みなさん、こんにちは。本シェルジュの園田泰造です。
「ゆでがえる」という言葉をご存じでしょうか。中小企業診断士の2次試験
にも登場したことがありますが、環境の変化に長い間気が付かず、気づい
た時には、すでに手遅れになってしまう状況のことですね。企業だけでな
く、人の生き方にも当てはまる部分があるかと思います。

本日ご紹介する本は、2000年に翻訳版が日本でも出て、世界的なベストセ
ラーとなった「チーズはどこへ消えた?」の続編として、昨年刊行され、
今年になって日本語版も発売された一冊です。

前著「チーズはどこへ消えた?」では、ある迷路に住む、2匹のネズミ、
変化に目ざといスニッフとすぐに行動するスカリー、そして2人の小人、
うまく変化の波に乗ろうとするホーと変化を恐れるヘムが、なくなってし
まったチーズ(求めるものの象徴)への対応の結果、ヘムだけは食べ物も
なく、迷路の中に一人取り残されてしまう物語です。

そして、その続編として、本書では、そのヘムを主人公として、どうすれ
ば、生き残れるか、その処方箋が示されます。そしてそのきっかけをつく
ってくれる存在として、小人のホープが登場します。果たしてヘムは、生
き残ることが、できたのでしょうか。

100ページほどの薄い本ですので、1,2時間程度ですぐ読めてしまい
ますが、前著含めて、机上に置いて、何度も読み返したくなる一冊です。

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 1)本日紹介する書籍
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『迷路の外には何がある?』 ―『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
扶桑社 (2019/2/27) 102ページ
スペンサー・ジョンソン (著), 門田 美鈴 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4594081657/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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前著を読んだ方はもちろん、毎日がなにかうまくいかないと思ってはいる
が、ついつい特に気にせず、いつかうまくいくようになるさと、いつも自
分に言い聞かせてしまいがちな人。自分ではうまくいっているような気に
なっているが、本当に大丈夫なのか、怖くて確認できないでいる人。世の
中の変化にどうもついていけてないなと、感じたことのある人。現状を見
据え、何か今の自分を新しい世界へ連れていきたいと考える全ての方へ。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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P18 ヘムは何日もチーズ・ステーションCの近くの自宅にこもって、うろ
   うろ歩き回り、あれこれ思い悩み、いらいらしていた。いまなお毎
日、チーズが現れるのではないかと思い、そうならないことが信じ
られなかった。自分の居場所を堅持し、ずっと待っていれば、事態
は好転すると確信していた。しかし、そうはならなかった。

P28 従来どおりの考え方をしていては新しいチーズはみつからない

P46 信念とは、自分が真実だと信じる考えのことである

P48 古い信念はあなたを囚人にしかねない

P50 あなたの足を引っぱる信念がある あなたを向上させる信念もある

P52 あなたは考えを変えることができる 新しい信念を選び取ることがで
きる

P54 あなたとあなたの信念はイコールではない あなたは自分の信念を
選ぶことができる

P56 もし可能だと確信したら、あなたは何をする?

P58 あなたが信じられることに限界はない

P61 チーズはどこから来ていたのか?これまで自分は疑問に思ったこと
はなかったのか?(中略)なかった!それは確かだ。ヘムは胸がド
キドキしてきた。どういうわけか、これは重要なことだと感じた。
(中略)それから、ホープがヘムを見て言った。「迷路の外には何
があるのかしら」

P64 あるかどうかわからなくても あると信じなければならないことも
ある

P68 自分が考えたことをすべて信じる必要はない

P71 ホープはそのトンネルへ這いこんだ。ヘムもつづいた。ホープの先
導で這いながら先へ先へと進むと、やがてトンネルの先に光が見え
てきた。

P80 三人は静かに立って、信念が持つ、人の足を引っぱりもすれば向上
させもする恐るべき力に思いをめぐらせた。人はその信念を変える
こともできるし、その場合でも、その人はその人であることに変わ
りはないという感動的な発見についても。   

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 4)今日の気づき
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前著では、状況の変化を常にウォッチし、変化に気付いたら、すぐに行動
を起こすこと、変化への適応の重要さを説いていました。そして、本書で
は、どうすれば、うまく変化に適応できるようになるのか、その方法論を
ヘムの心理描写を通じて読者に語り掛けてくれています。

「信念」には、悪いものと良いものがあるという考え方が新鮮でした。
「信念」を変えることは、自分自身を否定することではないというという
ところが、うまく思考を転換できるか、変化に適応できるかの一つのカギ
のような気がしました。

食べ物はチーズの他に、リンゴもあるし、他にもあるかもしれない。自分
の悪い信念「思い込み」を捨て、あたらしいものの見方をすることができ
るか、これが非常に難しいことではありますが、その分非常に大切なこと
でもあります。人間ついつい楽な「枠内思考」に囚われてしまいがちです
が、思考も柔軟に冒険させることを楽しめるようになりたいものです。

以前、頭の体操というパズル本に、迷路の入り口に立つ勇者が、迷路の出
口の外にいるお姫様を助けるにはどうすれば良いかという問いがありまし
た。二人の間には複雑そうな迷路の図が。なんだ迷路問題かと、迷路の中
を進むと、途中完全に仕切りができていて、絶対に先へ進めなくなってお
り途方に暮れてしまいます。

答えは、おわかりでしょうか?そう、迷路に入らず、迷路の脇を外からお
姫さまの元へ進む、でした。インチキのように見えますが、選択肢の一つ
として、無限の可能性を信じて、思考を広げられるか、枠内思考から抜け
出す、良い事例だと思います。

前著と併せても2、3時間もあれば読めて、なおかつ深いこの一冊、ぜひ
「読んでみる」という選択肢を今すぐ実行してみてはいかがでしょうか。

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 5)本書の目次
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『迷路の外には何がある?』について
まえがき
セミナー シカゴにて
もともとの物語 『チーズはどこへ消えた?』
新しい物語 その後、起こったことは……
ディスカッション
私の腫瘍への手紙
あとがき

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『迷路の外には何がある?』 ―『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
扶桑社 (2019/2/27) 102ページ
スペンサー・ジョンソン (著), 門田 美鈴 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4594081657/

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