こんにちは。
本シェルジュの夏原 馨です。

暑い暑いと言っていたら急に秋を飛ばしたような気候に見舞われる中、体調など崩されていませんでしょうか。
全国旅行支援も始まりますし、アフターコロナへの推移もふくめて季節や環境の移り変わりを折々に感じています。

今日ご紹介する本は「エモい古語辞典」。
文字通り、エモい日本語表現を集めた辞典です。

ビジネス書を紹介するこのサイトにはめちゃくちゃイロモノ感がありますが、いろいろなものが移り変わる今だからこそオススメしたい。
もうね、カタカナ語並べて賢そうに見せる時代は終わったんじゃないかと。
発信や共感がますます重要になっていく中で、エモい語彙は宝になる予感。

なぜなら「なんてことない日常」が、エモ語彙を通すと一気にドラマチックさを増すから。(個人の感想です)


一時期、某有名アニメのエンディングを退勤時に聞くGetWild退勤が話題になりましたが、それに類する世界観だと個人的に感じております。単に疲れた1日の終わりが、音楽で一気にエモくなるあの感じ。

たとえば急な雨に降られた時、「ああこれは遣らずの雨かな」と呟けるだけで、少女マンガの世界に入り込むような。
たとえばカラスのギャンギャンな鳴き声をきいて、「焦烏か」と変換するだけで一気に物語が紡がれるような。

「エモさにふるえても語彙力を喪失したくない。
むしろ語彙力でエモさを増幅させたい。これはそんな人のための辞典です。」

(著者)

…私のように、日常からちょっと逃避したい方に一番オススメかもしれません。

1)今日のオススメの一冊

エモい古語辞典
著者:堀越英美(ほりこし・ひでみ)
出版社:朝日出版社 (2022/7/7)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4255013012/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_F4NDZH2DTS8GH9095ZYS

2)付箋

P13 星霜(せい・そう) 年月。星は一年で天を一周し、霜は毎年降ることから。
→「人間の年月と猫の星霜を同じ割合に打算するのははなはだしき誤謬である」夏目漱石

P74 行合いの空(ゆき・あ=い・の・そら)
二つの季節が行き交う空。とくに夏から秋へと移り変わるころの空。
→「夏衣 かたへ涼しく なりぬなり 夜やふけぬらむ ゆきあひの空」慈円=作、『新古今和歌集』

p165 潦(にわたずみ)
雨が降って、地面にたまって流れる水。「流る」「川」にかかる枕詞になる。

3)今日の気づき

行合いの空のページを見て、慈円の生きた平安後期〜鎌倉初期も、夏から秋の季節の変わり目に着る服に困っていたんだなあと。
単に「何着ていいかわからなくて困る」とイラついていただけの時間が、悠久の時に思いを馳せるような贅沢な時間になる。
なんてことない日常が、語彙を持つか持たないかで全く異なる彩りを放つと、この本に出会って気づきました。

おそらく語彙に限らず、あまねく知識は「持つ人」と「持たない人」で世界を隔てるものでしょうが…
エモい語彙の知識は、自分の中でひっそり楽しむ世界を広げる感覚があります。

ガリガリと横文字を積み上げて”効率を高める” ”ビジネスで勝つ”ところに一生懸命だったときには感じられなかった何か。
エモさを感じたときに、だいたい語彙貧になっていた自分には重ねられなかったフィルターを手に入れられることって、ちょっとゆたかでしあわせだなと。

4)本書の目次 

第1部 天文 ――時間/季節/宇宙/気象
第2部 自然 ――生物/植物/元素/色
第3部 人生 ――感情/人の営み
第4部 物語 ――神話・歴史/怪異/中国/仏教/禅
第5部 言葉 ――ことわざ/二字熟語/四字熟語/近世語/雅語


エモい古語辞典
著者:堀越英美(ほりこし・ひでみ)
出版社:朝日出版社 (2022/7/7)
AmazonURL:https://www.amazon.co.jp/dp/4255013012/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_F4NDZH2DTS8GH9095ZYS