こんにちは、本シェルジュの松林です。

就職・転勤などで環境が変わったり、気温の変化が大きく体調を崩しやすかったりする時期ですが、お変わりありませんか?

さて、今回はここ数年で定着した「ゆるキャラ」の中でも最も有名な1つ、「くまモン」に関する本のご紹介です。
といっても、マーケティングやマネジメントについて参考になる本ですので、ご安心ください。なお、AmazonでKindle版も購入できます。

この本でくまモンに関して取られた戦略を学ぶことができますが、体系的にまとめた教科書ではなく、実際に担当していた人たちの手記という形を取っているため、ノンフィクションとしても楽しい1冊です。

<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ
熊本県庁チームくまモン(著)
幻冬舎新書 (2013/3) 253ページ

今回の登場人物紹介
■松林:二人の娘の父。好きなゆるキャラは、故郷の「いかずきんズ」。
■りか:ゆるいの大好きな小4生。好きなマンガは「しろくまカフェ」。
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(新しいペンケースが欲しいと言われて訪れた文具店にて)
りか:あ、くまモンだ! これ欲しいけど、高いのかなぁ。パパに「キャラクターの付いたものは“らいせんすりょう”がかかるから高い、って聞いたけど…

松林:ハハハ。普通はそうだね。特にディズニーやサンリオのライセンス料は高いと聞いているよ。でもね、くまモンは、許可さえ取れば、ライセンス料なしで使えるんだって。

りか:ふ~ん、そうなんだ。でも、どうして”らいせんすりょう”を払わなくていいことにしたのかな?

松林:それはね、ただでどんどん使ってもらった方が、熊本県の宣伝になっていいからなんだって。

りか:へえ~、すごい! それ考えた人、アタマいいね~。

松林:うん、パパもそう思う。この本には、それ以外にも、「テレビにニュースで取り上げてもらうコツ」とか、いろいろ書いてあって、おもしろかったよ。

りか:(パラパラめくる)あ、フリガナないから、ムリ。

松林:(笑)もうちょっと大人になったら読んでみてね!

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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です              〓
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■第1部 くまモン関西戦略の秘密-熊本県庁チームくまモン関西部隊 より

「以前、大阪市内で県の観光パンフレット配りをしましたが、関西地方ではあめちゃんの一個でも付けていなければ、誰ももらってくれません」
「ティーザー広告の手法を取りましょう。」
「つまり、最初は熊本色を出さずに、まずくまモンを知ってもらおうということか」
 スタートはできるだけ熊本らしさを排除し、まず、くまモンそのものを、大阪の人気者にしよう、という作戦で行くことになりました。(p22)

 くまモンが大阪で活動を展開するにあたって考えた秘密兵器のひとつが、「名刺」でした。くまモンには普通の名刺ではなく、話題になりそうな面白い名刺を持たせることにしました。計32種類のコピーを、広告代理店のコピーライターさんに考えていただきました。
 記者さんがお互いに名刺の裏面のコピーを見せ合って、「面白い!」とか感想を話されていました。まさに小山薫堂さんが「こういう名刺を作ることで、マスコミから取材される機会が増えるだろうと考えたのです」と書いているとおりになりました。(p41)

 くまモンの人気の秘密は表情が豊かな点にあります。全身を使って喜怒哀楽を表現します。顔を少し斜めに傾け両手を口に当て、うれしい! 右手を上に上げ、親指を立て、ついでに右足も出して、グゥッド!
 どこかで見たような表情だと思いませんか? そう、某テーマパークのねずみのキャラクターが先生なのです。先生とは言っても、学校があるわけではなく、見よう見真似で表現力を身に付けました。技は盗むしかありません。(p93)

 うまくポイントを押さえることができたかは自信がありませんが、どうすればマスコミのみなさんに「ニュース」として取り上げてもらえるかの工夫を重要視しました。
 お会いした記者のみなさんへ、その後も細かに情報を提供し続けてきたことが、成果につながったのは間違いありません。(p120)

■第2部 くまモン地元戦略の秘密-熊本県庁チームくまモン熊本部隊 より

 子どもから攻めたほうが、結果的に大人にも知ってもらえるはずです。保育園や幼稚園にくまモンが行けば、子どもたちは家に帰って「今日、くまモンに会ったよ」とお母さんお父さんに話をするでしょう。そうすればおうちの方も「くまモン」という名前を耳にする。そうやって認知を広げていこうという作戦です。(p190)

 大阪で神出鬼没作戦を繰り広げたところで、地元熊本でくまモンが愛されていなければ、くまモン人気も一過性で終わっていたかもしれません。
「熊本ではこんなに人気のキャラクターがいる」「地元でいいものを探して広める仕事をしている」という一本芯の通った存在だったからこそ、くまモンは大阪でも人気者になったのでしょう。(p195)

「どうしたらくまモンみたいに成功しますか?」よく、こんな質問をされることがあります。
 しかし、私たちには、人気キャラクターを作ろうというはっきりした考えが、最初からあったわけではありません。どちらかというと先に戦略があって、キャラクターが後からボコッとできた。そこでこのキャラクターを最大限活用しようとしたに過ぎません。

■第3部 くまモン・トップ戦略の秘密-熊本県知事・蒲島郁夫 より

 よくいろいろな方から、
「熊本県庁のみなさんは、公務員なのに、なぜこんなに自由になんでもできるんですか」と尋ねられます。
「皿を洗わない人は、皿も割らない。皿を割ってもいいから、とにかくたくさん皿を洗おう」
 つまり、リスクを恐れないでやろうという意味です。こんなことが言えるのは、私が公務員出身ではないからかもしれません。(p233)

 ご存じのようにくまモンのキャラクター使用料は無料です。織田信長が「楽市楽座」で経済を活性化させたように、みなさんにくまモンで儲けてもらい、熊本が元気になればいい。まずはくまモンが有名になることで、自然に熊本も有名になるという発想です。(p224)

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〓 3)今日の気づき                       〓
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見た目はかなりゆる~い「くまモン」ですが、その裏には周到な戦略があり、サプライズなどパブリシティを喚起するための作戦には相当なしたたかさを感じます。

特に地方の場合、お金がない、若者が少ない、雇用がないなど、マイナス面を見ればきりがありません。しかし、そういった逆境だから何もできないわけではなく知恵を絞って一点集中することにより活路は見出せると思いました。

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〓 4)本書の目次                        〓
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第1部 くまモン関西戦略の秘密-熊本県庁チームくまモン関西部隊
 第1章 熊本をPRしないPR戦略
 第2章 くまモンは日々進化する
 第3章 費用対効果は予算の八倍
 第4章 ゆるキャラから売るキャラへ
 第5章 ダメ出しにくじけずアイデア量産

第2部 くまモン地元戦略の秘密-熊本県庁チームくまモン熊本部隊
 第6章 原点は保育園・幼稚園の子どもたち
 第7章 迷ったらGO!

第3部 くまモン・トップ戦略の秘密-熊本県知事・蒲島郁夫

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くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ
熊本県庁チームくまモン(著)
幻冬舎新書 (2013/3) 253ページ