こんにちは、本シェルジュのホリケンです。 人生100年を生き抜くのに役立つ本をご紹介していきます。
「心理的安全性」という言葉をみなさんも一度は耳にしたことがあると思います。Googleで提唱された概念と思っている方も多いことでしょう。
なんとなく、この「心理的安全性」が高まるととても働きやすくなる、というイメージがあるのではないでしょうか?私もそうでした。しかし、この「心理的安全性」が一体どういうもので、どうやったら高めることができるのかについてはよくわかっていませんでした。
そんなときに、本書に出会いました。働くすべての人たちへ。
本日紹介する書籍
「恐れのない組織~『心理的安全性』が学習・イノベーション・成長をもたらす~」
英治出版 (2021/2/3)320ページ
エイミー・C・エドモンドソン(著)
本書を選んだ理由〜どんな人が読むべき?〜
働き方改革に関して3年ほど前から様々な調査をする中で「心理的安全性」という言葉に出会いました。本書にも記載のあるGoogleの「プロジェクト・アリストテレス」の記事で目にしたのが最初です。それからというもの、心理的安全性という言葉は一気に広がり、ちょっと前に流行った人生100年と同じぐらいの浸透を見せています。
しかし、心理的安全性の高い状態というのがどのような状態なのかについての理解はまだまだ進んでいないと日々感じます。もっとこの領域を深く知り、自分の働く環境に対して良い影響をもたらしていきたい。そんな事を考えていたときに、本書に出会いました。
特にピープルマネジメントを行う管理職~経営層の方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。 というのも、働く現場の心理的安全性を作っていくのはリーダーの重大な責任だからです。
付箋 本書からの内容抽出です
今日の従業員はレベルを問わず、協働する時間が二〇年前に比べて五〇パーセント増加しているのだ。もはや、優秀な人材を採用すればそれでいいという時代ではない。優秀な人材が、力を合わせて仕事をする必要があるのだ。(P.12)
職場に心理的安全性があれば皆、恥ずかしい思いをするんじゃないか、仕返しされるんじゃないかといった不安なしに、懸念や間違いを話すことができる。(P.15)
対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性だと、私は考えている。(P.30)
心理的安全性は、単なる職場の個性ではなく、リーダーが生み出せるし生み出さなければならない職場の特徴だということである。(P.37)
実のところ、心理的安全性は野心的な目標を設定し、その目標に向かって協働すのに有益だ。心理的安全性は、より率直に話し、好奇心旺盛で、協力し合い、結果として高い成果をあげる職場環境 の土台なのである。(P.44)
今日ではダイバーシティ(多様性)、インクルージョン(包摂)、ビロンギング〔自分らしさを発揮しながら組織に関われる心地よさ〕が職場で重視されてきていることを加味すれば、心理的安全性の構築がリーダーのきわめて重要な責務であることは明らかだ。(P.56)
グーグルのずば抜けて優秀で有能な社員でさえ、持てる力を確かに役立てるには心理的に安全な環境が必要であることを、彼らは突きとめた。また、ほかにも四つの要因 ─ ─ 明確な目標、頼れる仲間、個人的に意味のある仕事、その仕事に影響力があるという信念 ─ ─ が、チームのパフォーマンスに影響することを見出した。(P.79)
フォルクスワーゲン、ウェルズ・ファーゴ、ノキア、ニューヨーク連銀には明らかに、専門知識、意欲、優れたリーダー、明確な目標が有り余るほどあった。 業界で組織として成功するためには関連するあらゆる分野に関して有能な社員が必要だが、それもそろっていた。つまり、四つの組織 はいずれも優秀だった。欠けていたのは、リーダーシップだ ─ ─ 心理的安全性が確実に職場に広がり、人々が社内の有力者に(連銀のケースでは業界のパートナーに)、本当のことを話せるよう にするリーダーシップである。(P.111)
二〇〇三年二月一日、NASA(米航空宇宙局)のスペースシャトル・コロンビア号は地球へ向けて大気圏に再突入し、そして悲劇が起きた。(中略)ローシャは、衛星写真を要請する許可を出してもらえないかと、上司に電子メールを送った。上司はそんな写真は必要ないと判断し、そのように返答した。落胆したローシャは仲間のエンジニアらに失意のメールを送り、のちにはこう述べた。「序列がはるかに上の人間にものを言うなど……エンジニアには無理だ」と(P.119)
二〇一一年三月一一日、日本の北東部の海岸沖で、マグニチュード九・〇の地震が起きた。のちに「東北地方太平洋沖地震」と命名されたこの地震によって、高さ四五フィート(約一三・七メートル)の津波が発生し、福島第一原子力発電所を襲った。(中略)福島第一原子力発電所で惨事が起きるまでの数年間に、カッサンドラのような人が何人か、そうした事故の可能性を再三にわたって警告していた。もし実施されていたら発電所の崩壊を防いだか軽減しただろう合理的な安全対策について、勧告がなされていたのである。だが毎回のように、勧告ははねつけられたり真剣に聞いてもらえなかったりした。ここで浮かぶ疑問はこれだ。一体、なぜなのか?(P.131)
どんなに詳しく書いても、この報告書では──とりわけ世界の人々に対して──十分に伝えきれないことがある。それは、この大惨事の背後にある、過失を促したマインドセットである。これが「日本であればこそ起きた」大惨事であったことを、われわれは重く受けとめ、認めなければならない。根本原因は、日本文化に深く染みついた慣習──すなわち、盲目的服従、権威に異を唱えたがらないこと、「計画を何が何でも実行しようとする姿勢」、集団主義、閉鎖性──のなかにあるのだ。(P.136)
バリー・ウェーミラー、グーグルX、アイリーン・フィッシャー、ブリッジウォーター、ピクサーには、共通点がほとんどないように見える。だが実はいずれも、努力してつくり出している──圧倒的なレベルで率直に話し、エンゲージし、力を合わせ、リスクを取るという特徴を持つ環境を。そしてそれらの特徴すべてがあればこそ、会社はありとあらゆる方面で成功を収めてきた。(P.175)
リーダーは土台をつくり、参加を求め、生産的に対応することによって、組織に心理的安全性を築き上げる。(P.210)
失敗からは、貴重なデータが手に入る。ただし学習するためには、失敗からの学びを注意深く精査できるだけの心理的安全性が不可欠であることを、リーダーは理解し、伝える必要がある。(P.213)
今日の気づき
心理的安全性とは決して居心地が良い環境ではないこと。その代わり、誰もが率直に、恐れることなく発言をすることが求められることであるということ。そして、これらは決して一朝一夕で実現できるものではなく、一人ひとりがリーダーシップを自覚し、メンバーを尊重する気持ちの余裕を持ってこそ実現できるものであるというのが大きな気づきでした。
特に恥の文化が根強い日本で心理的安全性を確立するのはかなりのチャレンジになると思いますが、今日、今から、自分ができることから取り組もうと強く思いました。
本書の目次
第1部 心理的安全性のパワー
第2部 職場の心理的安全性
第3部 フィアレスな組織をつくる
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「恐れのない組織~『心理的安全性』が学習・イノベーション・成長をもたらす~」
英治出版 (2021/2/3)320ページ
エイミー・C・エドモンドソン(著)
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