『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』 北川智子著 幻冬舎

単なるハウツー本ではない、芯のしっかり通った良書でした。

第一には年齢を問わず留学を目指す方に。実際に海外で勉強漬けの生活に入ったときをイメージでき、心づもりを学ぶことができます。それから、タイトルが本書を手にとる人を狭めてしまうかも?と思うところがあるのですが、ビジネスパーソンにも学ぶところのある一冊ではないかと思います。

著者の北川智子さんは、ベストセラー『ハーバード白熱日本史教室』の著者でもあります。カナダの大学に留学した当初は理系専攻。3年で卒業し、文系に転じて修士課程を修了。その後、アメリカのプリンストン大学で博士号を取得し、のちにハーバード大学で教鞭をとることに。ハーバードでは、優れた教師に贈られる「ティーチング・アワード」を受賞、「思い出に残る教授」にも選出され、現在は英国を拠点に世界を舞台に活躍されているという、もうただただ「スゴイなあ」と目を瞠ってしまうような経歴の持ち主です。

本書では、九州に生まれ、地元の公立高校に通っていた普通の女子高生・北川さんが、海外で学び、就職し、普通ではない結果を出すに至った軌跡、学ぶ姿勢や勉強法が綴られています。

たとえば、著者がTOEFLの試験を乗り越えるために行った勉強法、留学先の大学でのノートの取り方・授業を受けるコツ、ストレスをうまくマネジメントする方法、論文への向きあい方、楽しみと勉強をしっかり両立させるスケジュールの黄金比率、ハーバードでも超人気の授業を展開するにいたった授業構成など。それらとともに語られる、学ぶことへの情熱やポジティブさ、アクティブさも素敵です。また、彼女の常に期限と結果・相手へのインパクト/満足度を意識する姿勢や体力・精神ともタフな状況下にあっても楽しむことを忘れずにいられる面は、ビジネスパーソンにとって学ぶべきライフハックに繋がると思います。

私が今回、この本をお勧めするのは著者の経歴の見た目的なすごさに引かれたからではなく、真摯にやり抜く人ならではの確かなものがそこにあるからです。

北川さんがこだわる「自分らしさを忘れず、のんびりのびのびご機嫌でいること」は、なかなかどうして、難しい。ですが、そんな風にコントロールしていかれたら、いいですよね。いつか直接北川さんにもお会いしてみたいものです。(安西智美)