こんにちは、「本シェルジュ」の大橋功です。

長く続いたコロナ禍で仕事や生活の日常が脅かされ、逆境を乗り超える力や、レジリエンス(回復力)に関心が高まっています。そういう風潮に対して、「物事が思い通りにいかないのは当たり前。だから最初からそう考えて取り組めば、逆境や困難を感じなくてすむよ。」という心構えが、本書の提唱する「絶対悲観主義」です。

この本は、経営学者として活躍中の楠木氏が、仕事への取り組み方や日常生活のヒントについて書いたエッセイ集。「絶対悲観主義」を説く表題作を含め、リモートワーク、チーム力、痺れる名言、オーラの正体等々、興味深いテーマの文章が並んでいます。上からの「学者」目線ではなく、等身大の「フツーのおじさん」が悩みながら身につけた考え方をユーモアたっぷりに披瀝する語り口なので、気楽に読めて共感できます。

1)本日紹介する書籍

「絶対悲観主義」
講談社+α文庫(2022/6/20)232ページ
楠木建(著)

絶対悲観主義 (講談社+α新書) | 楠木 建 |本 | 通販 | Amazon

2)どんな人が読むべき? 

  • ここ一番、という時にプレッシャーを感じやすいと自覚している人
  • 強い精神力や折れない心を持たないと、成功できないと思っている人
  • どうしたら平常心で物事に取り組めるか、関心がある人

3)付箋 

『こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどありません。この身も蓋もない事実を直視さえしておけば、戦争や病気のような余程のことがない限り、困難や逆境もありません。・・・・成功の呪縛から自由になれば、目の前の仕事に気楽に取組み、淡々とやり続けることができます。・・・これが絶対悲観主義の構えです』

p.4

『ただし、絶対悲観主義は仕事への構えをラクにするため(だけ)のものであって、仕事の成果や成功を約束するものではありません。テニスで言えば、フォームのようなものです。・・・失敗しても、いちいちダメージを受けない。自然と次に動きだせる。紆余曲折を経た挙句、振り返ってみたときに自分なりの確かな道ができている。それが絶対悲観主義者の生きる道です。』

P.26

『回復力は自然に備わっている人間の本性です。もともと持っているものを出すだけ。筋力のようにトレーニングで強化する類のものではありません。・・・回復力を引き出すカギは、脱力です。脱力力こそ回復力の正体です』

P.180

4)今日の気づき

読んでいてふと思い当たったのは、ゴルフコンペのスタートホールで、参加メンバー全員が見ている前で打つティーショットでした。「みっともないショットを打ちたくない」というプレッシャーをどうしても感じてしまうんですね。

ゴルフは大好きなのですが、コンペのこのシーンだけは苦手です。でも絶対悲観主義を取り入れれば、「ナイスショットなんてできなくて当然」と考えればいい。これならミスショットしても「ああ、やっぱりな。でも2打目以降で頑張ればいいや。」と割り切れて、あとに引きずらずに済みます。逆にナイスショットだったら嬉しさは倍増。要は、期待水準を低くしておけという話です。

何かコロンブスの卵みたいな発想法ですが、仕事以外でも使える場面は色々ありそうです。

5)本書の目次

第1章 絶対悲観主義
第2章 幸福の条件
第3章 健康と平和
第4章 お金と時間」
第5章 自己認識
第6章 チーム力
第7章 友達
第8章 オーラの正体
第9章 「なり」と「ふり」
第10章 リモートワーク
第11章 失敗
第12章 痺れる名言
第13章 発表
第14章 初老の老後