こんにちは、本シェルジュの松林です。
今日は急成長を続けるハンバーガーショップ「フレッシュネスバーガー」の創業者・栗原幹雄氏の本をご紹介します。

栗原さんは、新卒で入った一部上場企業を3年で辞めて、義兄と「ほっかほっか亭」をゼロから立ち上げた後、独立してフレッシュネスバーガーを創業した方です。

この本は、ヴィレッジバンガードという書店(?)でたまたま目に留まったのですが、読んでみると、創業や新規事業立ち上げに必要なエッセンスがたくさん詰まった本だとわかりました。

このまま会社員を続けていくべきか悩んでいる方、会社で新規事業の立ち上げ担当になった方、さらには今の仕事がつまらなく感じる方などにも、オススメです。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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フレッシュネスバーガー手づくり創業記
栗原幹雄(著)
アスペクト文庫(2011/9)224ページ

今回の登場人物紹介
■松林:経営コンサルタント。創業希望者と話す機会が多い。
■A氏:40代の会社員。将来は自分で何か事業をやりたいと思っている。

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松林:こんにちは。創業をお考えとのことですが、いまどういう段階ですか?

A氏:いま会社員なんですが、会社の業績がものすごく悪くて、数千人単位で希望退職を募ることになりまして。仮に会社に残れたとしても、50代になると給料がぐっと下がってしまいますし…。何か自分で商売でも始めようかなぁ、と思い始めたところです。

松林:なるほど、なかなか大変ですね。それで、何かやってみたいことはあるんですか?

A氏:いやぁ、今までは会社から言われたことをやるだけでしたから、なかなか思いつかないんですよ。何か、これをやったら儲かるっていう商売はありませんか?

松林:はっきり言いますが、今時これをやったら確実に儲かる商売なんて、ないです。出発点として、ご自身がどうしてもこれをやりたい、という強い“思い”がなかったら、何をやっても成功しませんよ。

A氏:そうですか…。ちょっと考えが甘いですかね。

松林:甘いというか、中途半端だと思います。成功する方を見ていると、創業することで誰をどのように幸せにするのか、そのアイデアをご自身で考えて、自分でやり遂げるという覚悟があります。そうでないと、ピンチに陥った時に頑張れないのです。

A氏:う~ん、それはそうでしょうね。

松林:まずは、創業して成功している方の基本的な考え方に触れてみてはいかがですか?こういういい本もありますし。そういったものに触れてみて、自分なら誰にこういう価値を提供できる!というアイデアを何種類か出してみることから始めてみましょう。

A氏:そうですね、まずはそこからやってみます!

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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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■P43より
商売を始めるにあたっては、業界の慣習に従うほうが無難だと思っている人も多いと思う。でも僕の経験からいうと、常識通りにやっていたらいいかというと決してそうではない。むしろ常識から少し外れたところやその反対側に成功のヒントがあるように思う。
常識から外れていることは、見方によっては武器だ。その武器をどう使うかを考えるのが一番楽しい。みなさんはそういうことって、ないですか?
本来はオーダーを受けて一から調理するような、時間のかかるやり方でお待たせしてしまうことも、熱くてバクバクとは食べられないメニューを出すことも、お客様にとっては利便性を損なうことになるのかもしれない。
でも、僕はあえてその利便性を追求しないお店にしたかった。どのハンバーガーショップにもない、熱々のハンバーガーを出すことが、この店の価値だと思っていた。

■P75より
「お店を成功させるには何が必要ですか?」
よくそんな質問を受ける。とても難しい質問だ。正しい答えがあるなら、僕がうかがいたいほどだ。当たり前のことで恐縮だが、お店を構成する要素はたくさんあって、それぞれに気を抜いてはいけないというのが大原則だと思う。
ただ、三○年間も飲食業業界に携わり、一〇を超える業態を作ってきた経験から、一つだけ指標にしているものがある。それが「四格のバランス」だ。
四格とは、品格、価格、店格、人格のことだ。この四つの「格」のバランスとは、僕が勝手に名づけた。少なくとも、この四つのバランスが悪い店は流行らないと僕は思っている。
そのバランスとは品格を一〇〇とした場合、価格は九〇。つまり商品の質からすると、相場的に少し割安な価格で設定する。店格は、少し高めの設定で一二〇。さらに接客を意味する人格は一五〇ともっとも高くする。この一〇〇、九〇、一二〇、一五〇のバランスが、もっともお客様に喜んでいただける黄金律なのだ。これは僕の今までの経験で割り出したバランスであり、僕が業態を考えるときは常にこのバランスを意識している。

■P89より
仕事を楽しくするには、まず起こっている問題にしっかりと向き合うことが大切だ。そしてその問題をどうすれば楽しめるかを考える。
こんなふうに言うと不謹慎かもしれないけれど、仕事上の問題も見方を変えればクイズとかジグソーパズル、詰め将棋と同じなのではないかと僕は思っている。
僕自身、ふだんからそんなことを考えているわけではないが、楽しもうと思っていればギリギリのところでぽっと、ユニークなアイデアも湧いてくる。要は、「問題そのものを楽しもう!」という気持ちが大切なのだということである。
だからみなさんも問題が起こったら、それは自分自身はもとより、周囲の人たちを楽しませるような素敵な演出やストーリーを作るきっかけだと思ってみてはどうか。

■P109より
一号店が成功するかどうかわからないのに、よくチェーン展開など考えられるものだと思うかもしれないが、これはほっかほっか亭時代に培った感覚だと思う。ほっかほっか亭の創業時も、一店も出していない時から、一〇〇店を意識したビジネスを考えていた。
中でも一番大切なことは、店舗運用の一切を標準化すること。標準化とは、その道のプロでなくても、誰もがマニュアルを見れば今日からできる、というレベルに作業を落とし込むということだ。
だから僕は、メニュー作りに励んでいる時にも、すべてのレシピをマニュアルにしていたし、またマニュアルにできるような作り方を探しながらレシピを完成させた。
それは、一軒だけのお店にするか、二店目を考えるかで、まったく店作りの感覚が違うことを知っていたからだ。はっきり言って、二店出すのも一〇〇店出すのも同じ。一と二の間には、大きな壁がある。

■P131より
ビジネスは一にも二にも、お客様のニーズを捉えることだと言われる。しかし、僕はどうもその考え方には疑問だ。
市場のニーズを掴むことはもちろん大切なことではあるが、それを主体にビジネスを考えていくと、最終的にはありきたりのものになってしまうからだ。
ニーズに応えていこうと努力するのは、結果的に「みんなにきて欲しい」という発想でいるからだと思う。
フレッシュネスを立ち上げた時、僕は市場の動向に合わせるよりもむしろ、自分の主張を主体に店作りを考えた。その上で、こんな人たちに、こんなふうに利用してもらいたい、という店側の好みでブランドを創造してきた。そして、それに賛同してくれるファンを作っていこうという考え方で運営してきたのだ。
「オリジナリティ」はお客様を増やすための戦略ではない。本当の意味は「半分の人に嫌われる」ということだと僕は考えている。
オリジナリティを目指すなら、最初に半分の人を切り捨てる発想が必要なのだ。

■P150より
どんな分野でも成功する人は自分の「強み」がよくわかっていて、それをうまく生かしているものだ。まず自分の「武器」となるものを生かすことができなければ、お客様に支持をいただくことはできない。
ただし、もう一つ、重要な事実に気づくことがある。それは何かというと、今、自分の「強み」となっていることは、もともとは「弱み」だったケースが多いことだ。
僕がフレッシュネスを創業する時がまさにそうだった。当時僕には、お金もない。経験もない。人もいない。まったくのないない尽くしでスタートした。できないことを数えればキリがない。
では、何も持たない自分にとっての武器とは何か。そう考えたとき、「手作り」しかなかった。そこで発想を逆転させた。「手作り」の良さを売りにしようと考えたのだ。フレッシュネスは、弱みから生まれたビジネスだったと言ってもいい。
苦境は見方を変えればチャンスとなる可能性を秘めている。
今、逆境の真っ只中にいるなら、それを強みにすることを考えてみてほしい。
自然にそれができるようになった時、あなたは成功を手にすることになる。

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〓 3)今日の気づき                       〓
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著者は、仕事を遊びの一つととらえて楽しむことを勧め、遊びはアイデアを生むためのデータベースの蓄積になるという趣旨を説いています。私個人の経験からも、仕事上のアウトプットで忙しくなり、遊びが希薄になって義務感が増してくると、ますますドツボにはまることがあります。「遊び」を大切にしながら、ある意味ゲーム感覚で仕事に取り組んでいきたいです。
また、「顧客志向」とはお客様の言うとおりにすることを意味するのではなく、自分が誰をどんなやり方で喜ばせるのかを考え、それ以外の人を切り捨てることがが重要だという指摘も、その通りだと思います。その潔さや思い切りこそ、ファンを獲得するための重要な要素だということを、改めて認識しました。

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〓 4)本書の目次                        〓
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1章 フレッシュネスバーガーのできるまで
・それは運命の出会いだった
・たった一軒の強みを生かした手作りの店
・ハイタッチでアナログな店にしよう
・フレッシュネスバーガー誕生
・人件費はオレ!?
・常識を疑うとアイデアが浮かぶ
・「熱々オムレツで驚かせちゃお」がテーマ
・昼は会社役員、夜はハンバーガー屋の店長
・店を成功させるために必要な「四格のバランス」
・たちまち完売、家内のバナナケーキの秘密

2章 素人だからできることだってある
・問題を楽しむと仕事も楽しくなる
・決断のときは、いきなりやってくる
・目標って、そんなに大切なの?
・二店出すのも100店出すのも基本は同じ
・会社の成長に合わせて社長を取り替える
・FCはまず、お客様に喜ばれる業態ありき
・どんなところに行っても絶対嫌なヤツはいる
・オリジナリティとは半分の人に嫌われること
・仕事を早く覚える確実な方法
・「天職」とは探すものではなく出会うもの

3章 僕が大切に思っていること
・「強み」を生かし、「弱み」を強みに変える
・仕事は真剣な遊び
・勉強させてくれて、お金までくれる会社は素晴らしい
・キャラを生かした仕事の仕方がいい
・アイデアは遊びから生まれる
・やっぱり「人を喜ばせたい」が原点だ
・少数精鋭のプロデューサー集団をめざす
・ハート[心]&サイエンス[科学]の経営
・仕事は自分の意志で決める
・常にお客様とともに進化する

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フレッシュネスバーガー手づくり創業記
栗原幹雄(著)
アスペクト文庫(2011/9)224ページ