こんにちは。
本シェルジュの岡田です。
昔は観光地や温泉街に観光客がたくさん来て賑わっていたけど、だんだんと来る人が少なくなってきて町の活気がなくなり、高齢化や過疎化が進んで。。。
こんな問題を抱えている地域は多いのではないでしょうか。
私の実家近くにも温泉街がありますが老舗旅館がなくなったり、安いホテルチェーンに変わったり、子供の頃は賑わっていた場所が閑散としていたり、寂しく感じることがあります。

今日ご紹介する本「そうだ、星を売ろう」の舞台となっている阿智村(長野県)も、以前は賑わっていた昼神温泉の宿泊客が徐々に減っていき、旅館は他に客を取られまいと値引き合戦が始まり、このままではダメになると関係者は危機感を募らせていました。
魅力的な観光地にするために、ディズニーを超えるワクワクドキドキな場所になるために、彼らが見つけた阿智村の強みは、「星」でした。
「そうだ、星を売ろう!」
日本一の星空ナイトツアーは、あまりのキレイさに泣き出す人もいるそうです。
一度見てみたいですね。

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 1)本日紹介する書籍               
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「そうだ、星を売ろう」
株式会社KADOKAWA (2016/4/15) 270ページ
永井 孝尚 (著)
http://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g321510000022/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?               
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「そうだ、星を売ろう」の著者は、「100円のコーラを1000円で売る方法」を書いた永井孝尚さん。「100円のコーラ」シリーズが好きな方は、本書も好きだと思うのでぜひ読んでみてください。

「そうだ、星を売ろう」は、長野県の阿智村で実際に起きた実話を題材にしています。ドキュメンタリーだと思って読み始めたのですが、取材にもとづいて書かれたフィクション(ビジネス小説)です。
なので、とても感動する、臨場感あふれるというよりも、物語を読みながら楽しく勉強できる本、わかりやすいマーケティングの本という印象でしょうか。
本書では、プロジェクトチームが、何もない0の状態から「日本一の星空ナイトツアー」を生み出して、ツアーの規模を徐々に大きくしていくプロジェクトの過程が、「変革を推進するための8段階のプロセス(ジョン・コッター『企業変革力』)」に沿って進みます。
小説仕立てになっていて、それぞれの段階も分かりやすく解説してくれているので、「変革を推進するための8段階のプロセス」のことを知らない方、難しい戦略の話しは苦手だという方も抵抗なく読めると思います。

また、フィクションとは言っても、本書のエピソードの多くは取材を基に書かれているので、阿智村で新しい事業を立ち上げていく様子を知ることができ、反対する人たちにどうやって協力してもらったのか、どのように小さな市場を大きくしたのかなどが分かるので、プロジェクトに関わっている方、地方活性化に興味がある方の参考になる一冊です。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です             
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学びを積み重ねるには、上手に失敗することが大切なんですよ。上手に失敗しながら学ぶ3つのステップがあります。
・Step1 新しいことを試す (ただし、「挑戦に失敗はつきもの」と覚悟しておく)
・Step2 失敗が大きな問題にならないようにする (実験規模を見極めギャンブルを避ける)
・Step3 失敗を失敗と認める (失敗を認めなければ、学ぶことはできない)

新しい挑戦にはリスクがつきものだ。何もしない段階でリスクばかり議論して、リスクを避けていたら、新しい挑戦なんてできないし、新しい価値なんて創れない。だから、『やらない』という選択肢は捨てて、まず『やる』と決めることだ。やりながら、リスクを見つけたら即座に考えて対策する。必要な意見も聞く。こうした学びの蓄積が、ライバルが真似できない差別化の源泉になるんだ。

成功事例の横展開は、つくれば売れた高度成長期までのマスツーリズムの考え方なんです。今は安易な横展開をしようとしても必ず失敗します。(中略)私たちが取り組んできたように、本質的な強みは何かを徹底的に見極めた上で、ターゲットを絞り、試行錯誤の学びを積み重ねるのが王道です。それを怠って形だけ模倣しても、うまくいくはずがありません。模倣戦略は失敗の王道なんです。

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 4)今日の気づき                       
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地域を活性化するために企業を誘致するのも良いだろう、補助金を使って何か施設を作るのも良いのかもしれない。でも、その地域に元々あるものを活かせたら、それを見るために多くの人が来てくれたら、それが一番嬉しいことですね。
阿智村のようにキレイな星空があれば、どこの地域でも星空ナイトツアーは成功するのでしょうか? 星がキレイなところ、自然が豊かなところはたくさんあるけど、でも、どれだけキレイでも「ある」だけではダメで、「ある」から何かを創りださないと、楽しいとか感動したとか人の気持ちを動かすことはできないのだなと思いました。

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 5)本書の目次                        
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第1章 温泉郷の強みは、温泉か? ― 大量生産・大量消費時代の終わり
第2章 そうだ、星を売ろう! ― 当たり前のものが強みに変わる
第3章 星の村 ― コッターの企業変革力
第4章 星のガイド ― ヒト・モノ・カネより大切なもの
第5章 見えない星空 ― リスク管理と失敗の3ステップ
第6章 星のタウンミーティング ― 抵抗勢力を味方につける
第7章 星の絆 ― 「やりたいからやる」モチベーション3・0
第8章 星の特産品 ― 1を100に育てるリーン・スタートアップ
第9章 五平餅協力隊 ― ビジネスは合理的に判断できない
第10章 星の模倣 ― 競争優位の終焉と終わらない変革力

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「そうだ、星を売ろう」
株式会社KADOKAWA (2016/4/15) 270ページ
永井 孝尚 (著)
http://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g321510000022/

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