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ビジネス書書評の本シェルジュ

成城石井の創業 そして成城石井はブランドになった

成城石井の創業

おはようございます。
本シェルジュの松林です。

突然ですが、皆さんのお近くに「成城石井」のお店はありますか?
成城石井をご存じの方は、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
私の場合、高級、富裕層向け、紀ノ國屋や明治屋に近いものというとらえ方ですが、やや古い感覚かもしれません。

さて、本書の著者・石井良明氏は、家業の食料品店を継いだ後、既存大型店とは一線を画したスーパーとして「成城石井」1号店を開店しました。
以後、深夜までの営業、ワインの直輸入、高級な総菜の充実等の取り組みを次々に実行し、顧客の信頼を高めていきました。
また、今では一般的になった「駅ナカ」という言葉の生みの親とも言われています。

石井氏は、体調を崩したことと、後継者が育っていなかったことを理由に、2004年、株式をレインズインターナショナル(現在のレックス・ホールディングス)に譲渡し、経営の第一線から退きました。

本書は、石井氏の幼少期から引退するまでの日々において、考えたことややってきたことがまとめられたものです。
巷によくある武勇伝的なものではなく、「これは失敗だった」等の話も、割と率直に述べられていて、好感が持てました。

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 1)本日紹介する書籍               
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「成城石井の創業 そして成城石井はブランドになった」
日本経済新聞出版社 (2016/4/14) 224ページ
石井 良明 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532320712/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?               
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近年、「消費者はモノではなくストーリーを買う」等と言われ、中には作り手の苦労話や思い入れを出すことで、簡単に「共感」を作り出せるような言い方も散見されます。

でも、ちょっと待てよと思います。そんなにラクなものなのか?
お客様のことを考えて、お客様に喜んでもらえる取り組みを実践し続けることによってしか、長く続くブランドは作れないのではないか。いわゆる「ストーリー」が上手く作れて「共感」してもらえたとしても、経営の本質がしっかりしていなければ、それは一過性で終わってしまうのではないか。

そう思いながら、書店の店頭に並んだ本をボーッと眺めていたら、この本が目にとまりました。
成城石井の経営者がしばらく前に変わったことは知っていましたが、今でも信頼されるブランドの1つである「成城石井」がどのように作られていったのか、知りたくなりました。

私と同じように、うさん臭いブランディングに違和感があったり、長く愛される企業とはどういうものかを知りたい方には、特にお勧めの一冊です。

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 3)付箋  本書からの内容抽出です             
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スーパーマーケットにするにあたり、こうした成城という街の特性をよく見極めながら、住まう人のニーズを満たす店にしようと考える過程で、コンセプトは定まっていきました。求めるのは、品質です。思い切って普通の商品を捨て、品質の良いものだけを扱うことにしました。

私が行ったのは、ABC分析でいうならば、Aランク商品を重視せず、BCランクの商品を売ろうということです。つまり、ABCを並列に置いたのです。希少価値はあるけれど、たくさんは売れない商品Cをしっかり売ることによって、それを買いに来たお客さんが、他のものを手に取って買ってくれるわけです。

一つひとつの部門を専門店化し、質の良い商品を並べていくためには、自分たちが商品知識を身につけ、さらに情報を取る努力をして、見つけていかなければなりません。

こだわりを持たないのが成城石井の基本でした。なぜなら、こだわりというのは個人の人生観ですから、それをお客様に押しつけてはいけないのです。(中略)クリアな視界でお客様の考えや好みを見、そこからいかにニーズを察知して提供していくかというのが、商売の秘訣です。

小売で一番大切なのは、人時生産性(ひとりが1時間あたりに挙げる売上高)です。これは店全体でも各部門でも常にチェックしています。(中略)粗利に関しても、1時間あたりの粗利はいくらなのか、数字をきちんと出していました。データとして出てくる数字を明確に向上させていくことにより、スーパーマーケットは確実に利益が上がっていくのです。

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 4)今日の気づき                       
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本書の前書きには、「ブランドとはお客様がどう評価するかであり、単なる表層的なイメージを飾れば良いのではありません。」とあります。多くの予算を広告代理店等に渡し、仮に上手に宣伝ができたとしても、利用して実感が伴わなければブランド力は高まらないので、納得できます。

本書は、こういったシンプルだが本質を突いている記述が多く、利益管理の重要性について「稲盛和夫の実学 経営と会計」を、価値や差別化とは何かを考えさせる点では「小倉昌男 経営学」を、それぞれ思い出させます。

お客様に寄り添い、ニーズを先読みして価値を提供し、信頼していただける「本物」を目指す、そんな存在でありたいと思いました。

ちなみに、レックス・ホールディングス傘下になって以降の同社は、富裕層向けからより一般的なスーパーにシフトし、駅ビル出店が増えています。
そのことが例えば大塚家具のように、レッドオーシャンへ近づいていくことにはならないのか、今後も観察してみようと思います。

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 5)本書の目次                        
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第1章 成城石井の歴史
第2章 成城石井のコンセプト
第3章 成城石井の商品戦略
第4章 成城石井の経営戦略
第5章 成城石井の人事戦略
第6章 スーパーマーケットの将来

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「成城石井の創業 そして成城石井はブランドになった」
日本経済新聞出版社 (2016/4/14) 224ページ
石井 良明 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532320712/

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