氏の共著です。

誰もが知っている寓話を独自の視点で読み解き、人生や世界情勢、夫婦関係や、組織で生き残るすべまで、計20話を読み解いていきます。


• 1)本⽇紹介する書籍
本日ご紹介するのは 

グリム、イソップ、日本昔話 人生に効く寓話 

です。

  • 著者:池上彰、佐藤優
  • 出版社 ‏ : ‎ 中公新書ラクレ
  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/1/10

どんな⼈が読むべき︖
ビジネスのヒントを得たい方
混迷の時代を生き抜く知恵を得たい方
単純に「どんな話だったか?」寓話の復習をしたい方

• 2)本書を選んだ理由

それはズバリ、著者です。

池上さんはジャーナリストの視点、佐藤さんは外交・インテリジェンスに加え、神学の視点も持っている知の巨人です。自分が持っていない視点からの気づきが得られると思ったからです。
また、お二人の共著はたくさんあります。何冊も読んでいて、すごく勉強になるので、出れば買っている。
そしてテーマは寓話。どんな話だったか、改めておさらいしたい。
この三点からです。

• 3)付箋本書からの内容抽出です

P239
佐藤
バリバリ仕事をしている20代、30代くらいのビジネスパーソンにこういう話をしても「今さら昔話を聞いて、何の意味があるのか」という感想を抱くかもしれません。「そんな暇があるのなら、英会話学校に通ったり、簿記の勉強をしたりした方がよほどいい」と。

池上
スキルアップは必要かもしれませんが、それだけではなかなか世界は広がりませんよね。じんわり血肉になるような、いわゆる教養を身につけることは、やがて仕事にも役立つはずだし、新自由主義の世の中で自分を見失わないための、よりよい生き方の指針にもなると思うのです。

• 4)今⽇の気づき
寓話は長く読み継がれてきた古典。時代背景に関わらず、学び取れることが多い

子供のころに一度は読んだことがある寓話。しかし、子供向けにストーリーや結末が変えられてしまっていることが多く、バリエーションも多く存在します。「オリジナルはどんな話だったか」を、この本ではまず知ることができます。それは時にグロテスクで、救いがない、あるいは何が言いたいのか
よくわからない話もありました。

しかし、長く生き残って現代に読み継がれているということは、作品に力があり、そのままでは子供に読ませることはできないが、改変を加えてでも子供に伝えたいと思わせる何かがあるということ。

その何かとは、おそらく「普遍性」です。再現性がある、とも言えます。
自分の時代はこうだった、自分と同じようにがんばれ、君たちに足りないのは努力だ。。。そんな手柄話、自慢話に閉口している人には、ぜひおススメです。(自分も十分に年を重ねているので、そういう話を若い人にしないように自戒を込めながら)

• 5)本書の⽬次
プロローグ 現代に昔話のページを開く意味/
第1章 ギスギスした弱肉強食社会を知る(新自由主義の中で心が折れないために 「すっぱいぶどう」/
競争社会のあさましさ 「蜘蛛の糸」/
インフルエンサーと大衆「兎と亀」/
兎は文春砲?許してくれない「世論」の恐怖「かちかち山」)/
第2章 競争社会の作法(「ほっこり」の中に貫かれるシビアな商品経済の論理 「手袋を買いに」/
差別と道理とお金をシンプルに教える 「山ねこおことわり」 ほか)/
第3章 競争社会の人間性(いじめの構造 「白雪姫」/
秘密は自分の口から漏れる 「因幡の白兎」 ほか)/
第4章 寓話、昔話を読む意味(特別な体験をすると、引き返せなくなる 「注文の多い料理店」/
植民地支配の非対称性 「桃太郎」/
危険なニヒリズムを排除せよ「藪の中」)