こんにちは、本シェルジュのホリケンです。
人生100年を生き抜くのに役立つ本をご紹介していきます。 

みなさんは「社会起業家」や「ソーシャルビジネス」という言葉をご存知でしょうか?社会問題を解決するためのビジネスやそれを生業としている人たちのことですね。

私は現在働いている会社で、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)のプロジェクトに参加しはじめて、この社会起業家にとても興味を持ち出しました。世の中には膨大な社会問題があるからです。

本日紹介するのは、社会起業家を生み出す仕組みを運営する「ボーダーレス・ジャパン」の創業者である田口一成さんの著書です。

通常のビジネスとソーシャルビジネスの何が違うのか、そしてなぜ社会課題を解決するには「ビジネス」でないといけないのか。また、ビジネスを拡大させるためにはどうすればいいのかがとても丁寧にわかりやすく記してあります。

今の世の中に何かしら疑問を持っているみなさん、ぜひ本書を読んでみてください。

本日紹介する書籍

「9割の社会問題はビジネスで解決できる」
株式会社PHP研究所(2021年6月10日)348ページ
田口一成(著)
https://amzn.to/3mhKPEc

本書を選んだ理由〜どんな人が読むべき?〜

貧困、難民、過疎化、人種差別、地球温暖化・・・世の中にはさまざまな社会問題があります。それらのどれか一つ、あるいはなんとなく今の世の中に言葉にできない問題意識を持っている方にぜひともお読みいただきたい一冊です。

付箋 本書からの内容抽出です

ソーシャルビジネスが取り扱うのは「儲からない」とマーケットから放置されている社会問題です。たとえば、貧困、難民、過疎化、食料廃棄・・・。これらは見過ごすことのできない重大な問題ですが、儲かる分野ではないので誰も手を出そうとしません。こうしたマーケットから取り残されている社会問題にビジネスとして取り組むのがソーシャルビジネスなのです(34ページ)

効率を追求する余り、取り残されてしまう人や地域が出てくるというビジネスのあり方こそが原因なのであれば、そのビジネスにおいて対策を講じることが本質的な解決策です。すなわち、非効率をも含めて経済が成り立つようにビジネスをリデザインすることです(中略)つまり、非効率を含んだビジネスでありながら、「これ最高だよね」と生活者が買い続けたくなる商品やサービスをいかに提供していくのか。ここがソーシャルビジネスに挑戦するビジネスパーソンの腕の見せどころでもあります(39ページ)

顧客をひきつけるデザイン開発、そして少ない予算の中で効果的なプロモーションを行うことは、立ち上げ期のマーケティングを専門にやったことのない人にはどうしても難易度が高いものです。このスキルを社会起業家に求めるのは酷な話です。彼らが不慣れなこれらの領域をサポートするのが、スタートアップスタジオと呼ばれる、立ち上げに特化した専門チームです。数々の事業立ち上げを支援してきたマーケティングやデザインの精鋭部隊が、事業が単月黒字化するまで無料でサポートします。このチームは、ボーダーレスグループ全ての起業家をハンズオンでサポートしていて、年間10社以上立ち上げ支援を行っています。日本中を見ても、これだけの数の創業支援を繰り返しているチームはなかなかありません(52ページ)

僕たちは社会問題を解決するために事業をしているので、その目的を果たすために自分たちが追いかけるべき成果を明確にした独自の指標を持っています。それが、解決したい社会問題に対してどれだけインパクトを与えられたかを数値で表した「ソーシャルインパクト」です。たとえば、ミャンマーの貧困農家のためのハーブ事業(AMOMA)の場合、
・契約農家数
・借金がなくなった農家の数
この2つをソーシャルインパクトの指標に設定しています。事業の黒字経営は大前提ですが、この2つの数字を伸ばしてはじめて、AMOMA事業は成功と言えるのです(77ページ)

ソーシャルビジネスでは、「誰を助けたいのか」「誰のために事業をやるのか」をとことん突き詰めることが非常に重要です。ある地域の「いちばん貧しい人」を助けたいのだとしたら、それは具体的にどの人たちで、なぜ貧しい状態が続いているのか、彼らが直面する課題とその根本的な原因をしっかり把握する必要があります。彼らの本当の姿を理解しなければ、真の問題解決にならないからです(145ページ)

僕が考える社長の一番の仕事は、絵を描くことです。たとえば、創業期に掲げていた「1兆円企業になる」という目標。「売上が1兆円くらいになってはじめてソーシャルビジネスが注目されるんだ」と僕はみんなに話していました。当時の僕たちは売上数億円。そんな企業が1兆円を目指すと言っても、普通は「絵空事」と言われるだけでしょう。そこでみんなに言っていたのは、「みんなも10億円ぐらいの事業は作れそうでしょ?それに、ソーシャルビジネスをやりたい人は、どれだけ少なく見積もっても1000人くらいはいるよね。10億円×1000人で1兆円!簡単じゃないか」。そんな話をすると、「たしかに、たどり着けなくもないかもな」とみんなワクワクしてきます(170ページ)

ビジネスモデルというものは、実践しながらどんどん変えていくものです。その代わり、土台となるソーシャルコンセプトがしっかりしていなければなりません。ソーシャルコンセプトが固まっていないと、ビジネスモデルがうまくいかなかったときに、制約条件にたちもどって体制を立て直すことができず、一気に白紙状態になってしまいます。これはソーシャルビジネスを正しい順番で作らず、ビジネスアイデアありきで考えてしまった場合も同じです(245ページ)

自分がお金を払っている商品やサービスにどんな「背景」があるのか。何かモノを買うときは、一瞬立ち止まってその背景に想いをめぐらせ、自分の消費行動が社会にどういう影響を与えるのかを考えて、お金の使い方を決める。少し堅苦しく聞こえるかもしれませんが、実際やってみると、ただ安いものを買うよりも、社会を良くする選択をしたという実感は、楽しく心地よいものだと気づくでしょう。「利他的な行動をする人は、より幸せである」という研究結果もあるそうです(340ページ)

今日の気づき

社会問題の解決というと、どうしてもボランティアとか、NPOとか、寄付とかを頭に思い浮かべがちです。それ自体は別におかしいことでもなんでもありませんが、実ビジネスこそが社会問題解決の最大の手段であると謳う著者と、彼の築いてきた多くの実績に身震いすら覚えました。

「私は今、何のために、誰のためにビジネスをしているのだろう」

このことを考え直し、また社会に対してどのようなインパクトが出せるのかを考えるとても良い気づきを与えてくれました。

本書の目次

第1章 「社会問題を解決するビジネス」を次々と生み出す仕組み
第2章 この”仕組み”がどうやって生まれたのか。その実験の歴史第
3章 「社会問題を解決するビジネス」のつくり方
第4章 ビジネス立ち上げ後の「成功の秘訣」
終章 一人ひとりの小さなアクションで、世界は必ず良くなる

「9割の社会問題はビジネスで解決できる」
株式会社PHP研究所(2021年6月10日)348ページ
田口一成(著)
https://amzn.to/3mhKPEc