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こんにちは。
「本シェルジュ」の廣瀬達也です。

梅雨寒からひょっとして冷夏?と思わせ気味だった今年もしっかり猛暑が来ました。そして、お盆も過ぎました。「お盆が過ぎるとその流れで、続いて地蔵盆かな・・」などと考えるのは私がオッサンなだけでなく、地蔵盆分化のある近畿地方出身だからでしょうか。
「今の若いモンは・・」的な発言よりも、「最近のオッサンはどうなってしまったのか?」的発言のほうが増えてきたような気がする昨今。「どうにかなってしまったオッサン」の一翼を担う立場としては形見の狭い日々。

実際のところ、私以上(私も含みます)の世代の方と接していて「悪い人でなく、どちらかといえばいい人。そして、尊敬できる面もある」という人ではありつつ、「あぁ、この人の(ちょっと残念に思える)考え方はもう変えられないんだろうな」と感じることがあります。もちろん、残念な私が「この人は変えられない」と思い込んでいるだけな場合もあると思います。そして、私自身でも「よろしくないことは分かっていはいるけど、この考え方は変えられない。」と頑な自分を感じることもあります。

今回ご紹介する本はそんな(私を含む)オッサン、そして、「オッサンが作り出している社会」について冷静な分析、そしてそれに立ち向かう方法が示されている本です。

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 1)本日紹介する書籍               
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「劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか」
光文社新書 (2018/9/13) 216ページ
山口周 (著)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/product/4334043739/

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 2)どんな人が読むべき?               
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・「オッサンかんべんしてよ」と思ったことがある人。
・自分の周りにいるオッサンたちの思考・行動に疑問を感じている人。
・オッサンのことは放っておいて、自分はシタタカに生きたいと考えている人。
・年長者を敬うという風潮にギモンを感じている人。
・オッサンである自覚がありつつも、「自分はチャレンジしたいんだ」という思いのある人。
・今の自分にシックリ来ていない人。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です   
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■筆者が一点だけ、以前からどこかでちゃんと考えなければいけないと感じているのが、現在の五十代・六十代の「オッサン」たちは、「大きなモノガタリ」の喪失以前に社会適応してしまった「最後の世代」だという点です。

■少数の二流の人間は、多数の三流の人間からの賞賛を浴びながら、実際のところは誰が本当の一流なのかを知っているので、地位が上がれば上がるほどに自分のメッキが剥がれ、誰が本当の一流なのかが露呈することを恐れるようになります。したがって、二流の人間が社会的な権力を手に入れると、周辺にいる一流の人間を抹殺しようとします。

■しかし、これが本当に優しいのでしょうか。四十代の後半で、「あなたはこの会社ではこれ以上の昇進は望めませんよ」と言われても、その時点で取れるキャリアオプションはほとんどありません。

■つまり、原始時代から情報革命までの長いあいだ、組織やコミュニティにとって、年長者というのは一種の「データベース」だったということです。

■逆に言えば、権力が弱体化する時代だからこそ、私たちは自分自身を知的に武装し、オピニオンを主張し、相互の発信に耳を傾けて対話していく必要があるということになります。なぜなら、弱体化する権力は躍起になってその支配力を強めようとするからです。

■昨今の「劣化したオッサン」による各種の傍若無人な振る舞いはまさに、終焉しようとしている権力システムがあげている断末魔の叫びだととらえることもできるでしょう。

■「なにかを止めないと、なにかにチャレンジできない」、チャレンジの難しさの本質は、チャレンジそのものよりも、それ以前に「なにかを止めること」にある。

■失敗のダメージが少ないセカンドステージでたくさんチャレンジし、自分なりの「失敗のマニュアル」を作ってしまうことで、サードステージにおいて大胆なチャレンジができる、つまり、「自分はどこでもやっていける」という自信の形成につながるのです。

■いま、それなりに頑張っているけれども、どうもしっくりこない、なにか違う気がする、という思いが拭えない人は、一度じっくり、もしかしたらそれは頑張っているのではなくて、単に「逃げる勇気、負ける技術」がないからではないか、と考えてみてはいかがでしょうか。

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 4)今日の気づき                       
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現在の五十代・六十代の「オッサン」たちは、「大きなモノガタリ」の喪失以前に社会適応してしまった「最後の世代」。という筆者の分析は、「オッサン」の一人として妙に納得感が高かったです。ちなみに「大きなモノガタリ」とは「いい学校を卒業して大企業に就職すれば、一生豊かで幸福に暮らせる。という昭和時代の幻想」を指しています。

最近「天動説と地動説」について考えることがあります。「地動説が広まったのは、天動説を信じていた人が地動説から自説を変えたのではない。天動説を信じる人がいなくなっていったから」つまり、染み付いた考えを変えるというのはとても難しい・・。
どちらかといえば「地動説」側の人になってきている自分を自覚しつつ、「(増えつつある)天動説側の人を邪魔してはイケナイ」と思い、「やはりこれからは天動説だよねー」的に振る舞う自分がいます。「地動説」を忘れることは難しい。忘れていない自覚はあるけど、謙虚な気持ちで「天動説」についても学ぶ努力をしていきたい。そんな考えを持ったオッサンを優しく見守ってほしいと思います。

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 5)本書の目次                        
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はじめに  本書におけるオッサンの定義
第1章 なぜオッサンは劣化したのか ― 失われた「大きなモノガタリ」
第2章 劣化は必然
第3章 中堅・若手がオッサンに対抗する武器
第4章 実は優しくない日本企業 ― 人生100年時代を幸福に生きるために
第5章 なぜ年長者は敬われるようになったのか
第6章 サーバントリーダーシップ 
    ― 「支配型リーダーシップ」からの脱却
第7章 学び続ける上で重要なのは「経験の質」
第8章 セカンドステージでの挑戦と失敗の重要性
最終章 本書のまとめ
    1:組織のトップは世代交代を経るごとに劣化する
    2:オッサンは尊重すべきだという幻想を捨てよう
    3:オピニオンをエグジットを活用してオッサンに圧力をかけよう
    4:美意識と知的戦闘能力を高めてモビリテクを獲得しよう

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「劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか」
光文社新書 (2018/9/13) 216ページ
山口周 (著)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/product/4334043739/

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