こんにちは。本シェルジュの吉田です。 今年も残りわずかとなりました。 政権交代により地方経済の疲弊に対して地方銀行の再編促進が叫ばれるようになり、金融のあるべき姿も変化を余儀なくされています。 「計測できない世界」をひとつのテーマとし、金融業界の問題点や変化を取り上げている一冊を紹介します。

━━1)本日紹介する書籍━━━━━━━━━━━

捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む 講談社現代新書(2019/2/20 ) 254ページ 橋本 卓典 著 AmazonURL:http://www.amazon.co.jp/dp/406514907X

━  2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 スルガ銀行や商工中金による不正融資問題、金融検査マニュアルの廃止等々といった金融業界を取り巻く環境は厳しさを増しているその現状とそのような中で、地方企業と手と手を取り、地方経済の再興にまい進する姿はビジネスパーソン全員への一つの見本になるのではないでしょうか?

━━━━━  3)付箋 ~本書からの内容抽出です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■P.32より 多くの銀行はとんでもない勘違いをしている。貸出量や動員する職員数、対応部署の新設、方針の策定、協定の締結などの「目に見えるもの」で、地域活性化に『取り組んでいる気になり、顧客との共感関係を育むリレーションシップバンキングだと看板を掲げてきた。そうではない。地域を縦横に結び付ける目に見えない「濃密なネットワーク」、「つながるチカラ」こそが最も重要な資産なのだ。

■P.242より 多くの銀行、多くの企業、多くの省庁組織でも「計測できない世界」の崩壊は年中繰り広げられている。皮肉なことに我々が数値化し、リスクだと認識している「計測できる世界」からは、破局的な問題はほとんど起きいない。危機とは常に予期しないところから起きる。故に震源地は常に「計測できない世界」にあるのだ。

━━━━━━━━━  4)今日の気づき━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

銀行に関わらず本書で言うところの計測できない世界で様々な問題、不祥事が起きています。一方、AIの進展等により計測できる世界に人間のできることはどんどん狭まっています。銀行員のみならずビジネスパーソンは計測できない世界でどのように諸問題に向き合うかが重要と気づかされました。

━━━━━━  5)本書の目次 ━━━━━━

第1章 金融革命とポスト森金融行政 メインバンクを変える地方の雄/森金融革命とは何だったのか/地域金融革命と資産運用改革/現場主義者・遠藤新長官の頭の中/地域生産性向上支援チーム/何が変わり何が変わらないのか/「行かない革命」の脅威/銀行再編の限界/預金送金決済が銀行から消える日/アリペイが起こす信用革命

第2章 20年の金融ルールが変わる 検査マニュアルとは何だったのか/別表が招いた金融排除/引当が一変する/五味元金融庁長官の証言/「検査マニュアル」はどう変わるか

第3章 「共感」と金融 共感が世の中を動かす/保険の魔術師と呼ばれる男/飛騨から生まれた「育てる金融」/金融業者のクラウドファンディング/鶴岡を世界一にした金融マン

第4章 さよなら銀行 追い詰められた支店長/客を売ったメガバンク/衝撃の金融庁臨店/銀行は人に不幸を売る仕事?/相手にするのはAKとKK/商工中金の闇/

第5章 「計測できない世界」にどう対処するか スルガ銀行が示すもの/本当のリスクとは何か/大きくなる誘惑/鎌倉投信・新井の新たな挑戦/リレーションシップ・インパクト論/「計測できない世界」に立ち向かう/捨てられない銀行員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━