皆さまこんにちは。「本シェルジュ」の設楽英彦です。

前回の配信「国運の分岐点」はこの国の経済に対する強烈な提言でした。
人口減少が日本にもたらす未来。私たちは次の世代に何を残せるのでしょう。

さて、今回の本シェルジュは人口減少社会の「今」を増え続ける外国人という 観点で述べたいと思います。日本の街は気が付くと外国人が多くなりました。 コンビニや飲食店に外国人店員がいることは、(特に)東京近郊では当然のこととなっています。
では他の産業では?他の地域では? 人口減少による人手不足によって、今の 日本に起きていることを正しく把握することは、これからの未来を作り上げる 第一歩になると思うのです。

ここで問うべきは外国人登用は是か非か?ではありません。
想像以上の多くの外国人が日本に滞在しているという現実から入りましょう。
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 1)本日紹介する書籍               
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データでよみとく 外国人“依存”ニッポン
光文社 (2019/10/16) 248ページ
NHK取材班
AmazonURL:https://amzn.to/35QdJjG

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 2)本書を選んだ理由    どんな人が読むべき?          
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・人口減少社会に不安・疑問を感じている方
・人材不足を実感されている方(経営者、人事担当者、など)
・国内旅行で外国人の多さに圧倒された経験のある方

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 3)付箋 ~本書からの内容抽出です   
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■Reader P.6
 OECD(経済協力開発機構)は(中略)「国際移民アウトルック」という
報告書をまとめている。(中略)日本に流入した人口は42万7000人。これが、ドイツ、アメリカ、イギリスに次ぐ4位にあたる数字となっているのだ。(中略)正式な定義がないため、これだけをもって日本が実体的に「移民」を受け入れていると言うことは必ずしもできないが、「移民政策をとっていない」というスタンスからはギャップがある数値のように思えるのも事実だ。

■Reader P.13
 「外国人問題」では、外国人が増えていることをネガティブに捉えている 印象を与える。「外国人労働者」では労働問題だけに焦点をあてることになってしまう。試行錯誤の中で出てきたのが“依存”という言葉だ。企業も自治体も、そして日本社会も外国人なしでは成り立たなくなっている。

■Reader P.37
 メロンの産出額日本一を誇る茨城県鉾田市では、近年、畑の風景が変化
している。特産であるメロンの栽培をやめて、小松菜などの葉物野菜に
切り替える農家が続出しているのだ。(中略)メロン農家はこの10年間で
半減。一方、小松菜を栽培する農家は5年でほぼ3倍に増えた。(中略)
しかしメロンは収穫が年に1,2回で、つまり収入があるのはその時期だけ。農作業が暇な期間も長く、その間は実習生の手が余ってしまう。(中略)メロンを取るか、実習生を取るか。

■Reader P.45
 「みかんの収穫期は年に1回で、収入があるのもその時期だけ。」
(中略)急斜面に広がるみかん畑は、メロンなどと異なり、他の作物への
転換は難しいのだ。 (中略)全国的にみてもみかん農家の数は減少し続け、出荷量もピーク時の4分の1にまで落ち込んでいる。

■Reader P.100
 外国人住民が都市、特に東京で急増していることを象徴しているような
データがある。20歳を迎える「新成人」の内訳だ。
「新宿の新成人は半分が外国人になっているらしいよ」(中略)
外国人の占める割合で示すと、新宿区では実に45.2パーセントとおおむね
2人に1人。

■Reader P.117
 長崎ちゃんぽんが看板メニューの外食チェーン「リンガーハット」。訪ねた東京・新橋の店では従業員25人のうち21人、実に8割が外国人となっていた。
「人手不足の中で外国人従業員は欠かせない存在ですね」と尋ねた記者に、担当者がすかさず言った。「欠かせない、ではなく、いなければ営業できないんです」

■Reader P.166
「縁結びの神様」として知られる島根県の出雲大社。(中略)出雲市の市街地を歩くと、何やら美味しそうなにおいが漂ってくる。ドアを開けて入ってみると、ブラジル料理のレストランだ。(中略)実は、市内にある大手電子部品メーカーの工場で働く日系ブラジル人が急増しているのだ。(中略)市では外国人住民の相談態勢を充実させるため、ブラジル人の嘱託職員も採用している。

■Reader P.225
 実は、外国人は義務教育の対象にはなっていない。憲法は「国民」に対して、子どもに小中学校の教育を受けさせる義務を課している。しかし外国籍の保護者は「国民」にはあたらず、対象外としているからだ。

■Reader P.340
 この国が私たちの想像以上に外国人労働者に“依存”する実態と、その役割にかかる大きな期待だった。しかも、それは企業だけではなく、人口減少に頭を悩ます自治体も同じだった。

※ 「Reader」はソニーの電子書籍リーダーです。
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 4)今日の気づき                       
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 本書からの内容抽出では書き切れないところがたくさんありました。アメ横の話や、外国人の子どもの話など多くの話が本書に書かれています。気になる方はぜひ本書を取って読んで欲しいと思います。

 また、何がいいとか悪いとか、考えさせられるテーマでもあります。実際、NHKの特設サイトには外国人材の受入に対して賛否両論が上がっているとのこと。そして、他国でも日本とは事情が異なるものの、外国人とのかかわりについて本書では書かれています。

 最後に「あとがき」の一文を紹介します。
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 本書の狙いは。政策上「こうあるべきだ」と述べることではなく、あくまで日本社会が外国人の受け入れについて議論する土台の一部を提供できれば、というところにある。
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 これは同時に私の気付きであり、外国人の受け入れについて改めて考えるきっかけとなりました。

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 5)本書の目次                        
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まえがき
第1章 「労働者」として考える外国人“依存”
(外国人がいなければ続けられない,選ばれない国・日本)
第2章 「社会の一員」として考える外国人“依存”
(日本人の減少を埋める外国人,超・多国籍化する街 ほか)
第3章 「人生」「家族」として考える外国人“依存”
(「誰も知らない」子どもたち,いじめとルーツ ほか)
第4章 「移民国家」の事例から考える外国人“依存”
(OECD第2位の増加数,目指すは移民の“統合”―ドイツ ほか)
あとがき

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データでよみとく 外国人“依存”ニッポン
光文社 (2019/10/16) 248ページ
NHK取材班
AmazonURL:https://amzn.to/35QdJjG

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