みなさん、こんにちは。本シェルジュの園田泰造です。

本日ご紹介する「イシューからはじめよ」は、2010年に発行された書籍です。もう12年近く経つんですね。

実は、私、この本が発行された当時、名著と勧められて、一度読んだことがあるのです。しかし、その時はいまひとつピンとくるものがありませんでした。その頃すでに、社会人経験をある程度積んでいたにも拘わらず、やはり「イシュー」の本質がまだ十分に分かっていなかったのでしょう。

ただし、ここ数年、データ分析関連を生業とするようになってから、この本を読むと、可能な限り「本当にそれは今解決すべき問題かどうか」という「イシュー度」を見極めてから、アウトプットのわかりやすさである、「解の質」を高めるといったこの順番の大切さが身に染みてわかるようになりました。

一歩間違うと、すぐに本書でいうところの「犬の道」(イシュー度よりも、解の質をまず追求して時間を浪費してしまう)に嵌ってしまう経験を何度もしてきたからでしょうか。

もちろん、データ分析自体に直接携わっている方でなくても、すべてのビジネスパーソンにとって、生産性の高い、本当にバリューのある仕事をするために骨の髄まで沁み込ませるべきノウハウが整理されている一冊となっています。

まさに、「生み出す変化」で稼ぐプロフェッショナルのための思考術と言えると思います。一度読まれた方も、再度読み直してみると、また新たな発見がある、そんな本書に、ぜひ手を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

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 1)本日紹介する書籍
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イシューからはじめよ~知的生産の「シンプルな本質」
英治出版 (2010/11/24) 248ページ
安宅和人 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856/

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?
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コンサルタント、研究者、マーケター、プランナーなど「生み出す変化」で稼ぐ職業を生業としている方はもちろん、限りある時間を有効に使って、生産性の高い仕事をしたいと考え、より良い結果を生み出そうと努力しているすべての方へ。

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です
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P1  僕がこれまでに見てきた「圧倒的に生産性の高い人」にひとつ共通していることがある。それは、彼らが「ひとつのことをやるスピードが10倍、20倍と速いわけではない」ということだ。

P4  「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること。「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること。

P26 多くの人は、(中略)「イシュー度」、つまり「課題の質」についてはあまり関心を持たない傾向がある。だが、本当にバリューのある仕事をして世の中に意味のあるインパクトを与えようとするなら、あるいは本当にお金を稼ごうとするなら、この「イシュー度」こそが大切だ。なぜなら、「イシュー度」の低い仕事はどんなにそれに対する「解の質」が高かろうと、受益者(顧客・クライアント・評価者)から見たときの価値はゼロに等しいからだ。

P27 では、どうやったら「バリューのある仕事」(中略)ができるのだろうか?(中略)ここで絶対にやってはならない(中略)「労働量によって(中略)到達しよう」というこのアプローチを僕は「犬の道」と呼んでいる。

P45 序章で紹介した「犬の道」に入らないためには、正しくイシューを見極めることが大切だ。いろいろな検討をはじめるのではなく、いきなり「イシュー(の見極め)からはじめる」ことが極意だ。

P49 たとえば、「○○の市場規模はどうなっているか?」というのは単なる「設問」に過ぎない。ここで「○○の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」と仮説を立てることで、答えを出し得るイシューとなる。仮説が単なる設問をイシューにするわけだ。

P51 人間は言葉にしない限り概念をまとめることができない。「絵」や「図」はイメージをつかむためには有用だが、概念をきっちりを定義するのは言葉にしかできない技だ。

P103 解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が、「ストーリーライン」づくりとそれに基づく「絵コンテ」づくりだ。この2つをあわせて「イシュー分析(またはイシューアナリシス)」と言う。これは、イシューの構造を明らかにし、そのなかに潜むサブイシューを洗い出すとともに、それに沿った分析のイメージづくりを行う工程だ。

P144 「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。ここでも「イシューからはじめる」思想で分析の設計を行うことが大切だ。「これなら取れそうだ」と思われるデータから分析を設計するのは本末転倒であり、これをやってしまうと、ここまでやってきたイシューの見極めもストーリーラインづくりもムダになってしまう。

P239 毎日の仕事・研究のなかで、「この作業って本当に意味があるのか?」と思ったら立ち止まってみよう。そして、「それは本当にイシューなのか?」と問いかけることからはじめよう。

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 4)今日の気づき
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実は、私は今日が誕生日なのですが、歳を取るにつれて、ますます時間の過ぎ去る速さが早くなり、どんどん無駄に流れてしまう気になってしまいます。

AIやRPAなどの技術が進んでいくなかで、単なる力業で、そのうちわかるさ、といった「犬の道」的アプローチで仕事をしていては、いつまでたっても生産性があがらないどころが仕事そのものがなくなりかねません。

迷路の問題を解くときも、スタートから地道に解くよりも、ゴールからたどった方が無駄のない道が見えることが多いです。

一定のトライ&エラーは経験として必要悪かもしれませんが、手を動かす前に、今は何を本当にすべきなのか?それは最終的なゴールに繋がっているのかどうかを常に問いかけながらのトライ&エラーであるべきでしょう。

上司に言われたから、顧客に依頼されたから、とかだけの理由で盲目的に手を動かすような時間の使い方をしていないか。今解決しようとしていることは果たして本当に「イシュー」なのか?

時間の限りある人生を有益にするためにも、常々しっかりと考えて生きていきたいと思いました。

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 5)本書の目次
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P12  :序章 この本の考え方-脱「犬の道」
P43  :第1章 イシュードリブン-「解く」前に「見極める」
P101 :第2章 仮説ドリブン①-イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
P139 :第3章 仮説ドリブン②-ストーリーを絵コンテにする
P177 :第4章 アウトプットドリブン-実際の分析を進める
P201 :第5章 メッセージドリブン-「伝えるもの」をまとめる
P206 :おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう

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イシューからはじめよ~知的生産の「シンプルな本質」
英治出版 (2010/11/24) 248ページ
安宅和人 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856/