こんにちは!本シュルジュ・イレギュラーズの関義之です。
3回目の投稿です。
今月はレギュラーメンバーが「プロ」をテーマにお届けしておりますが、「プロ」といえば紹介せずにはいられない本があります。
これまで読んだ本の中で、もっとも共感した弁護士の思考法が書かれています。
弁護士ネタが続いてしまいますが、「はじめに」にも書いてあるとおり、ビジネスや私生活にも通じる考え方ですので、本シェルジュ読者にも参考になると思います。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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プロ弁護士の思考術
矢部正秋(著)
PHP研究所(2007/1/29)238頁
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今回の登場人物紹介
■Aくん:法務部の新入社員
■Bさん:ベテラン法務部長
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Aくん:B部長!相手に弁護士がつきました。
Bさん:それで?
Aくん:その弁護士は、「証拠があるから、訴訟になっても勝てる、早く示談した方がそちらにとっても得だ」なんていうんですよ。弁護士がいうんだから、争えないですね。
Bさん:どうして弁護士が言ったというだけで信じてしまうんだ。相手の肩書きや地位、名声にとらわれず、事実や主張の根拠を確認しないとだめだろう。
Aくん:…。
Bさん:それに、仮に、相手の言い分が正しかったとしても、そのまま受け入れるかどうかの二者択一で考えずに、他に対抗手段がないのか、色々な選択肢を考えることが必要なんだよ。ちゃんと自分の頭で考えなさい。
Aくん:(ちぇっ、えらそうに…)B部長は弁護士でもないのに、どうしてそんなことが分かるんですか。
Bさん:大学時代に、交渉学の第一人者であるC教授のゼミで学んだからだよ。
Aくん:そうなんですか!じゃあ、B部長のいうとおりで間違いないですね。
Bさん:…。だから、肩書きとか、地位、名声にとらわれるなって教えたばっかだろ。
Aくん:…。
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です          〓
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注)ページ数は、2008/3/11第1版第14刷のものです。
■「弁護士の重要な資質のトップが、「オプション提案力」である。オプションの有無が仕事の品質に決定的影響を与えるからである。」(55頁)
「弁護士は助言の結果に経営責任を負うわけではないから、経営者としては弁護士に判断を依存できない。弁護士はあくまで選択肢を提供し、経営者はその是非を検討し、方針を決めるのである。経営者自身、「ビジネスには正解はなく、選択肢があるだけ」と知っている。」(57頁)
■(パレートの法則の例を挙げ)「これは経験則であり、厳密な検証はできない。だが、人間を見るときにも、私はこの考えを転用してきた。漠然と人と接するのでなく、人の二割は実力があるが、八割は平均かそれ以下だと見てきた。詳しくいうと、二割は優秀、六割は平均的で、残りの二割は平均を大幅に下回る。」(103頁)
■「人間は、自分の思い込みを離れてものを見ることは難しい。客観的に見ていると思っても、実は「自分」というフィルターを通して見ているのである。感情をまじえず客観的に物事を見ることは、人間にとって不可能である。また、そうなっては人生がおもしろくない。われわれは対象をそのまま見るのではなく、自分の見たいように見ている。そう知るだけで、考え方がずいぶんと変わってくるものである。(117頁)
■「因果の流れは複雑に絡み合う。この世は因果に一石を投じて、自分の望むような結果を得るようにはできていない。偶然や偶発事がつきものである。それをつねに視野に入れておかないと、現実にうまく適応できない。将来を考えるときは「予測しない偶発事が必ず起こる」ことを必ず計算に入れるべきである。」(162頁)
■「私は、「合理的な最大限の要求」が、依頼者の立場を守る最も良い方法であると思う。一方では依頼者の利益を追求しながら、裁判官という第三者にもアピールする主張をしなければならない。そうすればジレンマを解消することができる。これは、ビジネスの交渉でも同じである。過大な要求をすれば交渉は決裂するし、妥協しすぎれば自分の利益を害してしまう。」(193頁)
■「事件処理を受任した場合、私はおよそつぎのような手順を踏んで見通しをつける。①関連情報を収集し、有利な点と不利な点を分析する ②事件の全体の構造をつかむ ③対策を考え、落としどころを見きわめる 「情報収集、構造把握、対策立案」の手順は、交渉、紛争処理、危機管理に広く応用できる。」(221頁)
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〓 3)今日の気づき                       〓
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この本に書かれている内容の中で、特にオプション提案力が重要と考えている。
その前提となる柔軟な発想力を身につけたい。
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〓 4)本書の目次                        〓
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はじめに
第1章 話の根拠をまず選りすぐる-具体的に考える
第2章 「考えもしなかったこと」を考える-オプションを発想する
第3章 疑うことで心を自由にする-直視する
第4章 他人の正義を認めつつ制する-共感する
第5章 不運に対して合理的に備える-マサカを取り込む
第6章 「考える力」と「戦う力」を固く結ぶ-主体的に考える
第7章 今日の実りを未来の庭に植える-遠くを見る
プロ弁護士の思考術
矢部正秋(著)
PHP研究所(2007/1/29)238頁
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