こんにちは、本シェルジュの酒巻秀宜です。
今回は本シェルジュとしての初投稿!よろしくお願いいたします。

4月になって半月ほど経ちました。初めて社会に出た方、春の異動で新しい職場で、新しい仕事を始めることになった方。
そこでは、今までとは違う、新しい知識が必要になり、学びの日々・・・
そんな環境に置かれた方は、ある意味で恵まれている。ラッキーかも?
今回は、そんな気持ちにさせてくれる本をご紹介します。


• 1)本⽇紹介する書籍
本日ご紹介するのは 

RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる 

です。

  • 著者:デイビッド・エプスタイン
  • 出版社 ‏ : ‎ 日経BP (2020/3/26)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2020/3/26

• 2)本書を選んだ理由

ChatGPTなど対話型AIの登場によって、専門分野の知識が簡単に取って変わられ、置き換えられ、役に立たなくなるかもしれない。
産業の栄枯盛衰のサイクルがこれまで以上に早くなり、いままでとは全く違う専門知識が求められる回数と頻度が多くなっていくことも予想されます。
リスキリングによって「学び直し」の必要性もさかんに言われるようになりました。

専門知識がない人はやっていけないのか?
今までやってきた専門知識は役に立たないのか?
また一からやり直しか?


そんな不安を払しょくしてくれるのがこの本です。

どんな⼈が読むべき︖
自分の専門知識に自信がない方
新しい環境に身を置くことになった方
自分のキャリアやスキルに自信がない方

• 3)付箋本書からの内容抽出です
P19
「永続的な知識を得るためには、ゆっくりと学習することが最善だということだ。(略)逆に言うと、最も効果的な学習は非効率に見え、後れを取っているように見えるということだ」

P21
「専門特化の傾向が進むにつれて、『平行溝のシステム』ができてきているという。それは、誰もが自分の溝を深く掘り続けることに専念しており、もしかしたら、隣の溝に自分が抱えている問題の答えがあるかもしれないのに、立ち上がって隣を見ようとはしない、ということだ」

P75
「『経験なしで学ぶ』こと、言い換えると、新しいアイデア同士を結びつけ、領域を超えて考えることができる概念的な論理能力が、急速に変化する『意地悪な』世界で求められている」


• 4)今⽇の気づき
スペシャリストVSゼネラリスト・・・どちらを目指すべきか?
永遠のテーマではないでしょうか。

IT技術のスペシャリストなど、専門性の高い人は引く手あまたで高給を提示されることも多い。仕事は選び放題のように見えます。

しかし、ChatGPTの登場がそんな状況を近い将来、変えてしまうかもしれません。現状ではまだまだ実用に耐えるものではないようですが、簡単なプログラムなら「こんなことができるプログラムを書いて」と指示すれば、たちどころにコードが生成されます。プロ顔負けのコードが生成される未来も
そう遠くないかもしれない。このままいくと、一部の「本当のスペシャリスト」でないと、IT技術者としては価値がなくなってしまうかも?

そうなったときに「つぶしが効く」ゼネラリストの強みが活きます。本書の言葉でいえば「新しいアイデア同士を結びつけ、領域を超えて考えることができる概念的な論理能力」を持つ人のコトでしょう。専門特化の罠にはまることなく、「立ち上がって隣の溝を見ようとする」人のことです。

専門性は確かに重要です。しかし、自分の専門分野の知識でしか課題に取り組むことができなければ、袋小路にはまってしまう。そんなとき、専門分野以外の知識を使うことで解決が図れるかもしれない。

「最も効果的な学習は非効率に見え、後れを取っているように見える」
専門分野を極めるのにだって時間がかかるのに、ましてほかの分野なんて!
コスパやタイパを求めムダを嫌う人も多いので、焦りもあるでしょう。
たしかにそうなのですが、ここは少し立ち止まって、違う分野の学びにも
挑戦してみてはいかがでしょうか?

• 5)本書の⽬次
はじめに タイガー・ウッズ vs ロジャー・フェデラー
Roger vs. Tiger
第1章 早期教育に意味はあるか
The Cult of the Head Start
第2章 「意地悪な世界」で不足する思考力
How the Wicked World Was Made
第3章 少なく、幅広く練習する効果
When Less of the Same Is More
第4章 速く学ぶか、ゆっくり学ぶか
Learning, Fast and Slow
第5章 未経験のことについて考える方法
Thinking Outside Experience
第6章 グリットが強すぎると起こる問題
The Trouble with Too Much Grit
第7章 「いろいろな自分」を試してみる
Flirting with Your Possible Selves
第8章 アウトサイダーの強み
The Outsider Advantage
第9章 時代遅れの技術を水平思考で生かす
Lateral Thinking with Withered Technology
第10章 スペシャリストがはまる罠
Fooled by Exper tise
第11章 慣れ親しんだ「ツール」を捨てる
Learning to Drop Your Familiar Tools
第12章 意識してアマチュアになる
Deliberate Amateurs
おわりに あなたのレンジを広げよう
Expanding Your Range
解説 中室 牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授)