こんにちは、「本シェルジュ」の大橋功です。

「マーケターのように生きろ」というタイトルですが、商品やサービスではなく、どうやったら自分自身が職場や仲間から「求められる人」になれるかをテーマにした本です。
その極意は「相手がしてほしいこと」をするということ。マーケティングのフレームワークを使って、いわゆる処世術やコミュニケーションのハウツー本よりも納得性があり、応用範囲も広い「人生を生きる知恵」を与えてくれるところがこの本をお勧めする理由です。

1)本日紹介する書籍

「マーケターのように生きろ」
~「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動~
東洋経済新報社(2021/3/4)288ページ
井上大輔(著)

2)どんな人が読むべき? 

  • 入学、就職、転勤、転職、定年など人生キャリアの節目のタイミングで、気分を一新して新たな目標を考えたい人
  • 自分が所属する組織(会社、サークル、家庭・・・)の中で人の役に立つ存在になり、精神的にも金銭的にも満足するためのヒントを得たい人

3)付箋 

『マーケティングとは、顧客を知り、その期待に応えるための無数のやり方を、世界中の企業が何十年にもわたって試行錯誤した実証実験の積み重ねです。』

(P.90)

『(市場の有望性を評価する際には)次の5つの視点が役に立ちます。①市場の大きさ(=市場規模)、②市場が毎年どれだけ大きく(小さく)なっているか(=成長性)、③どれくらいライバルがいるか(=競合環境)、④自分たちの能力が活かせるか(=関連性)、⑤自分たちの他の活動との相性はどうか(=既存事業とのシナジー)。』

(P.110)

『価値は、「実利価値」「保証価値」「評判価値」「共感価値」の4種類に整理できる。・・・この価値の定義のプロセスこそ、まさにマーケティングの心臓部なのです。』

(p.138, P141)

『とびきりの仕事の機会は、組織への貢献が大きい人にしか与えられません。仕事の機会が少なければ、上司のアドバイスをもらう機会にも恵まれないでしょう。つまり成長したいのであれば、まず何よりも貢献を意識するべきなのです。』

(P.207)

『まずは相手にとって価値がある、相手に貢献できる人になることが大前提です。しかし、自分の価値を実現する手段として「覚えてもらう」「好きになってもらう」ことが必要なのであれば、(自分をアピールする)努力も怠ってはいけないのです。』

(P.264)

4)今日の気づき

価値を提供する相手を決め(=市場の定義)、その相手が求めていることを掴み(=価値の定義)、その価値を作り出して、相手に伝える。こうしたマーケティングの考え方が、自分自身の売り込みにも活かせるのは興味深く感じます。特に価値を実利価値、保証価値、評判価値、共感価値の4つに分けるというフレームワークは、相手やシチュエーションに応じ、自分がどのパターンで対応するかを判断する目安として役に立ちそうです。

また相手に価値を届けるには「自分をアピールする」ことが必要で、そのためには積極的に人と会って共通の知人を増やし、常に新しいことに挑戦してニュースの供給源になることが必要、という指摘も印象に残りました。なかなか実践できていないことが多いので、日頃から意識して行動するきっかけにしたいですね。

5)本書の目次

【Part1】 人の役に立ち、自らの価値を高める「マーケターのように生きる」という思想

CHAPTER1 マーケティングとは「思想」である
CHAPTER2 マーケティングとは「人間の英知の結晶」である

【Part2】 仕事もキャリアも人生も好転する「マーケターのような生き方」4ステップ

STEP1 市場を定義する ―「自分がもっとも輝く場所」が見つかる
STEP2 価値を定義する ―「相手が本当に欲するもの」がわかる
STEP3 価値をつくりだす ―「自分がやるべきこと」がわかる
STEP4 価値を伝える ―「自分を必要とする相手」に見つけてもらう