こんにちは、本シェルジュの松林です。
今月の本シェルジュは、『NEW』をテーマにお送りしてきました。
私からは、豆腐業界で新しい風を起こし、先日テレビ東京の『カンブリア宮殿』でも採り上げられた、相模屋食料株式会社の社長・鳥越淳司氏の著書をご紹介します。
鳥越氏は、大学卒業後、あの雪印乳業に入社し、食中毒事件のあとでお客様に土下座して回ったという経験があります。その後、相模屋の娘さんと入籍し、今に至ります。
成熟産業とされる豆腐業界にあって、タイトルにもある「ザクとうふ」、マスカルポーネのような「ナチュラルとうふ」等、インパクトの強い商品を生み出す相模屋は、チャレンジし続ける中小企業の象徴的な存在といえます。
同じように成熟産業と言われる業界で『NEW』を求められるあなたに、オススメの一冊です。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊 〓
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「ザクとうふ」の哲学
鳥越 淳司(著)、夏目 幸明(構成)
PHP研究所 (2014/9) 240ページ
今回の登場人物紹介
■りか:『まんがでわかるセブン-イレブンの16歳からの経営学』をねだって買ってもらったJS。勉強は社会が一番好き。
■パパ:ガンダムをこよなく愛する、とはいかないがアニメ好き。最近のお気に入りは『四月は君の嘘』。
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(スーパーにて)
りか: パパ、これなに?
パパ: これはね、『MS-06ザクとうふ』といって、相模屋という会社が作っているお豆腐だよ。
りか: なぜ緑色なの?
パパ: ガンダムというアニメに出てくる量産型の人がた兵器に「ザク」というのがあって、その色と頭の形にちなんだそうだ。
りか: ああ、『弱虫ペダル』で御堂筋くんが「ザク出ろ」とか「こいつは量産型やない」とか言ってたやつ?
パパ: そうそう。
りか: でも、アニメのキャラクターにちなんだものは、なかなか許可が出ないんじゃないの?
パパ: ガンダムの権利を持っている会社は、サンライズというんだけど、この豆腐はサンライズ公認なんだよ。
りか: へえ。どうやって許してもらったのかな?
パパ: (スマホの画面を見せて)それは、この本に書いてあったよ。
りか: その本持ってるの? あとで貸して!
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です 〓
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■第1章 ビジネスではゲリラ戦を より(P31)
「わけのわからないこと」をやろうとするときは、心の底がウズウズする感覚を共有してくれる仲間を集めるほうが近道だと思います。(中略)
キャラクター商品を出すとき、権利を持つ会社が警戒するのは「物語の世界観を壊されないか?」ということだと思います。だからこそ、知り合いに「熱狂的なガンダムファン」と認めてもらう、そして、その知り合いにまた「この人なら大丈夫」と認めてもらう、ということを繰り返し、その結果、先方に「ザクとうふ」の発売を認めていただけたのだと思います。
■第2章 お詫びする毎日、その中で掴んだもの より(P57)
事件の前は、もちろん雪印の一員であることに「誇り」を持っていました。
でもよく考えてみれば、その「誇り」とは何だったのでしょうか?私が拠り所にしていた誇りなど、しょせん誰かがつくったものだったのです。
(中略)
今度は私自身、正しく生きる。言い訳できないことはしない。
自分が誇っていいことなど、元々なかった。人から与えられた立場や役職を誇ってはいけない。
私はこれを生涯忘れないと心に誓ったのです。
■第5章 恥ずかしい、情けない より(P123)
差異化とは、一切説明せずとも「一目でわかる」ことを指すからです。
一瞬で、誰でもわかる形で、競合との圧倒的な違いを打ち出さなければいけません。
では、何を使うか。それが当社の場合は「工場の設備」だったのです。
■第6章 なぜ、業界一位を目指したのか より(P151)
たまに私の習慣である「常識のアップデート」をすると、変化に気づくことができるのです。過去にできなかったことが、今後もずっとできないわけではありません。
だから私は「そんなのムリムリ」と検討すらされなかったことが、いま、できるようになっているのではないか、とたまに自動車に乗っている時間などを使い、頭の中を整理します。
■第8章 商品開発の極意 より(P195)
確かに私は四六時中、おとうふのことを考えてはいます。でも、おとうふだけを見ているわけではありません。
雪印乳業時代に、スーパーさんに売り場の提案をしたときに学んだことです。
視野を広げて全体観を捉えないといい発想は生まれないのです。(中略)
おとうふの市場でも、私はいつも、全体を見るように心掛けています。
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〓 3)今日の気づき 〓
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本書を読むと、鳥越氏の戦略は、単に目新しい新機軸の商品を世に送り出すにとどまらず、豆腐流通の壁を打ち破る賞味期限の長い豆腐づくり、日本最大級の生産設備など、成長戦略の王道を行くものとわかります。
理想の姿を追い求め、できない理由を潰していくその姿に、会社を伸ばす経営者の特質がよく表れていますし、金融機関などのステークホルダーが協力したくなるのも理解できると感じました。
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〓 4)本書の目次 〓
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第1章 ビジネスではゲリラ戦を
-「ザク」と「とうふ」とのコラボレーション
第2章 お詫びする毎日、その中で掴んだもの
-ビジネスで本当に誇れるものとは何か
第3章 難しいからこそ勝機あり
-新しい「器」、新しい「常識」をつくる
第4章 なぜ、日本最大級の製造工場を稼働させたのか
-業界一位への最大の布石
第5章 恥ずかしい、情けない
-改善項目一〇〇〇個以上、工場稼働に黄信号
第6章 なぜ、業界一位を目指したのか
-「六年間で売上四倍」の真実
第7章 改善と買収
-伸びているときこそ、内部、外部の改革を進めよ
第8章 商品開発の極意
-迷わず一球目から振る
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「ザクとうふ」の哲学
鳥越 淳司(著)、夏目 幸明(構成)
PHP研究所 (2014/9) 240ページ
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