みなさん、こんにちは。本シェルジュの園田泰造です。

本日ご紹介する『10歳からの 考える力が育つ20の物語 童話探偵ブルースの「ちょっとちがう」読み解き方』は、書名にもあるとおり、「10歳」から読める内容ではありますが、私個人的には、大人、それもシニア以上の方にぜひとも読んでいただきたいと思う一冊です。

内容的には、主人公の童話探偵ブルースが秘書のシナモンと一緒に、童話の新解釈を20作分読み解いていく内容です。異論、反論もあるでしょうが、ここは一度、その新解釈に素直に身を委ねてみてはいかがでしょうか。

さあ、あなたもぜひご一緒に、ブルース、シナモンと一緒に童話の世界へ飛び込んでみませんか?これからの人生そのものを大きく変えるきっかけになるかもしれませんよ。

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 1)本日紹介する書籍
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10歳からの 考える力が育つ20の物語 童話探偵ブルースの「ちょっとちがう」読み解き方
アスコム (2021/10/23) 336ページ
石原 健次 (著), 矢部 太郎 (イラスト)
https://www.amazon.co.jp/dp/4776211610/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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自分の生き方はもちろん、部下の育成や対人関係、ものごとの考え方に行き詰まりを感じている方だけでなく、顧客、同僚、子どもや友人、恋人等いろいろな人と関わって生きているすべての方へ。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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P28 キリギリスがもしバイオリンを弾くことが大好きで得意なら、認めてあげられる世の中じゃなければダメなんじゃないかな。『好き』や『得意』を否定してしまったら、個性のない同じような人ばかりになってしまい、世の中も進化しづらくなる。そんな世界はつまらないよね。

P58 相手の立場に立って、その正義をすこしでも想像することができたら、一方的に責めることはできないはずだ。自分の身を守ろうとした子ブタも正義、ただ、オオカミにもまた正義があったことを知っておくべきだ。

P123 空気を読むとは、裏を返せば自分の気持ちや意見をかくすことだ。『いやだなぁ』と思いながら、みんなに合わせてしまうこともある。それが続くと、自分は本当はどうしたいのか、だんだんわからなくなってくるんだ。自分の人生を自分の意思で選ばず、まわりの空気を見て決めるってしあわせかな?

P167 集団行動というものは、いろいろな考え方を持つ人たちでまとまらなければならない。とてもむずかしいことだ。だからこそ、わたしはこう思うんだ。自分の考えていることは、しっかり言葉で伝えなければならない。『伝わっているだろう。』『結果さえ出せばいい』ではダメなんだ、ってね

P217 自信を持つのはとても大切ですが、その自信が過信になったとき、おごりという気持ちがわき出てきます。おごりの感情はだれにでも芽生えうるやっかいなモノで、まわりが見えなくなり、大変なかんちがいをしてしまう。それは人との距離感だったり、自分の得意不得意だったり、本当にさまざまです。それに気づいたときには、いろんなモノをすでにうしなってしまっていることも多い。北風もまた、そのおごりという感情に勝てなかったのです。

P231 ごんは、兵十の母親に対する思いを知らず、いたずらで邪魔してしまった。そして、お母さんは亡くなってしまった。こんなこと、ゆるしてもらえない。そう気づいたときに、心底おそろしくなった。だから、すこしでもその苦しさを軽くするために、毎日兵十に贈り物をしたんだ。しかし、これはなんの解決にもならない行為だと思う。だって、ごんのもうしわけないという気持ちは、兵十に1ミリも伝わっていないのだから

P274 「鶴と老夫婦は別れることになってしまったが、あのまま続けていたら、もっと悲しい終わりをむかえていたかもしれない。老夫婦は、娘の身を案じて、約束をやぶってのぞいてしまった。でも結局はその親心が、鶴の命を救ったと考えたい。だれかの身を心から案じたときだけは、唯一、約束をやぶってもゆるされるんじゃないだろうか。」「つまりブルース的には、『鶴の恩返し』は、ハッピーエンドということですね」

P330 今回の読み解きの結果、『梨売りと仙人』を現代に生かす新解釈。ひとは目の前の一部分だけを見て、どちらがただしいか、ただしくないかを決めてしまうことがある。しかし、だれもが日々、いろんなできごとを積みかさねて、今がある。目の前の小さな部分だけを見て、すべてをわかったような気になってはいけない。目に見えるモノは、その人のホンの一部。目に見えないモノこそを、想像してみよう。それこそが思いやりであり、人と人とが、本当に理解し合える方法なのだ!

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 4)今日の気づき
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童話の読み解きというと、結局は悪いことをするとこんな報いをうけるよ、というような、一読したときに大人の常識で理解してしまうような内容なのかと思っておりました。

しかし、本書では、「正義の反対は、悪ではなくもう一つの正義」というような、大人の常識を根底から覆すような提案がてんこ盛りです。

私のようなアラ還世代だと、良くも悪しくもいろいろと経験を積んで、自分なりの自信や常識で凝り固まってしまいがちですが、本書を読んで、一度その常識をリセットすることで、新しい視野で、ものごとに取り組んだ地、新しい人間関係が築けたりするのではないでしょうか。

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 5)本書の目次
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P2  :はじめに
P15 :第1話アリとキリギリス〜キリギリスは本当になまけ者だったのか?〜
P31 :第2話ウサギとカメ〜もしウサギが寝なかったらどうなった?〜
P47 :第3話3匹の子ブタ〜オオカミだって生きなきゃならない! 〜
P63 :第4話鳥と獣とコウモリ〜なぜぼくたちはコウモリの悲しみを理解すべきなのか〜
P79 :第5話さるかに合戦〜子ガニの復讐で悲しむのはだれ?〜
P95 :第6話こぶとりじいさん〜おどりが苦手なおじいさんに伝えたいこと〜
P111 :第7話裸の王様〜王様でさえ逆らえないおそるべき力〜
P127 :第8話雪女〜しあわせな時間を終わらせてしまう心のすき〜
P143 :第9話王様の耳はロバの耳〜王様とみんながしあわせになる方法とは?〜
P159 :第10話三年寝太郎〜寝太郎に足りなかったたったひとつのこと〜
P175 :第11話3つの願い〜君が手にするチャンスには種類がふたつある!〜
P191 :第12話泣いた赤鬼〜ウソをついてはいけない理由と友だちのつくり方〜
P207 :第13話北風と太陽〜童話探偵ブルースの誕生と、心の落とし穴〜
P221 :第14話ごんぎつね〜子ギツネごんはだれのために贈り物をしたのか〜
P237 :第15話ウサギどんとキツネどん〜だから、敵をつくってはいけないのだ〜
P249 :第16話ハーメルンの笛吹き男〜とても大切で、すごくむずかしいたったひとりの勇気〜
P263 :第17話鶴の恩返し〜鶴との別れはまちがいなくハッピーエンドだ!〜
P279 :第18話北風がくれたテーブルクロス〜少年はンスが身につけるべきは問題解決能力〜
P301 :第19話ヒツジ飼いとオオカミ〜オオカミ少年の悲しすぎるウソの理由〜
P317 :第20話梨売り仙人〜去りゆくブルースが一番伝えたかった最後の読み解き〜

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10歳からの 考える力が育つ20の物語 童話探偵ブルースの「ちょっとちがう」読み解き方
アスコム (2021/10/23) 336ページ
石原 健次 (著), 矢部 太郎 (イラスト)
https://www.amazon.co.jp/dp/4776211610/