こんにちは!本シェルジュ・イレギュラーズの関義之です。
5回目の投稿です。

本シェルジュでは、3か月に1度、共通テーマで書評をお届けしています。

過去のテーマはこちら

 

ご案内が遅くなりましたが、今月も共通テーマを設けています。

今月のテーマは、「転換」です。

前回と前々回も実は、「転換」がテーマでした。分かりました?

 

今回私がご紹介する本は、あるビジネスモデルの研究会で教えてもらったものです。売れている本ですので、ご存じの方もたくさんいるかと思います。

この本は、ビジネスモデルのイノベーションについて書かれたものですが、他の類書と異なる点は、「異業種」からヒントを得てビジネスモデルを構築する方法が書かれているところです。

 

この本には、実際に、異業種の企業をヒントに、ビジネスモデルのイノベーションを実現した企業の具体的な事例が豊富に紹介されています。

自社のビジネスモデルを変えたいと思っている人には、何らかのヒントをつかめるかもしれません。

 

また、紹介されている事例はとても身近な企業のものが多く、だれかにうんちくとして語りたくなるような興味深いものばかりです。これからの忘年会シーズンに備え、ビジネスネタとして仕入れるのにも最適です。

 

ビジネスモデルに少しでも興味のある方には大変おすすめできる一冊です。
<目次>
1)今日のオススメの一冊
2)付箋
3)今日の気づき
4)本書の目次

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〓 1)今日のオススメの一冊                   〓
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なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編
山田英夫(著)
日本経済新聞出版社(2012/7/23)255頁
http://www.amazon.co.jp/dp/4532318211

今回の登場人物紹介
■S:診断士2年目の本シェルジュ

■E:Sの友人で、ある会社の部長

■ママ:行きつけのスナックのママ
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(Sの行きつけのスナックで、Yと二人で軽く忘年会)

S:そろそろ、今年も終わっちゃうね。会社の景気はどう?

E:ほんと1年があっという間だよね。会社の方も、なかなか厳しくて、来年こそ何か変えて行かなければと思っているんだけど。

S:最近読んだ本なんだけど、「なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編」っていうものがあってさ、これがなかなかおもしろい。ビジネスモデルをどう変えて行くかということが書かれた本なんだけど、異業種から学ぼう!というのがコンセプトになっているんだよ。

E:へえ。
S:事例がたくさん載っててね。

E:どんなの?

S:例えば、コマツのKOMTORAXの話があってね。これは、GPSとセンサーを組み合わせたシステムなんだけど、売却した建機の情報をモニタリングしたり制御したりすることができるんだ。これよって、例えば、部品の交換時期も事前にわかり、故障する前にチェックに行くことができるんだそうだ。これを「予防保全」と呼んでいるらしい。

E:どんな異業種から学んだんだ?

S:同じようなビジネスモデルは富士ゼロックスにもあって、マネージド・プリント・サービス(MPS)というものだ。コマツがここから学んだのかは分からないが、コマツもMPSの顧客であったらしい。MPSの場合、常時情報が入るので、複合機の消耗品がなくなる前に補給にいくことができるようだ。

E:なるほど、異業種から学ぶか…、よし、俺もその本を読んで、来年こそ何か動いてみるか。

ママ:(会話を聞いていて…)、私もそれ取り入れるわ。

S:ん?どうするの?

ママ:Eさんが彼女と飲みに来て、ボトルが空になったら、すぐに新しいボトルを入れておいてあげるわ。Sさんは空になってないか心配しなくて済むようになるわ。サービスいいでしょ。

E:いいねえ。

S:…、いいねえって、俺のボトルで彼女と飲むな!
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〓 2)付箋 ~本書からの内容抽出(引用)です          〓
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注)ページ数は、2012/8/9、2刷のものです。

■スター・マイカ

「同社は、金融の世界では定石であった裁定取引、投資の分散(ポートフォリオ)、大数の法則などを不動産事業に取り込んだ成功事例と言えよう。ハイブリッドな収益モデルや資金調達力などが組み合わさり、簡単には他社が追随できない盤石なビジネスモデルになっている。」(34頁)

 

■スルガ銀行

「銀行の基本は、個人から預金を集め、それを法人に貸し出す利鞘で儲けるビジネスである。ところが、ビジネスを個人サービス(リテール)に特化し、他行が手がけない(できない)ような商品・サービスで利益を上げてきたのが、地方銀行の雄、スルガ銀行である。

スルガ銀行のお手本は、消費者のあらゆるニーズに応えていくホテルのコンシェルジュである。」(56頁)

 

■コマツ

「コマツは、GPSとセンサーを組み合わせたKOMTRAXと呼ばれるシステムで、利益率を向上させてきたと言われている。建設機械を複写機に置き換え、衛星を通信回線に置き換えると、富士ゼロックスが以前から行ってきたマネージド・プリント・サービスが、KOMTRAXのビジネスモデルの原型と言える。」(65頁)

 

■ブリヂストン

「ブリヂストンは、リトレッド(タイヤの貼り替え再生)事業を本格化させてきた。リトレッドは顧客のトータル・コストの削減になり、環境にも優しい。ブリヂストンとトータルパッケージプランを契約すれば、バスやトラック会社にとっては、「タイヤのことを考える必要がなくなる」という大きなメリットがある。

こうした考え方で、売り切りビジネスからサービス事業へビジネスモデルを転換させてきた先行事例が、GEの航空機エンジンや医療機器である。GEの事例からは、どのようなステップを踏めば、サービス事業を拡大していけるかの示唆が得られる。」(91、92頁)
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〓 3)今日の気づき                       〓
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異業種からのビジネスモデルの移植はなかなか難しい。

それだけに、実現できれば、強固な強みになる。
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〓 4)本書の目次                        〓
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第1章 ビジネスモデル構築の方法

1 ビジネスモデルが15年で3回変わった文具業界

2 本書の焦点と目的

3 ビジネスモデルとは

4 本書の進め方

第2章 イノベーションを異業種に学ぶ

1 スター・マイカ-裁定取引から生まれたハイブリッド・モデル

2 楽天バスサービス-バスは動くホテルの部屋

3 日本ゴア-素材のブランド化

4 スルガ銀行-貸したい客から借りたい客へ

5 コマツ-“壊れる前日”の予防保全

6 星のリゾート-旅館業から再生・運営受託事業へ

7 ブリヂストン-タイヤのことは忘れてください

第3章 異業種のビジネスモデルを見る視点

1 ビジネスモデルを見る視点

2 顧客の再定義

3 顧客価値の再定義①-サービス・ドミナント・ロジック

4 顧客価値の再定義②-マイナスの差別化

5 顧客の経済性

6 バリューチェーンのバンドリングとアンバンドリング

7 経営資源の持ち方

8 定番の収益モデル

第4章 ビジネスモデル変革の課題

1 売上一時的減少

2 旧モデルへの固執

3 静止画では似ていても

4 組織の壁

5 評価の壁

6 サプライチェーン・競合企業の反発

おわりに
なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編
山田英夫(著)
日本経済新聞出版社(2012/7/23)255頁
http://www.amazon.co.jp/dp/4532318211