こんにちは!本シェルジュの関です。
11回目の投稿です。

今月から個人の確定申告時期に入りますね。もう準備はお済みですか?

確定申告が必要な人は、領収書を見ながら、“これって経費になるんだろうか!?”、“間違っていたらどうなる?”、“税務署に怒られたらどうしよう”、なんて、もやもやしながら申告している人も多いのではないでしょうか。

 

今日ご紹介する本は、元国税調査官が、調査官の目線で、税務署の仕事や税務調査の実情について語っている本です。

「この本には、節税に関するテクニックやノウハウは一切書いていません」

プロローグにはこのような記載があります。

実際、世に多くある節税対策本とは全く異なり、「税務調査の際の調査官の『目線』を知ることで社内の牽制効果が生まれ、自ら進んで税金を納める社風が構築され、ひいては会社の経営向上につながる」(P16)ことを伝えようとしている、本当にまじめな本です。

 

それなのに、文章自体はとっても読みやすく、多くの税務調査の実例や税務署の実情に触れられていて、業界用語の解説まであり、一気に読み通すことができます。

 

“確定申告は面倒だなあ~”なんてブツブツ言っているあなた、是非この本を読んで、税務申告の意義を勉強しましょう!
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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日経プレミアシリーズ209

税務署は見ている。

飯田真弓(著)

日本経済新聞出版社(2013/9/9)217頁

http://goo.gl/kUwtVf

今回の登場人物紹介
■S:本シェルジュの1人

■K:偶然道で会った、起業した大学の友人

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S:よう、久しぶり。元気?

K:元気だけど、仕事が忙しくてさあ。

S:この前同窓会で聞いたんだけど、ポルシェ買ったんだって。羽振りがいいなあ。

K:そんなことないよ。ようやく会社が軌道に乗ってきて、去年は一気に売上が伸びたんだよ。そうしたら、顧問税理士が、ポルシェを買って節税した方がいいっていうんで、そんなに乗らないんだけど、買っちゃったってわけ。

S:そういうのって、社員が見ているらしいよ。会社はどんどん忙しくなって、給料は上がらないけど文句を言わずにがんばっている、それなのに、社長がひとり羽振り良さそうにしていたら、社員がどう思うか。気にした方がいいんじゃない?

K:たしかに、そうだなあ。

S:節税も大事だけど、社員の信頼を失って、結局、会社がだめになったら元も子もないからね。

K:そうだな、気をつけるよ。

S:そういうアドバイスをする税理士さんも、本当に会社のことを考えてくれているのか気になるね。この本を貸してあげるから、税務申告の意義について勉強した方がいいね。

K:ありがとう。ところで、最近Sの仕事の調子はどうなの?

S:(車も買えないなんて言えないなあ…)

 

(★もちろん、登場人物も会話内容も架空のものです)
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です          〓
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注)ページ数は、2013/11/14、6刷のものです。

■「一部、非課税所得として法律に謳われているものはありますが、お金をもらったら、なんでも税金がかかるのだと思ってもらってちょうどいいと思います。「このお金にはどんなふうに税金がかかるのだろう」こういう意識を持つことが、税務署からの呼び出しを受けないことにつながると思います。」(49頁)

 

■「「金の切れ目は縁の切れ目」とはよく言われる言葉ですが、私の経験からすれば、元奥さん、元愛人などには、経営者が思っている以上にきちんとした対応をしないと、特に恨みを買うことが多いように思います。」(66,67頁)

 

■「調査官としては、電話からそのような悪印象を受けたら、実態と是非はどうあれ、調査はその方向に向けてスタートすることになります。何か一つでも引っかかることがあると、それを切り口にして、とことん調べようとするのが調査官の習性なのです。」(74頁)

 

■「飲食店経営の皆様。“お一人様”が必死に写メしてメモもしていたとしたら、それはグルメ雑誌の記者ではなく調査官かもしれません。ご用心あれ。」(110頁)

 

■「では、元調査官の立場から言わせていただきましょう。税務調査に「お土産」などありません。都市伝説の類でしょう。」(152頁)

 

■「経営者と税理士は何でも相談できる信頼関係を作り、さらに経営者は社員と良好な、けじめのある関係を保つことが、テクニカルな税務調査の対応策をどうこうするよりも大切なのは間違いありません。そうすることで、不正をうまない企業体質とすることが、最良の税務調査対策なのです。」(156頁)

 

■「会社が高い利益をあげている場合、社長が高級外車を買うのは自由です。税法上の要件をクリアすれば経費で落としてもなんら問題はないでしょう。でも、ここで一番注意しないといけないのは、ともに働く社員がどう思うかです。…そこで気づいたのは、経営者と税理士が見過ごしがちなのは「社員の目」だということです。」(169頁)

 
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〓 3)今日の気づき                       〓
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節税のために高級外車に乗ることで、そこで働く社員がどう思うか。

たしかに、こういうところで、経営者が社員の信頼を失うことってありますよね。

目先の利益にとらわれず、物事を俯瞰する目を養いたいですね。
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〓 4)本書の目次                        〓
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少し長いプロローグ-税務署は何をしているのか

第0章 税務署の内部では、何をやっているのか

第1章 調査案件はこうして選ばれる

第2章 税務署は突然やって来る?

第3章 調査官はランチ中も見ている

第4章 「お土産」を口にする税理士は危ない

第5章 税務署は何のためにあるのか

あとがき

 

 

日経プレミアシリーズ209

税務署は見ている。

飯田真弓(著)

日本経済新聞出版社(2013/9/9)217頁