こんにちは! 本シェルジュの松林です。
 6月に入り、徐々に蒸し暑くなってきましたが、お変わりありませんか?
 私は「冷し中華」が好物で、「冷し中華はじめました」のポップ等を見るとつい頼んでしまいます。でも、冷たいものを多量に摂ると夏バテするので、ほどほどにしないといけませんね。
 さて、今月は「プロ」をテーマにお届けしている「本シェルジュ」。
 今回は、題名に「プロ」は付いていませんが、どんな時でも、どんな相手でも、その場の空気を明るくさせるプロフェッショナルの「言葉がけ」から、コミュニケーションの極意を学べる本をご紹介します。
 著者の高野登氏は、リッツ・カールトンホテルの日本支社長も務めたホテル業界のプロですが、この本は、各節でホテル業を中心としたエピソードを紹介し、ベースにある本質に言及してまとめるという形式で書かれており、言葉は平易で読みやすいです。
 接客・営業担当の方はもちろん、職種を問わず、コミュニケーション力を高めたい方にお勧めできます。仕事に限らず、家庭でも夫婦間や親子間のコミュニケーションに役立つかも?

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣
高野 登(著)
日本実業出版社 (2011/8) 238ページ
amazonURL http://www.amazon.co.jp/dp/4534048572/

今回の登場人物紹介
■松林:Y子の夫。結婚記念日とY子の誕生日には、いちおう花を買う。
■Y子:専業主婦。PTAの役員会ぐらいしか外に出ず、女子度低めか?
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松林:あ、髪切ったの?
Y子:何言ってんの? もう2日も前のことよ!
松林:そ、そうか(汗)。よ、よく似合うよ。
Y子:そう、ありがと。
   (憮然としながら、コーヒー豆を挽いて淹れる)
松林:あ、これ、新しい豆? 柑橘系のいい香りだね。
Y子:よくわかったわね。ついでがあったからスタバに寄ってお勧めを買ってきたの。   (ちょっと笑顔に戻る)
松林:ありがと。
   (やれやれ、少しは挽回できたかな? もっとよく観察して「言葉がけ」をしないと、いっぱい墓穴を掘りそうだ…)
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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■P24 「挨拶にひと言を添えて、相手とのつながりを生み出す」より
 お客様に関心を持って目を向けるのも、ひと言の声がけをするために大切なことです。
 たとえば、とても素敵な帽子をかぶった女性のお客様がいたとします。お客様はきっと多くの商品の中からその帽子を選び、今日、身につけてきたのです。そう考えると、プロの仕事人には、お客様の素敵な帽子に気づく感性と、ひと言コメントを発する感性の両方が必要だということに気づくでしょう。
■P107 「ソファの位置からお客様の心を読み取った客室係」より
 ある客室係が、常連のお客様のお部屋を掃除したときのことです。ひとりがけのソファが窓のほうを向いていて、その横の小さなテーブルの上に、空のブランデーグラスが置いてありました。(中略)
 次のご滞在の時にお部屋のお掃除に入ったところ、またもやソファが窓に向けられていました。(中略)
 次にお客様がお泊まりになったら、前もってソファを外に向けておこう。そして脇のテーブルの、いつもグラスが置いてある場所に、手書きのメッセージを残しておこう。ブランデーグラスの絵も小さく描いておこう。そして、次の機会に行動を起こします。(中略)
 ここにサービスとホスピタリティの違いがあります。ただサービスの提供だけを考えていたら、「ソファを動かす」という発想は生まれて来ないでしょう。(中略)
 たとえ、お客様と直接顔を合わせない仕事を担当していても、そこで気づくことを大事にして、自分にしかできないおもてなしを心がけてみてください。それが、仕事の本当の楽しみにもつながっていくのです。
■P121 「目に見えない信頼を信じる」より
 「若い頃に浜松町で働いていた母親に、懐かしい東京タワーが見えるホテルに泊めてあげたい」。どうやら、それがお客様の本当の希望のようです。
 しかしお客様の希望にぴったり合う部屋は、ご希望の日にはすでに満杯です。でも、ライバルではありますが、芝公園には、上層階に泊まれば東京タワーを間近に望み、浜松町近辺も一望できるホテルがあります。予約係は決断しました。(中略)
 今回はリッツ・カールトンをご利用されないという結果になっても、お客様との間には目に見えない信頼が生まれています。それを信じてお客様に尽くすということ。一見遠回りのようですが、それがお客様との絆を築いていく近道でもあるのです。
■P237 「仕事が自分の物になる瞬間」より
 お客様に提供するモノもサービスも、ただ提供するのでは、それは商品で終わってしまうかもしれません。それにふさわしいかたちで提供してはじめて、夢や物語が始まるのです。
 仕事のプロの道に目覚めたならば、「考えること」を意識しましょう。これは筋力トレーニングと一緒です。毎日コツコツと「考える」繰り返しが自分の感性を磨き、心の筋肉の成長をうながしてくれるのだと思います。
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〓 3)今日の気づき                       〓
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 この本に出てくるプロのホテルマンのテクニックは、すぐに真似できるものではないかもしれません。でも、対象に関心を持ってよく観察する、相手の不安を取り除き、楽しんでいただくための場を作る、考えるトレーニングを積む、等のポイントは、多くの仕事に共通する普遍的な話だと感じました。毎日の仕事や家庭でのコミュニケーションにおいて、ぜひ意識していこうと思います。
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〓 4)本書の目次                        〓
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1章 仕事のプロとしての「基本」は挨拶から
 ~たった一度のチャンスである「挨拶」は最高のものを届ける~
2章 心の距離を近づける言葉
 ~相手の心に寄り添ったひと言が絆を深める~
3章 喜んでいただく言葉
 ~相手が本当に求めていることを考えた時にマジックは生まれる!~
4章 心を動かす言葉
 ~制約を外して考えれば、常識を超えたおもてなしが生まれる~
5章 言いづらい言葉をかける時
 ~相手に気持ちよく動いてもらうために~
6章 信頼を築くための言葉
 ~ちょっとしたことの積み重ねで信頼は生まれる~
7章 仕事を楽しむための言葉
 ~プロが大切にする仕事の立ち位置~
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リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣
高野 登(著)
日本実業出版社 (2011/8) 238ページ
amazonURL http://www.amazon.co.jp/dp/4534048572/