こんにちは。本シェルジュの安藤準です。

さてみなさん突然ですが…自分らしく生きていますか?

桜も散り天気が良ければ汗ばむ季節。気を引き締めて新年度をスタートしたいものです。
さて、春といえば新入社員。私は研修講師をしているのですが、毎年、多くの新入社員に出会います。
目をキラキラさせた新人から緊張と不安でいっぱいの新人。さらに、良くも悪くも冷めた新人など様々な人がいます。

そんな中で近年高まる価値観が「自分らしく生きる」というもの。当たり前といえば当たり前ですが、実際の現実はではなかなか難しい点もあるものです。はてさて。「自分らしく生きる」ことは可能なのでしょうか?

そんな中で「自分らしく生きる」ことは、非常に難しいこと。つまり「無理ゲーだ!」と一つの視点をくれる本をご紹介します。

筆者の主張は他の本でも類似しているのですが、無理ゲーという切り口で改めてユニークですよ。

1)本日紹介する書籍

「無理ゲー社会」
小学館新書(2021/8/3)
橘玲(著)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/B09B79GGM9/

2)本書を選んだ理由 どんな人が読むべき?

すべてのビジネスパーソンにおすすめします。
特に自分のキャリアや世の中の仕事への価値観に関心のある方におすすめです。

3)付箋  本書からの内容抽出です

PART1 「自分らしく生きる」という呪

○「君の名は。」と特攻
何千万人におよぶユーザーを「まったく同じ条件下でどんな反応をみせるか」という観点で分析してみると、使用している言語や属している文化がまったわたしたちの「つながり」は、大きく「愛情空間」「友情空間」「貨幣空間」の三層に分かれている。(中略)この図式で考えるなら、現代社会で起きているのは、愛情空間の肥大化と友情空間の縮小、それにともなう貨幣空間の拡大だ。

○「リベラル化」がすべての問題を引き起こしている
リベラル化の潮流で「自分らしく生きられる」世界が実現すると、必然的に、次の3つの変化が起きる。相互に作用しあい、その影響は増幅されていく。 ①世界が複雑になる ②中間共同体が解体する ③自己責任が強調される

PART2 知能格差社会

○才能の貴族制度
「リベラル」な社会では、身分や階級だけでなく、人種・民族・国籍・性別・年齢・性的指向など、本人が選択できない属性による選別は「差別」と見なされる。しかしそれでも、入学や採用、昇進や昇給にあたって志望者を区別(選別)しなければ組織は機能しなくなってしまう。

○思考の補助線としての社会の3類型

○「夢の洪水」に溺れかけている若者たち
大学で学生のキャリア支援を行なう高部大問は、若者たちが「夢」に押しつぶされていく実態を「ドリーム・ハラスメント」と名づけた。

○遺伝なのか、環境なのか
どちらが正しいかは、(認めるかどうかは別として)現在ではほぼ決着がついている。

PART3 経済格差と性愛格差

○「公正」な世界を取り戻す闘い
わたしたちはみな、世界を「公正であるべきだ」と思っている。そして「不公正」を感じると、それをなんとかして「公正」なものにしようとする。社会心理学ではこれを「公正世界信念」と呼ぶ。

PART4 ユートピアを探して

○資本主義より残酷なディストピア
このような階層社会では、自分のちからで稼ぐ者は「上級国民」、現金給付(国家からのお恵み)で暮らす者は「下級国民」になる。「最後の雇い手」プログラムの参加者が「尊厳」をもてるとしたら、「下級国民」を徹底的に差別するときだけだろう。

4)今日の気づき

「自分らしく生きる」というモチベーションは高まっていることを感じます。しかし筆者が言う通りある程度は遺伝能力で決まっており、
資本主義におけるリベラル化(公平)をしようとすれそれは、無理に「自分らしさ」を求めることにつながり、「ドリーム・ハラスメント」となりかえって不幸になることはとても共感します。

夢と現実のバランスをどうとるのか。公平と平等の両立の難しさをしっかり認識し、社会はもちろん会社のあり方も問われているような気がしますね。

5)本書の目次

第1章テクノロジーの進化には一本の「流れ」がある

PART1 「自分らしく生きる」という呪い
PART2 知能格差社会
PART3 経済格差と性愛格差
PART4 ユートピアを探して

「無理ゲー社会」
小学館新書(2021/8/3)
橘玲(著)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/B09B79GGM9/