皆さま、初めまして。本シェルジュの新メンバー、松林です。
国家公務員、教育系企業を経て、昨年からサービス業を中心に経営コンサルタントをしています。
専業主婦の妻、8歳・5歳の2人の娘がおり、まだまだ子育て中です。
既存のメンバーとは違った好みから、お勧め本をご紹介して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、初めてご紹介する一冊は、三井財閥の家祖であり、呉服店「越後屋」(後の三越)を創業した三井高利(たかとし)に関する本です。かのドラッカーに「マーケティングの祖」と称される彼の一生を、小説という読みやすいスタイルで覗いてみませんか?
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)気づき
4)本書の目次
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〓 1)今日のオススメの一冊                 〓
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『小説 三井高利』
羽佐田直道 (著)
  アニモ出版 (2011/9/14) 376ページ

今回の登場人物紹介
■松林:まだまだ自転車操業な経営コンサルタント
■Y子:いちおう経済学部卒な専業主婦。「もしドラ」なら読んだことあり。
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松林: 三井高利って知ってる? 三越の創業者で、「もしドラ」のドラッカーが「マーケティングの祖」と紹介している人だよ。
Y子: ああ、聞いたことがあるわ。「越後屋」って呉服店でしょ。「越後屋」って、水戸黄門で「ヌシもワルよお~」ってやつよね。
松林: いやそうじゃなくて。「せめて正月や節句には我が子に晴れ着を」と願う町人階級のためにという高い理想を掲げて、それを実行に移した人なんだ。
Y子: へ~、そうなんだ。
松林: 当時の呉服は高級品で、大名などの武家が、訪れた店子から掛けで買うものだったんだ。それを一般の町人でも買える値段にして、店頭で現金で売るように変えたんだよ。新しい階級の成長という機会をとらえて、潜在的なニーズに応えたという点で、ドラッカーが「顧客の創造」の良い例として挙げているポイントなんだ。
Y子: ふ~ん。きっと若い頃から活躍していたんでしょうね。
松林: いや、実の兄との確執から江戸に進出するのが遅れて、「越後屋」を開店した時は50歳を過ぎていたそうだ。
Y子: じゃ、あなたもまだまだこれからよ。頑張って「顧客の創造」をしなくちゃ!
松林: ま、まあね…。(苦笑)
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出です            〓
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・商いは永遠に続くものでなければならない。花は実を生(な)らすための犠牲に過ぎん。花が枯れた後に実が実る、そして、いずれ実も腐って落ちる、そこから種が取れ、芽が出る。その繰り返しが商いというものだ。花を切って飾ってしまったら、あとに何も残らない。
・自分で稼いだ金をどう使おうが、自分の勝手だ、というような考え方は、わたしは許せない。お客様が払ってくれたお金の大部分は「これをわたしたちがもっと幸せになれるように使ってください」と付託されたものなのです。
・皆、無い袖を振っているのですよ、愛する人のために。可愛い子供のため、やり繰りに苦労している妻のため、なりふり構わず働く夫のために、乏しい中から、晴れの日に備えて少しずつ蓄えておいた貴重なお金を使っているのだ。そう考えれば、いい加減なものを売ることは出来ないでしょう。
・(急成長してコントロールが効かなくなり始めた「越後屋」について)わたしは間違った手は打っていないと思う。そのおかげで越後屋は大きくなった。だが、大きくなりすぎた。大きくなった越後屋が巨大な怪物となって、自分で勝手に動き始めた。わたしを含めて、誰もそれを制御できない。それが、恐ろしいのです。
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〓 3)今日の気づき                    〓
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「顧客満足経営」や「顧客の創造」は言い古されているけれど、自分も含めて現代の人々が本当に実践できているかは疑わしい。
300年以上も前の、しかも同じ日本人が、既にこれだけのことを考え、実践していたという事実。
「100年に一度の大変革期」と言われる今を生きる私たちが、同じく大変革期を生きた三井高利の人生から、学べるものがありそうだ。
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〓 4)本書の目次                     〓
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序 招からざる客
その一 旅立ちの日々
その二 相克の日々
その三 挫折の日々
その四 挑戦の日々
その五 苦衷の日々
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『小説 三井高利』
羽佐田直道 (著)
  アニモ出版 (2011/9/14) 376ページ