みなさん、こんにちは。本シェルジュの園田泰造です。

本日ご紹介する「13歳からの地政学」は、その名の通り、中高生でも十分読める内容ながら、大人が読んでも思わず「へぇ、そうだったんだ」と頷いてしまう一冊です。

2022年秋、ようやく日本人の海外渡航や外国からのインバウンドも少しずつ増えていきそうな状況になってきましたが、いまだに、海外はおろか、国内ですらあまり出かけずに、じっと巣ごもり的に過ごしている方も多いかもしれません。

そんなとき、できれば地球儀や地図を用意して、この本を読みすすめることで、リアルな世界のイマを感じることができるのです。まさに、大航海時代の船乗りのごとく。ワクワクしてきませんか?

例えば、なぜ中国が南シナ海を掌握しようと介入しているのでしょうか?それは、本書によれば、実はあるものを隠すためなのです。

さあ、あなたもぜひご一緒に、ロールプレイングゲームのような、地球儀航海の冒険の旅にでかけてみませんか?

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 1)本日紹介する書籍
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13歳からの地政学:カイゾクとの地球儀航海
東洋経済新報社 (2022/2/25) 246ページ
田中孝幸 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492444688/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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学生や、地理、歴史、政治に興味のある方はもちろん、居ながらにして世界旅行をしてみたい方や、幅広い視点からものごとを捉えて考えたいすべての方へ。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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P34 アメリカは世界で一番多くの海底ケーブルを張りめぐらせている。(中略)その大きな理由の一つは海をおさえれば、情報をおさえることができるからだ。(中略)データが通る場所をおさえれば、世界中のデータを盗み見して、他の国が知られたくない情報を得ることができる。

P64 核兵器は、いつまでももぐっているための原子力潜水艦、海の中からミサイルを発射する力、それに潜水艦を隠すための深く、自分の縄張りにできる安全な海という3つを確保できて、初めて最強のアイテムになる。(中略)南シナ海だな。まさにそうだ。中国が原子力潜水艦を隠すのならば、ここしかない。

P112 選挙がある国では、負けるということは権力を失うということだけだが、選挙のない国では、負けるのは往々にして死を意味する。民主主義の利点は、暴動やギロチンがなくてもリーダーを代えられるということにつきる。

P134 政治のリーダーは憎まれ役をしないといけないことも多いから、国民全体から敬われる存在である王様とは、別々にしておいたほうがいいということもある。だから、政治の力もある王様というのは、昔に比べるとずっと減ったんだよ

P151 世界でアフリカほど貧しい大陸はほかにはない。(中略)豊富な天然資源もある大陸だ。それを売るだけでもたくさんのお金が稼げるはずなのに、貧しいままになっている。(中略)アフリカが貧しい最大の理由、それは国のお金を、政治家が国外に流しているからだ。

P175 『アフリカの貧しさは厳しい自然のせいだ。天災だ。』というイメージをヨーロッパやアメリカのリーダたちが広めてきたからだ。貧しさは誰の責任でもないということにしたいからな。

P190 アメリカや中国、ロシア、日本などほとんどの大国ではモノリンガルの方がえらくなる傾向がある。国の中で高い地位に昇りつめることに力を尽くすあまり、外の世界への関心が薄くなる。その結果、お互いへの誤解や無知がはびこる。ほかの国の立場を理解しようとする取り組みすら、そうした政治の世界では弱さととらえられ、マイナスとなってしまう

P199 終戦記念日という理由、それは敗戦のネガティブな記憶を一旦封印して、前向きに日本を復興させることを優先したからだよ。(中略)戦争でひどい目にあったことを自然災害と同じようなものだととらえるようにしたんだ

P217 中国が(中略)ほかの国々うまくやっていくことには慣れておらず、いろいろな国でトラブルを起こしている。そのトラブルの原因の一つが、どんな中国人も世界のどこにいようが政府に協力しないといけないという法律だ。まるでスパイのように

P226 「寒すぎるロシアでは、自分たちの資源を掘り出しやすくしてくれて、可能性を広げてくれるポジティブなものだととらえる人もいる」「温暖化も立場によって見方が変わってくるんですね」

P243 その後、私は病気を克服しましたが、片目の視力を失いました。でもその恩師のおかげで、それを補って余りあるくらい、世の中のことが見えるようになったのです。それより前の私は両目が開いていても、自分の見たいものしか見ず、世界の本当の姿を見ようとしていなかったのです。

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 4)今日の気づき
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この本は、タイトルにあるように、「地政学」の本なのですが、大樹・杏の兄妹と一緒にカイゾクの言葉を聞きながら、世界のいろいろな国の住人になった気になって、それぞれの立場で物事を考えていくうちに、いかに自分が偏った視点で世の中の事象を捉えがちであるかを思い知らされた気がします。

つまり、世界へ視野を拡げることの大切さを知るとともに、自分の心の中、奥深くへ問いかけることにもなる一冊なのではないかと思いました。

エピローグにカイゾクから、兄妹は、「自分にとっての世界の中心はどこか」という問題を出されます。 兄妹の答えはそれぞれ素晴らしいと思いますが、私だったらどう答えるか。

時と場合によって、その回答は変化するかもしれません。「世界」を「身の回りの世の中」や「家族」「仕事場」等に置き換えられるかもしれません。日々、折を見て、その時々の自分の答えを考えていきたいものです。

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 5)本書の目次
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P11  :プロローグ カイゾクとの遭遇
P20  :1日目 物も情報も海を通る
P56 :2日目 日本のそばにひそむ海底核ミサイル
P87 :3日目 大きな国の苦しい事情
P118 :4日目 国はどう生き延び、消えていくのか
P148 :5日目 絶対に豊かにならない国々
P179 :6日目 地形で決まる運不運
P206 :7日目 宇宙からみた地球儀
P237 :エピローグ カイゾクとの地球儀航海

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13歳からの地政学:カイゾクとの地球儀航海
東洋経済新報社 (2022/2/25) 246ページ
田中孝幸 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492444688/