みなさん、こんにちは。本シェルジュの岩永です。

カレンダー通りにお休みを取れる方は3連休の最終日ですね。
この土日でお子さんの運動会に参加された方も多かったのではないでしょうか。
今年の夏は、残暑らしい残暑もあまりなく、あっけなく終わり、もはや肌寒
い日もありますね。

読書の秋ということで、たくさん本を読みたいところではありますが、最近は
溜めてしまった仕事に終わる日々です(苦笑)。

そんな中、実務上勉強が必要で読んだ本の中から、今回ご紹介したいと思いま
す。

会社経営されている方はもとより、コンサルタント、企業の大小を問わず会社
勤めされている方にとって、必須の知識の一つと言えば…そう、決算書を読め
ることですね。

ただ、試験に受かるための勉強と実務(中小企業の場合は特に)は、かなり異
なります。

本シェルジュメンバーは、全員、中小企業診断士ですので、それなりに、簿記
や会計の勉強はしているのですが、不思議なことに中小企業診断士になる過程
で勉強している会計って、大企業向けのものなんですよね。
もっと言うと、会計に限らず、経理理論を学ぶ「企業経営理論」もそうなんで
すけど…

前置きが長くなってしまいましたが、本の紹介に入ります。
個人的には、はじめて、実務的な内容の本をご紹介いたします。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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銀行員はココを見ている 社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方
安田 順(著)
日本実業出版社 (2015/4/28) 224ページ
Amazon URL
http://www.amazon.co.jp/dp/4534052782

今回の登場人物紹介

コンサルタントの先輩と後輩
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とある中小企業の決算書をコンサルティングの事前に入手して…

後輩:
この会社さん、10期連続で、10万円程度ですけど経常利益出てますし、
現預金も多いし、状態いいんじゃないですかね!
売上高は年々下がってしまっていますけど…

先輩:
いやいや、よーく見てごらん。
例えば、P/Lでも、売上高・売上総利益・営業利益・経常利益だけを見ていて
はダメだよ。
例えば、売上総利益は、「売上-売上原価」だろ?
売上原価ってどういうこと?

後輩:
えっと、「期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高」ですね。

先輩:
つまり、売上原価を下げたら、売上総利益は上がるよね?売上原価を下げるに
は、期末商品棚卸高を上げればいいってことになるよね?
この会社さん、売上は年々減っているのに、期末商品棚卸高も、毎年上がって
いるよね。これって、違和感覚えない?

後輩:
あ!
きちんとヒアリングしてみる必要がありますね。

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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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■P.16より
資金繰り悪化の理由は会社によって千差万別ですが、資金繰りに悩む社長には、
ある共通する特徴があります。それは、
「どの社長も貸借対照表(BS)をまともに読んでいない」ということです。

■P.62より
(銀行員の決算書の)読み方は、加点主義ではなく減点主義です。たとえば、
BSに計上される貸付金や仮払金などは、ほぼすべて資金流出が疑われる”怪し
い資産”と考えます。

■P.69より
銀行は「基盤」という言葉が好きです。「確固たるものがあるかどうか」が大
事なのです。

■P.70~71より
会社の事業内容を説明する場合、製品と市場が切り口になりますが、銀行に伝
わりやすいのはどちらかというと「市場」のほうです。

■P.75より
銀行員は、こう考えます。「個の会社はPLを黒字にするために、期末在庫を水
増ししているかもしれない」。

■P.76より
在庫(棚卸資産)は、売掛金のように相手がいない分、わりと安易に粉飾され
てしまいます。銀行員自身も「期末在庫の水増しは、よくある粉飾の手口」と
認識しています。

■P.96より
金融機関の人間が最も恐れることは、貸した直後の延滞発生です。
(中略)よって、最も力を入れて作成すべき資料は、1~2年分の「月次損益
計算書」や「資金繰り予想表」です。

■P.198より
実際には、中小企業の社長の多くは税務の数字に翻弄されています。
なぜなら、決算書を税務申告用に1つしか作らないからです。
よく「中小企業の決算書はお手盛りでアテにならない」と言われますが、社長
自身、そのアテにならない数字を見て経営判断を行っているのです。

■P.202により
節税を目的にしている会社は借金をしない方がよいでしょう。利益を計上せず
に経営を安定させていくことは不可能だからです。
税金を少なくするために経費を余計に使えば、会社に残るお金も少なくなりま
す。

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〓 3)今日の気づき                       〓
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本書は、経営者向けにわかりやすく書かれたものです。著者も中小企業診断士
です。非常にわかりやすく、勉強になりました。
経営者に限らず、支援者側も読んでおいて損はない素晴らしい本です。
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〓 4)本書の目次                        〓
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序章 「数字に強い人」ではなく、「数字で失敗しない人」を目指せ
第1章 「入口」を間違わなければ決算書は読めるようになる
第2章 会社の「お金の動き」を効率的にチェックするポイント
第3章 銀行は決算書をどう読んでいるか“PL編”
第4章 銀行は決算書をどう読んでいるか“BS編”
第5章 資金繰りに強い社長が実践する「試算表の読み方」
第6章 リスケにならない借入返済の基礎知識
第7章 お金のことで悩まない社長になるための応用知識
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銀行員はココを見ている 社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方
安田 順(著)
日本実業出版社 (2015/4/28) 224ページ
Amazon URL
http://www.amazon.co.jp/dp/4534052782