あけましておめでとうございます、本シェルジュの村上知也です。

今年はどんな仕事に取り組もうか考えながらメルマガを執筆しています。私は、大阪府堺市が地元ですし、今は神奈川県の川崎市に住んでいます。どちらも政令指定都市なので、区民です。そういった意味ではあまり田舎の地元を愛するという感情はありません。

どちらも賑わっていますしね。多少地方創生の仕事をしても、どうも地方と距離感が遠いと感じてしまいます。

ただ、両親がリタイアして、長野の開田村によく行くようになったり、自身の温泉療養のために、北海道の豊富町に行くようになると、田舎の対応というのも少しずつ感じるようになってきました。地方を元気にするには中の人じゃないとだめなのだと思います。よそ者の重要性は外の視点を持っているからであって、よそ者が中心となって、衰退する地方を変えていくことはできないでしょう。中に入って変えるんだ!という思いが必要なのだと思います。

そんな書籍を今日は紹介したいと思います。

全編を通して補助金の麻薬っぷりというか無駄っぷりが強く主張されています。地方に渡される補助金の効果ってどれくらいあるんでしょうね。もちろん、渡した効果がないわけではないと思いますが、乗数効果が低い、つまり渡したけど1回きりで、地域内でぐるぐるお金がまわっていく補助金交付になっていないのだと思います。

私も公的な仕事が多く、そういう意味では補助金を使って仕事をしていると言えるので多少身につまされるところがあります。

本編には悪徳・・・というか・・・よくいそうな補助金コンサルタントも登場しますしね。すべての補助金がだめだとは思いませんが、持続性が求められるところで単発な補助金は、なかなか難しいなと実感しました。

最初の活動のガソリンになるからそれでいいのかと思うこともありますが、結局、身の丈以上のガソリンが入ると、実力以上の事業を目指してしまい、ガソリンが切れた時に、縮小もできず、終了してしまう。そんな失敗を繰り返しているのであれば、各自が、この町で頑張ろうと思う人達と連携して身の丈で、必死にがんばって、お金を回していくという姿勢であるべきなのだろうと改めて思います。

1)本日紹介する書籍

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

木下 斉  (著)  ダイヤモンド社 (2018/11/15)

2)本書を選んだ理由〜どんな人が読むべき?

同じく今年発売の「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 」(講談社)三戸 政和著 という本がありました。

財テク系の本かと思いきや、人生の複線化として会社経営をしていくことのススメとしては、すごくありなんだろうと思いました。一方で、淡々と会社員として仕事をしている人にとっては実現可能性は高くない提案だと思いました。

そして、この本も。「凡人のための地域再生入門」ということで、これも会社員をしながら地域再生をするのかと思いきや、途中で会社をやめて、地域の中の人なって、地域をもり立てています。

どちらも簡単ではないだろう・・・ということは簡単に予想できますが、どちらもやってみるチャンスはあるし、本気でやるなら今の仕事以上に楽しく、生涯やっていける仕事になるかもしれないと思います。

そういう意味では、今の会社で働来続けていていいのだろうか、と思う人に読んでほしいです。

そして、士業として、企業内で働いている人にも読んでもらう価値があると思います。

3)付箋  本書からの内容抽出です

空き家バンクもそうやし、役所のやることはピントがずれとる。行政の主導でやる空き店舗対策は、空いている店を埋めればそれでしまいや。せやけど、店を出すほうも儲かると思うから店を出すわけで、出店しても儲からんなら意味がない。

事業経営やから、当然最後はそれぞれの店の経営者の責任ではあるけど、できるかぎり口コミなんかで関係者が協力して、事業の成功を目指すんが筋やろ? そうやって成功者が一人でも出れば、『あのあたりに出店すると儲かる』という話が広がって、出店希望者が集まってくる。その結果として空き店舗がなくなっていくねん。

空き店舗がなくなってからも店を出したい人が増加していけば、今度は家賃が上がっていく。単純な話や。けど、この原理を理解せんと、単なるもぐらたたきみたいな補助金漬けの空き店舗対策が全国に乱発しとる。それでは何も変わらんどころか、単に補助金でみかけ上安くなった家賃に惹かれただけの出店者が、補助金が切れたと同時に出ていってしまい・・・

「まぁようある話や。結局、仲がよさそうな二人やからこそ危ない。お互いが信頼してるから大丈夫だよね、とか言って肝心の金の話を詰めんかったり、問題が起きたときの対処法を明文化せんかったりする。そういうのはあとで決めればいいよねー、とか言って。それで、結局最後はもめる。大体いつもそうや……。ま、二人連名で契約してたんやから、片側だけ抜けるってのは通らん話や。こうなった以上は退店してもらおう。

「今思えば、何かの予算で物事を大きく動かそうとしたのは、自分に自信がなかった証拠なんだよね。事業って、結局自分の器以上にはならない。

4)今日の気づき

イベント疲弊、補助金漬け、メディアのつくるサクセスストーリー

そういったものが地方をさらに悪い方向に持っていく。

だからこそ、コンサルタントであっても、会社員であっても、凡人であってもロジック、それも経営を成功させるロジックが重要だと認識させてもらうことができました。

うまいことやっていいとこだけ持っていくとか、そんなんではなく、中に入って熱量を持って、かつロジカルにすすめていく。

そんなのが地方創生なんだと思います。

地方創生つながりで、もう1冊紹介。現役福岡市長が書いた本です。

福岡市を経営する – 2018/12/6 高島 宗一郎 (著)

市長が本を書くなんて余裕があるなあ、ゴーストライターが書いたんか、と思いましたが、読んでみると自分の言葉で書かれている気がします。福岡市長はアナウンサーから転身と聞くと、タレント候補かと思いきや、そもそも政治の世界に入るために、アナウンサーになったとは・・・

そしてアナウンサーと言っても、言われたことをしゃべるだけのアナウンサーではななく自分で調べて、自分で理解てわかりやすく伝える。政治家こそ、その姿勢が必要ですよね。

本書も自身の情報発信ついてかなりのページを割いていました。しかしなにより、成果を出している市長っていうのはいいですね、なにもやらなくて敵をつくらないっていうのが、自治体にとってのリスク。

確かにそのとおりだと思います。

特に田舎の何もしない自治体は、一言でいって首長の怠慢なんだと感じました。少しくらい失敗しても、変えていく。 やるべきことを明確にしてやっていく。非常に共感できました。

5)本書の目次

◯目次

第一章 シャッター街へようこそ
 突然の帰郷/不本意な再会/名店は路地裏にある
 コラム1-1 どんな地域にも「人材」は必ずいる
 コラム1-2 地方は資金の流出で衰退する

第二章 たった一人の覚悟
 役所の誤算、自立する民間/嗤う銀行/勝算は「逆算」から生まれる
 コラム2-1 なぜ、今の時代に「逆算開発」が必須なのか
 コラム2-2 地方に必要なのは、「天才」ではなく「覚悟」である

第三章 見捨てられていた場所
 そこでしか買えないもの/仲のよさこそ命取り/次の一手は突然に
 コラム3-1 資金調達で悩む前にやるべきこと
 コラム3-2 「場所選び」で重要なこと

第四章 批評家たちの遠吠え
 田舎の沙汰も金次第/「子どもじゃないんだからさ」/覚悟の先の手応え
 コラム4-1 地方でビジネスを始める悩みと不安………
 コラム4-2 地方の事業に「批判」はつきもの………

第五章 稼ぐ金、貰う金
 「欲」と「隙」/お役所仕事/名ばかりコンサルタント
 コラム5-1 役所の事業がうまくいかない構造的理由
 コラム5-2 見せかけの地方分権のジレンマ

第六章 失敗、失敗、また失敗
 成功続きの成功者はいない/原点回帰/丁稚奉公の旅
 コラム6-1 本当の「失敗」とは何か………
 コラム6-2 「よそ者・若者・馬鹿者」のウソ………

第七章 地域を超えろ
 資金調達/小さな成果、大きな態度/血税投入
 コラム7-1 地方で成功することにより生まれる「慢心」
 コラム7-2 他地域連携でインパクトを生むための思考法

第八章 本当の「仲間」は誰だ
 他人の茶碗を割る権利/仲良し倶楽部を超えて/金は霞が関ではなく、地元にある/他人の金で、人は動かない
 コラム8-1 嫌われる決断をすべきとき
 コラム8-2 孤独に耐え、各地域のストイックな仲間とつながる

最終章 新しいことを、新しいやり方で、新しい人に
 さよなら、シャッター街
 コラム9-1 今の組織を変えるより、自ら立ち上げよう

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門
木下 斉  (著)  ダイヤモンド社 (2018/11/15)