おはようございます。
本シェルジュの藤井無限です。

だいぶ秋めいてきました。
読書の秋ですので、本シェルジュをお楽しみください。
前回私が紹介した本も科学技術の本でしたが、
今回も人工知能に関する本です。

人工知能の第一人者、松尾豊と、
経営コンサルタント塩野誠との対話形式で書かれており、
話題は人工知能の仕組みから、知能とは何か、
意識とは何かという哲学的な話題、
政治、経済、教育と幅広いものになっています。

理系のかたでなくても読みやすく、
ロボットや人工知能のビジネス展開を考えている
ビジネスマンにもうってつけだと思います。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
松尾豊、塩野誠
中経出版 (2014/10/16 初版 )
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無限:こんなに働いて疲れないの、
若いからかもしれないけど2日連続で徹夜作業だけど。
同僚A:疲れないですよ。これくらい。
無限 :え、そうなの作業内容にミスもないし。
同僚A:大丈夫ですよ。
予測精度が高いのでこれくらいならミスしないです。
そして寝なくても、充電が持てば大丈夫です。
無限 :予測精度、充電。え、まさかロボットだったなんて。。。

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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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[人工知能の怖さは予測精度にある]
MATSUO:
精度を高めるため、いろいろな出来事、物事の因果関係を、
ひたすら客観的に把握していく箱。なぜその予測がでてくるのか
人間にはわからないが、とにかく精度は抜群に高いという存在ですね。
SHIONO:
人間にはどうしてそれを思いついたのか理解できなくとも、
精度は異常に高いという人工知能ですか。
それは人間の理解を超えるという、別の本質的な怖さがありますよね。
機械のCEOが経営判断をして素晴らしい経営をしているけど、
意思決定のプロセスは人間には理解できないような。
MATSUO:
ええ。人工知能が持つ「怖さ」という視点では、現実的には
そちらのほうが先に起こりそうな気がします。
逆に、映画でよく描かれるような人間を支配するロボットとかは、
作ることが非常に難しいので、誰も作らないと思います。

[人工知能はどう作る?]より
かつて人工知能とされた領域では、こうしたルールを
プログラム言語で記述していく作業が、大きな比重を占めていました。
いまも本質的な部分、「ルールを作る」ことの意義は変わっていませんが、
アプローチは異なります。
(中略)
以前のルールの記述は、変数の空間を縦横に切っていくようなイメージでした。
しかし本来、この空間は斜めに切ってもいいし、曲線で切ってもかまいません。
切り方を賢くしたのが、いまの人工知能のルールの取得方法、
すなわち「機械学習」です。

[注釈より]
アシモフのロボット三原則
「人間に危害を加えない」、「人間に服従する」、「第一、第二原則に反しない限り、
自身の安全を守る」の3つ。

MATSUO:
死とか生とかの概念はロボットがどう認識するのかがけっこう難しくて、
死ななくなってもいいではないかという説はあります。
ただ機械学習的には、下のレイヤーからだんだん積み上げて作っていくことによって
学習速度を上げています。そうするといったん上のレイヤーまで作ってから、
下のレイヤーを作り直すのは非常にやりにくい。
ですから上のレイヤーまで作ったら、
全部壊して下からもう一回作ったほうが早いわけです。
これは個体を入れ替えるということで、違う個体として、
また赤ちゃんからやり直したほうが、結局は変化に対応しやすいということだと思います。
(中略)
ロボットや人工知能にも寿命があったほうがいいと思います。

MATSUO:
米国でコンピューターサイエンスの博士号を取った人は、就職にはほとんど困りません。
優遇されます。しかし日本はこの部分の産業が弱い。
とくにウエブ系のテクノロジーがほぼ他国に持っていかれている状況ですので、
ここはかなり苦しいですね。
しかし、人工知能というレイヤーの戦いになると、日本にも勝ち目が出てきます。
以前から「第五世代コンピューター」など力を入れてやってきましたし、
”リバイバル・コンテンツ”としても、ほとんどの世代から
支持を集められる研究テーマだと思います。
(中略)
そうです。「AIは人類最後の発明」という人もいますから、
ここは譲りたくないですよね。
(中略)
SHIONO:
日本は人工知能で、どんな部分でアドバンテージがあるのでしょうか。
MATSUO:
現状、ディープラーニングに関して、米国とカナダが最先端を走っていますが、
ここはデータ量とコンピューターのパワーで成し遂げられている世界。
ディープラーニングのアイデア自体は、日本でも10年前、
20年前から考えている人はたくさんいました。
その意味では、日本は素地が整っています。
研究者の能力も高い。あとはこの現実をみなで共有してやっていけば、
勝てる可能性は十分あります。
(中略)
SHIONO:
激動の時代、今回お話の中でも何度か繰り返してきたことですが、
キーワードは人間自身とテクノロジーをよく理解すること、
ここに行き着くような気がします。

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〓 3)今日の気づき                       〓
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ロボットや人工知能と共存していくにあたり、
下記の二つのうちどちらを選択するか考えなくてはいけない。
1.ギリシャ社会のように、人間は働かない、
労働するのはロボット(奴隷)であるという世の中
2.ロボットや人工知能にできることはできること。
人間にしかできないことに対しては人間が働くという世の中

いずれにせよ、Webなどからの大量のデータ修正がもたらした
人工知能の予測精度の向上やロボットの高性能化は目まぐるしく、
世の中のビジネスから社会システム、国の在り方までを大きく変えるであろう。

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〓 4)本書の目次                        〓
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PROLOGUE:えっ、人工知能ってそんなことまでできるの!?
将棋の相手、自動車運転、お掃除ロボット、中身は”賢いプログラム”
コンピュータに「ふるまい」を教え込む
「人工知能」の定義とは?
人工知能が急に賢くなった理由は?
人工知能の”本当の怖さ”ってどこ?
CHAPTER_1:ウェブとビックデータ、人工知能
人工知能の怖さ
01 何をもって「人工知能」と見なす?
02 人工知能の怖さは予測精度にある
03 人工知能の得意・不得意が見えてきた
04 クリエイティブなコンピューターは出現するか?
05 核心は「近似」の判断にあり
CHAPTER_2:政治も経済も、国境すらも変わる
近い将来、国はなくなるか
06 「予測」の仕組みが見えてきた
07 ディープラーニングってそんなにすごいの?
08 株価予測で抜け駆けはできる?
09 ビッグデータが新しい国家を作る
10 ビッグデータは誰のもの?
CHAPTER_3:ヒトと人工知能
人の「意思」は作り出せるか
11 脳をそのままコピーできるのか
12 ネット上に自己の「意識」は放てる?
13 「飽きる」は機械にはない特性
14 人はイルカの「知」をもっと引き出せる?
15 人工知能は「人」の領域を広げるか?
CHAPTER_4:ロボットに限界は必要か
すべての犯罪が記録される世の中に
16 しべての犯罪を見逃さない社会がやってくる
17 ビッグデータと人工知能が不平等をあぶり出す
18 自動運転は良いことばかりじゃない!?
19 命を秤に掛ける判断が問われる
20 人間と共存する機械は感情を持つべきか?
21 経済活動がリアルタイムで変化しはじめる
22 ロボットには寿命が必要
23 コンピューターに、愛は伝わるか?
CHAPTER_5:身体と学習、教育の役割
もう公教育は必要ない
24 人間は何をどう学べばいいの?
25 勉強できる子、できない子はどうやってフォローする?
26 教育は本当にフラット化されるか
27 人工知能は「いまどきの若者」を底上げできる?
28 医師やコンサルタントも格付けされる?
29 人工知能はウェアラブルから人体直結へ?
30 人間の尊厳はどこで保たれるか?

EPILOGUE:未来はそこまでやってきている
加速する人工知能の変化に気づく
人工知能は人類最後の発明?
人工知能は日本が再び勝つチャンス
パラダイムシフトの時代、一人ひとりがなすべきことは?
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東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
松尾豊、塩野誠
中経出版 (2014/10/16 初版 )
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