こんにちは。
「本シェルジュ」の廣瀬達也です。

5年前の2016年、日本経済新聞に掲載された「新たに取得したい資格ランキング」で中小企業診断士が1位となったことは診断士業界でちょっとした話題となりました。その後どうなったでしょうか?ちょっと調べてみると2021年はTOEIC-A、Bにワンツーフィニッシュされ、中小企業診断士は3位のようです。けっこうがんばっています。
さて、今年デジタルマーケティング事業を進めるPLAN-Bが行った「大人がなりたい職業ランキング」における1位はライターでした。このことがライター業界ではちょっとしだ話題になっているとか。

今回は「書く」ことついての本の紹介です。
ビジネスパーソンの中で「書く」ことそのものが仕事の人は限られるかもしれません。しかし、なんらかの形で「書く」ことからは逃げられないのもビジネスパーソンだと思います。
コロナ禍で一気に普及したオンライン化により、「発信力」の大切さが見えてきました。正しく、効果的に「発信」するために「書く」力は強力な武器になります。SNS発信したり、ブログ書いたり、note書いたりしている人も少なくないですよね。この「書く」力を強化するにはどうすればよいか? それは、「書くことを仕事にしている人たち」が取っている、考えている戦略・戦術を参考にすることも有効な手段の1つと思います。
特に今回紹介する本は、表紙にも書かれているように「文章術の本ではありません」。仕事の取り方、お金の話しまでを含めた、「書くことを生業としたビジネスパーソン」の「書く」以外のエッセンス(「心意気」とも言えそう)がたっぷり詰まっています。


1)本日紹介する書籍               


「書く仕事がしたい」
CCCメディアハウス (2021/10/30)  336ページ
佐藤友美(さとう・ゆみ)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4484212250


2)本書を選んだ理由  どんな人が読むべき?                

・ 仕事で企画を考えることが多いが、なかなか自分の企画が通らない人。
・ ブログなどで魅力的な情報発信をして、自身のブランディングをしたい人。
・ 現在、所属している組織から独立することを考えている人。
・ 戦略的な情報発信の考え方を知りたい人。
・ 会社員として自社の広報セクションなど情報発信する立場にあり、自社の活動に貢献できる発信力を獲得したい人。
・ 個人事業主として、継続的に仕事を獲得できる力を身に付けたい人。
・ SNSなどで批判的なコメントを受けたときの適切な心のあり方、対応方法を身に付けたい人。
・ 自分自身の働き方を見直したい人


3)付箋 ~本書からの内容抽出です    

書く仕事で生きていくのに最も重要なのは、文章力ではありません。文章が上手いことと、書いて生きていけることは、イコールではないのです。

ライターに必要なのは、才能ではなく技術です。言い換えれば、私たちはアーティストである必要はなく、私たちが目指すべきは専門技術をもったビジネスパーソンです。

ライターの仕事の多くはフリー演技ではなく、決められた場所にボールを投げなくてはいけない仕事なのです。後で詳しく書きますが、この「どこに向かって書くか」は実は「何を書くか」と同じくらい重要で、読者に対する相場観を持てるかどうかは、ライターとして生き残れるかどうかの大きな境目になります。

ライターという職業であれば、特殊な才能はいりません。ただ、どんな状態でも常に「書き続け」なくてはいけないし、「書き終わら」なくてはいけない。多分、ここが、プロのライターになれるかどうかの境目だと思う。

書いた文章が上手いかどうかよりも先に、そもそも、その媒体の相場観に合っているかどうかをチェックされる。それが、媒体で原稿を書くという仕事です。

「徹子で触って、タモリで脱がせる」。人の話を聞くときには、大きく分けて2つのパターンがあります。私はこれを「徹子式」と「タモリ式」と呼んでいます。

「自分が編集者だったら、どんなライターと仕事をしたいか」と考えて、いろいろ試行錯誤した結果、「編集者とずれのない相場観を持つことが大事だ」と気づいたという順番です。

このとき、単に順番を考えるだけではなく、それらのグループを「どのような接続詞でつなぐと話を進めやすいか」を意識しながら考えると、自然とわかりやすく論理的な構成が作れます。「接続詞」でつなぐということは、因果関係をはっきりさせることと同義です。論理破綻がある場合は、接続詞が不自然になるので、すぐに気づきます。

そうか。どこの誰かもわからない人の言葉に傷つくことは、自分を大切にしてくれる人に対して失礼にあたるんだな。これは当時の私にっとって衝撃的な発見でした。

これだ!批判的なコメントとも、こうやって付き合えばいいんじゃないか。つまり、コメントを因数分解するのです。因数分解して、ゴミはゴミ箱に捨て、役に立つ指摘は懐に入れる。

①自分の時給よりも低い価格でお願いできるもの ②自分がやる必要のないもの ③自分でやっても楽しくないもの のすべてが当てはまったら、外注すると決めています。

もうひとつ、私が心がけていることがあって、それは仕事が終わったときに「どこが良くなかったかを編集さんに聞く」ことです。これはずば抜けて高い顧客リピート率を誇る美容師さんの話をヒントにしました。

自分の手元にあるカードの、どれとどれを組み合わせれば最強になるのか。ポーカーで言えば、どのカードを捨てて、次のカードを狙いにいくか。そんなことを毎日毎日考えて生きていました。

「視点」とは、ものごとの「どこを見るか」です。「視座」は、ものごとを「どこから見るか」です。つまり、視点か視座、このどちらか(両方でも良い)が面白ければ、面白い原稿になるのではないかと思ったのです。


4)今日の気づき                        

たまたま個人的にライターという仕事に関心があったこと、そして、著者の佐藤友美(さとゆみ)さんはブックライター塾の先輩でもあったことから、この本を手に取りました。読んでみると、「こ、これってライターというより、今の時代をサバイブしていくビジネスパーソン全てに必要なことが満載じゃないか…」と思いました。
「ライター」を自分の職種、「編集者」を自分のお客様とみなすと(完全ではないですが)、かなりの部分で共感と学びを感じます。
「どこに向かって書くか」、とか「相場観」という単語は、いろんな職種の場面にも通じてくるものではないでしょうか。
企画の立て方、差別化の作り出し方など、ビジネスパーソンに必要な視点であり視座たちです。そして、それらをテンポよく叩き込んでくる筆力。このあたりはさすがライターです。

この本はEPILOGUEが一段とグッときます。言葉に関わる「書く」という仕事を生業とするライターとしての生な声というか決意というか…。ぜひ最後まで読んでいただきたいです。


5)本書の目次 

                        

PROLOGUE  この本は、どんな本「ではない」か 
CHAPTER1   書く仕事を知りたい
        -書く仕事にはどんな種類があるか? 等
CHAPTER2   デビューするまでのこと
        -強みはどうつくる?どう売り込む? 等
CHAPTER3   書く仕事に必要な技術
        -仕事を受けたら、まずやるべきことは? 等
CHAPTER4   書く仕事に必要なマインド
        -disコメントにどう向き合うか? 等
CHAPTER5   とどまらずに伸びていくこと
        -年齢や生活にあった働き方とは? 等
EPILOGUE    書くとは世界を狭くするということ


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「書く仕事がしたい」
CCCメディアハウス (2021/10/30)  336ページ
佐藤友美(さとう・ゆみ)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4484212250
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