本シェルジュの平川雄二です。
4月に入り新しい環境でスタートされた方も多いのではないでしょうか。
大嫌いな上司と離れることができた方も、
慣れ親しんだ同僚と違う部署へ異動された方も、
手におえない部下を持たれた方もいるかもしれません。
本日紹介する本は、イソップ童話の「ウサギとカメ」を題材に、
カメとのレースに負けた慢心のウサギに対するコーチングのお話です。
ウサギは自分の能力を過信してしまったことから
レースに負けてしまいます。
もしもそんなウサギに素晴らしいコーチがついていたら、、、。
結果はどうなったでしょうか。
人の話をきかないウサギに、どうすれば話を聞いてもらえるのか?
どんなコミュニケーションの方法をとればよいのか?
どうすればやる気や能力を高めてくれるのか?
多様性を尊重する現代にこそ必要な
人材育成術のヒントを探ります。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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もしもウサギにコーチがいたら
「視点」を変える53の方法
伊藤 守
大和書房 (2006/10 文庫 p221)
AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/4479300554
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■中堅勝男(中):この春から管理職になったばかりの中堅社員
■新卒太郎(新):平成生まれの自由気ままな新入社員。
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中):太郎君、ようこそ我が部署へ!わからないことがあったら何でも聞いてくれよ。
新):部長、あざーっす。頑張りますよ。まぁ、要は成績とってくればいいですよね?
中):(このやろう…。上司に対してなんて話し方だ。まだここでは怒ってはいけないぞ。)
新):あれ?僕なんか変なこと言いました?
中):いやいや、太郎君のいう通り、営業成績を上げることが結果として重要なことだよ。
ただ、その営業成績をあげるためには、部署チーム一丸となって取り組んでいこうな。
新):他の連中と仲良くしたって、自分の時間が無駄になるだけですから。あっ、もうこんな時間すね。
自分の担当エリアについて下調べしてきます。
中):(くっ…。)その調子で頑張れ。期待しているよ。(どう接すればいいんだ…。)
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です 〓
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ウサギがカメに負けたのは、ウサギの性格の問題だけではありません。
競争に勝つという目標に対しての、「意欲と能力」のバランスが悪かっただけです。
ウサギの場合、能力には問題がありませんでした。動機が曖昧だったので、レースを
続ける意欲が持続しなかったのです。
だからといって、ここでやる気を出せ、なんて言いたいわけではないんです。
確かにやる気はとても大切です。しかし、多くの人が誤解しているのは、
やる気が無限だと思っているところです。(p37-38)弱みや苦手を克服させることが「成長」だと信じ込んでいる指導者やコーチがいます。
でもいいコーチは決してウサギに戦い方を教えたりはしないものです。
弱みや苦手の克服をさせて満足するのは、ほかのだれでもない、コーチ自身だという
ことを知っているからです。
コーチの仕事は、ウサギが望むところにできるだけ速く、うまく行き着けるようにすることです。
それもウサギの望む方法で。(p42)ウサギは自分のしたことはわかっています。うまくいっているかどうかは自分で分かっているものです。
だから反省なんてさせない。自分の行為を省みるのはいいかもしれないけど、それに批判的な評価を
加えるのはいただけない。
それだけではない、ウサギを反省なんか逃げ込ませない。
反省していればその場から逃げられる、反省しひきこもっていれば何もしなくていい、とウサギは企むこと
がよくあります。
ウサギにはすぐにまた行動に起こしてもらいたい。
「次に何をやるのか、今自分がどの辺にいるのか、あとどのくらい落ち込む予定なのか?」
それを聞かせてもらう。そして、行動することを要求する。反省させたいのはコーチの理由。
反省したら同じ失敗を繰り返さないという思い込みがどこかにあるのでしょう。(p60-61)ウサギは自分のやりたいことをやる。私が望んだことをやるわけではない。
私が要求してウサギが行動を起こすのは、ウサギが私のいうことを聞き入れたからではなく、
ウサギの理屈に合っているからにほかならない。
決めたのはあくまでもウサギなんです。
ウサギが行動を起こすときは、ウサギの理屈があります。間違っても、常識や格言なんかでウサギを
動かそうとしないことです。(p146)ウサギの視点を変えるために、いろいろ試みています。
その基本にあるものが、「アソシエーション」と「ディソシエ―ション」です。
問題の中にどっぷり浸かっているときは、アソシエーション。
その問題を100年後から眺めてみたり、他人事のように見るのがディソシエ―ション。
一つの出来事を最低二つの場所から眺めるように提案します。
同時にコーチの視点が加わるので、最低三つの視点から見ることができます。
(中略)
アソシエーションとディソシエ―ションの「スイッチ」は、才能を発揮する上において重要なキーになります。
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〓 3)今日の気づき 〓
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誰かに何かを教えるとき、伝えたいと思ったとき、
自分のエゴを、価値観を押し付けていないだろうか。
本当に伝えるべきことは、相手に新しい気づきを与えることができるかどうか。
この本は、いわゆるコーチングのノウハウスキルを並べてものではなく
ケースに合わせたエッセンスを具体的に解説してくれている。
経営者や管理職、コーチングを勉強したい方から子育て中の方まで、
幅広い方にとっても読みやすい一書。
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〓 4)本書の目次 〓
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53ある方法の目次を一部抜粋
コーチングとは何か
コーチングのstep1
1ウサギが選ぶコーチはどんなコーチか
6ウサギはそれぞれ違う。四つのタイプの長所と短所
10アドバイスはしない。ウサギには自分で考え、自分で行動してほしい
コーチングのstep2
12確かにウサギの耳は長い。でも、だからといって聞いているわけじゃない
17「知らない」ことを知らない。ウサギは何が問題かが分からない
22聞かれていないウサギの気持ち。「ここにいてもいいんだろうか…」
コーチングのstep3
28最近の若いウサギと話すとき。コミュニケーションの基本的態度。
31ウサギはお説教も嫌いだが、自慢話も嫌いだ
37頑張りすぎたウサギは、感受性が低下する
コーチングのstep4
40何もしないということ。ぼーっとしている時間もウサギには必要です。
45ウサギの視点を変えるための練習
51何か足りないから教えるんじゃない。ウサギはいつだって完成している
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もしもウサギにコーチがいたら
「視点」を変える53の方法
伊藤 守
大和書房 (2006/10 文庫 p221)
AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/4479300554
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